〇ダブルベッドの部屋
「あ・・・・・・」
「んっ・・・・・・」
「愛・・・・・・」
「好きだよ・・・・・・」
「あぁっ・・・・・・」
「わたし、も・・・・・・ ん・・・・・・」
「!?」
？？？「・・・・・・」
　　おまえは、私たちの幸せを壊した
　　おまえの恋愛は、他人を不幸にした
　　おまえに人を好きになる権利はない
　　おまえにはもう、
　　一生幸せになる資格はない────!!

〇部屋のベッド
愛「ハァ、ハァ・・・・・・」
愛「久しぶりに見た・・・・・・」
愛「ハァ・・・・・・」
愛「・・・・・・」
愛「水でも飲も・・・・・・」

〇アート
　　15年の体感温度
　　１話
　　Long time no see.

〇ホテルのエントランス
愛「えーっと・・・・・・」
式場スタッフ「お客様っ！キリッ！」
愛「へっ!?」
式場スタッフ「披露宴にご参加でいらっしゃいますか？」
愛「あ、はい、そうです！」
愛「小鳥遊（たかなし）家と 春夏冬（あきなし）家の・・・・・・」
式場スタッフ「かしこまりました！キラッ！」
式場スタッフ「準備が整い次第お声がけいたしますので、 もうしばらくこちらでお待ちください」
式場スタッフ「キリッ！」
愛「わ、わかりました」
愛「ふぅ・・・・・・」
？？？「うわあっ!!」
駿「なんだこれー!?」
駿「どうしよ・・・・・・」
愛「靴か・・・・・・」
愛「あ、あの・・・・・・」
愛「ちょっと見せてもらえます？」
駿「え!?」
愛「靴」
駿「あ、はい！」
愛「やっぱり・・・・・・ 靴裏が朽ちて外れちゃってる」
駿「え・・・・・・」
愛「久しぶりに履くと、 こうなっちゃう人多いんですよ」
駿「はぁ・・・・・・」
愛「接着剤つけちゃっていいですか？ とりあえず応急処置ですけど」
駿「あ、はい」
愛「これで貼りつければ、とりあえず ・・・・・・」
愛「よし、できた」
駿「あの・・・・・・」
愛「はい？」
駿「靴屋さん、ですか？」
愛「あ、いえ！違います」
愛「ほんとによく、たまにあるんですよ、 何回も結婚式出てると！それで・・・・・・」
駿「へー！そうなんですね！」
駿「僕、結婚式に参加するのは初めてなので」
駿「勉強になりました」
愛「そうなんですね、ハハハ・・・・・・」
？？？「愛ー！」
沙織「ごめんね、お待たせー！」
愛「沙織！」
駿「それじゃあ・・・・・・」
駿「本当に、ありがとうございました」
駿「失礼します」
沙織「いやー、 ウチ出る前に子供がぐずっちゃってさー」
沙織「てか今のだれ？」
愛「強いていうなら、靴屋の客・・・・・・？」
沙織「なんじゃそりゃ」
式場スタッフ「皆さま！準備が整いましたので、 披露宴会場へお入りくださいませ」
式場スタッフ「キリッ！」

〇結婚式場のレストラン
沙織「おぉ、立派な会場〜！」
愛「ね」
沙織「で！さっきの男の子はなんだったの!? ナンパ!?」
愛「いや、そんなんじゃないって」
愛「靴が壊れちゃってたから、 ちょっと声かけただけ」
沙織「へー！愛から声かけるなんて珍しいじゃん！」
愛「いや、困ってたみたいだったから」
沙織「えー、タイプだったんじゃなくて？」
愛「ないない」
愛「そもそも向こうだって、瞬間接着剤常備してるヤバいオバサンだって思ってるよ」
愛「「結婚式出るの初めて」って言ってたし」
沙織「そりゃ結構年下の可能性大だな」
愛「でしょ、向こうからしても対象外だよ」
沙織「そんなもんかねぇ」
沙織「愛さぁ・・・・・・」
沙織「本当にあれから一度も、 誰とも付き合ったりしてないの？」
愛「・・・・・・うん」
沙織「そっかぁ・・・・・・」
愛「まぁ、15年も前のことだし・・・・・・ 機会があればとは思ってる」
愛「てか沙織こそ！いくら学生時代とはいえ、 元カレの披露宴とか気まずくないの？」
沙織「まじで全然！」
沙織「まぁ、私も結婚して子どもいるしなぁー」
愛「なるほどねー・・・・・・」
司会者「それでは、新郎新婦の入場でございます！」
司会者「新郎の小鳥遊太郎さんと、」
司会者「新婦の春夏冬花子さんです!!」
愛「な、なるほどね・・・・・・」

〇結婚式場のレストラン
　　その後、席次表で確認した彼の名前は
　　鈴木 駿。新郎職場同僚と書かれていた。
　　その時は、思いもしなかった。
　　彼との出会いが私の運命をこんなにも
　　変えるなんて──