第2話 失踪者(脚本)
〇オフィスのフロア
部長「一体、どうなってる! 佐々木君と松田君が揃って無断欠勤とは」
部長「おい金村! お前なにか知らんのか」
金村ゆきお「はぁ、僕は何も・・・」
部長「上村君はどうかね?」
上村なぎこ「実は、佐々木さんからは「退職願」をお預かりしています」
部長「何だって!?」
上村なぎこ「色々と不満があったようで「折を見て部長に渡してほしい」と」
部長「全く勝手な奴だ!」
部長「私がどれだけ佐々木君のために苦労して・・・」
上村なぎこ「・・・」
部長「い、いや・・・」
上村なぎこ「・・・」
部長「もういい、皆仕事に戻ってくれ」
〇オフィスの廊下
金村ゆきお「あ、上村さん!」
上村なぎこ「金村さん、何か?」
金村ゆきお「佐々木さんの事なんですが・・・」
上村なぎこ「はい」
金村ゆきお「あの・・・ 退職するというのは本当なんでしょうか」
上村なぎこ「どうして、そんなことを聞くのです?」
金村ゆきお「だって、そんな素振り少しも見せなかったから・・・」
金村ゆきお「昨日だって、松田さんに仕事を頼まれて大喜びしていたんです」
金村ゆきお「なのに、退職だなんて絶対おかしいですよ」
上村なぎこ「・・・」
上村なぎこ「表には出さない感情が、女性には色々とあるのですよ」
金村ゆきお「・・・そうなんですか」
上村なぎこ「では、これで」
金村ゆきお「上村さん! もうひとつだけ・・・」
上村なぎこ「なんです?」
金村ゆきお「備品庫がある地下扉に鍵がかかっていて、立ち入り禁止になっているんです」
上村なぎこ「それが?」
金村ゆきお「部長に聞いたら「上村君に聞いてくれ」というものですから」
上村なぎこ「そうでしたか・・・」
上村なぎこ「地下は今、センサーとスプリンクラーの故障で立ち入り禁止にしてもらっています」
上村なぎこ「修理が済むまで誰も入らないようにしてください」
金村ゆきお「ああ、そういうことでしたか」
上村なぎこ「必要なものがあれば、私がご用意しますので、おっしゃってください」
金村ゆきお「わかりました」
上村なぎこ「では」
金村ゆきお「・・・」
〇備品倉庫
佐々木みえ「ダメか・・・ やっぱり、こちらからは開けられない」
佐々木みえ「ハア・・・」
佐々木みえ「一体いつまで閉じ込めておくつもりよ、あいつ・・・」
佐々木みえ「あら?」
佐々木みえ「古い新聞ね・・・7年前か」
●月●日
【失踪女性遺体で発見】
××商事の会社員女性、齊藤はるか(23)さんが失踪して3日後に遺体で発見された
佐々木みえ「これ、ウチの会社の事件だわ 噂には聞いていたけど・・・」
佐々木みえ「学生の頃だったし、あまり気にしていなかったけど、結構なニュースになってたのね」
佐々木みえ「齋藤はるか・・・」
佐々木みえ「まだ23だったのか、お気の毒ね」
佐々木みえ「!!」
佐々木みえ「いや、まさかね・・・」
佐々木みえ「7年前だし、上村はまだこの会社にはいない」
失踪後、遺体で発見
佐々木みえ「あいつの仕業じゃない」
佐々木みえ「・・・はず」
佐々木みえ「誰か来る」
上村なぎこ「気分はどうですか?」
佐々木みえ「おかげさまで、だいぶ元気になったわよ」
上村なぎこ「それはよかったですね お食事ですよ」
佐々木みえ「あら、気が利くじゃない」
佐々木みえ「でもね・・・」
佐々木みえ「私を拘束しておかなかったのは判断が甘かったわね」
佐々木みえ「上村、覚悟しろ!」
いったーい!!
佐々木みえ「いたたた!」
上村なぎこ「大人しくして下さい」
上村なぎこ「さもないと、またお薬で眠ってもらいますよ」
佐々木みえ「わかったわよ 私の負け」
上村なぎこ「ふふ」
上村なぎこ「好きですよ 佐々木さんのそういうところ」
佐々木みえ「くそっ、 馬鹿にして」
佐々木みえ「きっと、そのうち誰かが助けに来るわよ」
上村なぎこ「残念ですが、それはありません」
佐々木みえ「なんでよ?」
上村なぎこ「誰もここには立ち入らないよう手は打ってあります」
上村なぎこ「それに大声を出したところで上の階には聞こえません」
佐々木みえ「ふん、全て計算付くってわけね」
上村なぎこ「それでは、私はもう行きます」
佐々木みえ「待って、ひとつだけ教えて」
上村なぎこ「はい?」
佐々木みえ「松田さんは・・・どうなったの?」
上村なぎこ「あの人のことはもう忘れてください」
上村なぎこ「それじゃ」
佐々木みえ「どうなったのかって聞いてんのよ!」
佐々木みえ「待ちなさい上村、コラー」
佐々木みえ「くそっ」
〇大企業のオフィスビル
〇備品倉庫
上村なぎこ「それでは、私は退社しますので、夕食と着替えは置いておきますね」
佐々木みえ「・・・」
上村なぎこ「あとトイレは地下のお手洗いを自由に使って下さい」
上村なぎこ「地下扉のセキュリティをロックしておきますので、備品庫は開けておきます」
上村なぎこ「お手洗い横に備え付けのシャワーもご自由に」
佐々木みえ「・・・ねぇ」
上村なぎこ「はい」
佐々木みえ「いつまでこんなこと続けるつもり?」
佐々木みえ「私を殺したけりゃ、さっさと殺りなさいよ」
上村なぎこ「殺す?」
上村なぎこ「佐々木さんを殺す気なんて毛頭ありませんよ」
佐々木みえ「じゃあ、なんなのよこれは一体!」
上村なぎこ「佐々木さん、もうしばらくの辛抱です」
佐々木みえ「・・・」
上村なぎこ「それでは」
〇備品倉庫
佐々木みえ「・・・」
佐々木みえ「・・・わからない」
佐々木みえ「あいつ一体何が目的なの・・・」
佐々木みえ「あいつが普通じゃないってことだけは確かだけど」
佐々木みえ「・・・」
佐々木みえ「冷静になってよくよく考えてみれば・・・」
佐々木みえ「今回の事、理解できない点が多すぎるわ」
佐々木みえ「少し整理してみる必要があるわね」
佐々木みえ「あの時・・・」
〇マンションの共用階段
階段から私を突き落としたのは自分だと上村は言った
これまでの言動から、それは信じていいと思う
そして・・・
〇田舎の病院の病室
目覚めた時、私は病院にいた
そして、目の前には上村・・・
松田さんまで現れて、2人は付き合っていると私に伝えた
〇備品倉庫
佐々木みえ「そして、次に目覚めたのはこの備品庫」
佐々木みえ「目の前にはやはり上村の姿があった・・・」
佐々木みえ「あっ!」
佐々木みえ「あの病院から上村は1人で昏睡した私をここまで運んできたわけ?」
佐々木みえ「上村が私より力が強いのはさっき十分過ぎるほどわかったけど・・・」
佐々木みえ「いくら何でも手際が良すぎる」
佐々木みえ「どう考えても、女1人でここまで運ぶのは無理があるわ」
佐々木みえ「もちろん、私はそんなに重くないけどね・・・」
佐々木みえ「多分、協力している人がいる!」
佐々木みえ「まさか、松田さん?」
佐々木みえ「だとしたら、松田さんはまだ無事なのかもしれない」
佐々木みえ「そうなると、私の味方じゃないってことになるけど・・・」
佐々木みえ「わからない」
佐々木みえ「そもそも、何でこんな所に連れ込んで閉じ込めておく必要があるのよ」
佐々木みえ「あのまま病院に監禁しておけば済む話じゃないの?」
佐々木みえ「ハア・・・」
佐々木みえ「わからないわ」
〇ビルの地下通路
〇備品倉庫
佐々木みえ「わひっ!」
〇ビルの地下通路
〇備品倉庫
佐々木みえ(上村が戻ってきた?)
佐々木みえ(いいえ、違う)
佐々木みえ(上村は鍵を持ってる、これまでノックなんてしたことないわ)
佐々木みえ(こんな時間に一体誰なの?)
佐々木みえ(まさか、上村の協力者?)
佐々木みえ(ハッ!)
〇備品倉庫
上村なぎこ「地下扉のセキュリティをロックしておきますので、備品庫は開けておきます」
〇備品倉庫
佐々木みえ(まずい!)
こんばんは!
ミステリー要素が強くてどきどきしながら読ませて頂きました!効果音の使い方がうまくキャラが何をしているのかよくわかりました!協力者は誰なのか?立ち絵とキャラがぴったりあっていて読みやすかったです!