第1話 ある王国の滅び(脚本)
〇立派な洋館(観測室の電気点灯)
エマ「お父様! お父様っ!」
矢が飛び交い、城が燃える。
少し離れた場所から、激しい戦いの音が聞こえてくる。
ハルシナ国王「エマ!」
エマ「お父様・・・・・・! お母様が・・・・・・っ」
ハルシナ国王「・・・・・・っ」
それだけで、全てを察したのか。
お父様はすぐに表情を変えてわたしを見た。
ハルシナ国王「エマ・・・・・・ここはもう駄目だ。 城を出なさい」
エマ「そんな、お父様は・・・・・・?」
ハルシナ国王「私がいなければ、この攻撃は終わるまいよ・・・・・・さぁ、行きなさい」
エマ「いやです! いやっ! お父様も・・・・・・ッ」
ハルシナ国王「私は王だ。王としての責務を果たすまで。 ・・・・・・おまえだけでも、生きてくれ」
エマ「ぅ・・・・・・あ・・・・・・っ。 お父様・・・・・・お願い、だめ。 一緒に・・・・・・っ」
ハルシナ国王「・・・・・・エマ。 不甲斐ない父で、すまない」
ドッ
エマ「う・・・・・・っ」
バサっ
ハルシナ国王「すまない・・・・・・エマ おまえまで、死なせるわけにはいかない」
ハルシナ国王「逃げたい者は逃げよ! 私と共に、ガルゴナ帝国に一矢報いたい命知らずのみ、ついてこい!」
ハルシナ国王「ただでは死なぬぞ・・・・・・ ハイエナ共め・・・・・・ッ」
〇けもの道
エマ「・・・・・・ぅ・・・・・・」
エマ「ここは・・・・・・」
エマ「城の外・・・・・・わたし、逃されて・・・・・・」
エマ「・・・・・・! お父様は・・・・・・」
エマ「お父様・・・・・・助けに、行かないと・・・・・・っ」
エマ「う・・・・・・っ」
ドンッ
???「おっと」
エマ「ぁ・・・・・・」
???「こんなところに、なんでこんな格好をした娘が・・・・・・」
エマ「(だれ・・・・・・? 暗いし・・・・・・目も霞んで・・・・・・)」
エマ「あの・・・・・・どなたか存じませんが、どうかわたしを城へ・・・・・・!」
???「城なら、もう帝国のものですよ。 お嬢さん」
エマ「そんな・・・・・・! おと・・・・・・国王陛下は!?」
???「あぁ・・・・・・勇ましい王様だったみたいだな。 兵たちと共に突っ込んできて、討ち取られたよ」
エマ「・・・・・・ッ!」
エマ「ぅう・・・・・・っ、そん、なっ」
???「・・・・・・あんた」
エマ「・・・・・・もう良いわ。 わたしのことは、放っておいて・・・・・・」
???「そうは言ってもなぁ」
エマ「大丈夫だから・・・・・・このまま行き倒れたりなんて、しないわ」
???「・・・・・・それなら良いけどな」
???「じゃあ俺は行くが・・・・・・気をつけろよ。 そんな格好で出歩いてたら、野盗どもの格好の餌食だぞ」
エマ「分かりました・・・・・・ご親切に」
エマ「・・・・・・」
エマ「無駄になんてしない・・・・・・お父様に救っていただいた、この命・・・・・・」
エマ「無駄になんて・・・・・・」
〇けもの道
ガルゴナ兵「あ、殿下! こちらにいらしたのですね・・・・・・!」
???「あぁ、少し花に見惚れてな」
ガルゴナ兵「花・・・・・・ですか? あ。暗いので、足下お気をつけください。 今、明かりを──」
グリオン「あぁ、助かる」
ガルゴナ兵「い、いえ! 過分なお言葉・・・・・・!」
グリオン「ハルシナ国王の首級は?」
ガルゴナ兵「はっ! 間違いなく運んでございます」
グリオン「それなら良い。 万が一、生き残りの兵が取り返しになど来ても、渡すなよ」
グリオン「親父に約束通り、 その首を叩きつけてやるまではな」
ガルゴナ兵「ハッ!」
〇けもの道
エマ「お父様・・・・・・ お母様・・・・・・」
エマ「救っていただいたこの命・・・・・・ ぜったい、無駄になんていたしません」
ジャキンッ
エマ「お二人の・・・・・・ この国みんなの仇は、わたしが必ずとってみせる・・・・・・!」
エマ「わたしが死ぬときは・・・・・・ その命をもらったときよ! ガルゴナのハイエナめ・・・・・・!」
グリオンは、エマがハルシナ国の王女と知っていながらわざと見逃したように感じましたが、どうしてなんだろう。対立する立場の二人にこの先どんな展開が待っているのか気になります。
大切な髪を切ることで決意を表す、その表現で思いの強さが明確化されておりとてもわかりやすかったです。
大切な物を奪われて、これからどんな展開が待っているのか、非常に気になります!
最後のシーンでエマの勇敢さがその言動からとてもよく伝わり、これからの復讐にむけて期待が高まります。彼女の父親である国王の生きざまは、又とても魅力的です。