第十八話『間奏曲Ⅵ』(脚本)
〇教室
少女A「ねえ聞いた?校長先生がさ、酷い死に方したんだって」
少女B「うんうん、ニュースで見た」
教室の中は、少年少女達の噂話で持ちきりだった。
少年A「テレビのニュースではぼかされてたけど、ネットニュースだと結構詳しくやってたって」
少女B「え、ただの転落死じゃないの?」
少女A「それが、明らかに不自然な死体だったって。何回も何回も、高い場所から叩きつけられたみたいな」
少女B「うっわ、マジで怖いじゃん」
少年B「それって、わざわざ何回も落ちた校長先生の体を、誰かが高い場所に運んで落として・・・・・・を繰り返したってこと?」
少年A「そんなの人間がやるわけないし、できるわけもないよ。だからきっと・・・・・・」
少年B「え、まさか」
少女B「奥田君の祟り!?」
少年A「いやいやいやいや奏音はそんなやつじゃないよ!あいつ、人を恨むような人間じゃないだろ」
少年C「でも、いじめられてたのは確かだし。いじめられた原因がかなり逆恨みっぽいけど」
少年B「それで自殺したんじゃなあ」
少女A「学級閉鎖になるのかな、うちのクラス。それとも学校閉鎖?」
少年C「わかんない。でも、もし本当に奏音君の呪いだとしたら、次に殺されるのは・・・・・・」
少女B「いじめを否定してた太田川先生に小池校長、それにいじめ主犯の一人だった小河原さんとくれば、ね・・・・・・」
少年C「うん・・・・・・」
みんな、ざわついている。晴翔は非常に複雑な気持ちで、彼等彼女らの会話を聴いていた。隣の珠理奈もだ。
この学校は、クラスはどうなってしまうのだろう。
まさか本当に、奥田奏音の呪いなのか。それとも。
北園晴翔(・・・・・・おばさんじゃ、ないよね?まさかね・・・・・・?)
〇モヤモヤ
第十八話
『間奏曲Ⅵ』
〇教室
朝のホームルームでは、副担任の先生からやはり校長先生の死を知らされることになったのだった。
先生がどんな死に方をしたのか、なんて話はさすがに子供には聴かせられないと思ったのか省略されたが
――でもみんな、とっくにニュースで情報を得てしまっている。
普通の人間ではあり得ない死に方、殺し方。
やはり奏音の呪いなのでは、という噂が絶えなかった。
そして、自分は奏音に恨まれる心当たりなんかないと思っている人間は、ひそひそと噂をするだけで済むが。
少しでも恨まれているかも、と思う人間は間違いなく気が気でなかったことだろう。
そう、彼女もまた。
村井芽宇「ねえちょっと」
北園晴翔「!」
休み時間。突然声をかけられて、思わず晴翔はぎょっとした顔をしてしまった。相手があの、村井芽宇だったからだ。
小河原海砂と一緒に奏音をいじめていた、とみんながおおよそ察していた少女。
村井芽宇「北園君って、奥田君と仲良しだったよね」
北園晴翔「・・・・・・だったらなんだよ」
村井芽宇「じゃあ、奥田君に言ってよ。芽宇たちは、奥田君をいじめてたわけじゃないからこんなことやめてって」
北園晴翔「は!?」
青ざめた少女は、訳のわからないことを言いだす。晴翔は唖然とするしかない。
北園晴翔「ま、待てよ。仲良かったけど、死んだ人とどうやって話すんだよ。そんな方法あるなら僕が教えて欲しいくらいなのに!」
まるで、自分達が奏音に復讐させていると言わんばかりの物言いではないか。それに。
北園晴翔「いじめてたわけじゃない?いじめてたじゃんか、思いきり!悪口言ったり、変なこと無理やりやらせたり」
北園晴翔「万引きさせようとしたこともあるって知ってるんだぞ。それに、ヤクザっぽいひとに奏音をボコらせたこともあるって」
北園晴翔「それで、何で苛めてたわけじゃないなんてことになるんだよ!」
すると。元々気が強いタイプではない村井芽宇は、くしゃりと顔を歪めて言った。
村井芽宇「し、仕方ないじゃない!芽宇は・・・・・・芽宇たちにだって事情があったんだから!」
村井芽宇「それに、芽宇は直接酷いことなんか全然してないんだから!ほとんど、海砂ちゃんとかがやっただけで・・・・・・!」
北園晴翔「傍で囃し立てたり、悪口言ったりしてたら共犯だろ!」
村井芽宇「それを言ったら、あんた達はどうなのよ!いじめられてたって言うなら何で助けないわけ?」
村井芽宇「それ言ったら、みーんないじめってやつの共犯でしょ、芽宇たちだけ責められるのおかしくない!?」
北園晴翔「――!!」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
学校での話の広まり方と受け取り方がリアルですね!人間って、合理的に理解できないことに対し、呪い・祟り・超常現象・宇宙人etcといった要素を入れ込んで辻褄を合わせようとするイキモノですからね。特に子供においては!
そして格好いい奏音くんのエピソード。。。見るたびに心がギュッとなります