なんか違う(脚本)
〇けもの道
モンスター が 現れた!
リオ「トリエス!」
リオ「練習に打ってつけのが来たぞ」
トリエス「うん!」
トリエス(水の精霊・・・お願い)
トリエス(私に力を貸して!!)
水の精霊「はい、どうもー」
トリエス「ぎゃぁぁあぁあ」
リオ「あー・・・」
水の精霊「骨の敵かぁ」
水の精霊「ていっ」
「ギャ──」
水の精霊「ふぅ」
リオ「お」
トリエス は レベルが上がった!
リオ「よかったな」
水の精霊「じゃ、自分このへんで」
トリエス「は、はい! ありがとうございます」
〇けもの道
トリエス「帰ってった」
リオ「だな」
トリエス「・・・・・・」
リオ「ま、まぁ元気出せよ」
トリエス「・・・はぁ」
トリエス「なんで?」
トリエス「なんで私が召喚すると ああいう感じのが出るの!?」
〇谷
「前の精霊も」
〇森の中
「その前の精霊も!!」
〇けもの道
トリエス「どおぉぉしてなんか違うのよおおお!?」
トリエス「くっ・・・」
トリエス「他の皆が呼ぶ精霊って、もっと」
トリエス「神秘的でスタイリッシュで」
トリエス「・・・はぁ」
リオ「まぁ、腕は確かな精霊なんだから良くね?」
トリエス「良くないよ」
トリエス「魔導士フェスタ、明日なのに」
トリエス「これじゃ」
トリエス「どこからもスカウトされないかも」
リオ「だから言ってるだろー」
リオ「俺達のパーティに来いって」
トリエス「誘ってもらえるのは嬉しいんだけど」
トリエス「私、どうしても王都で魔導士やりたいの」
リオ「そこにこだわるよなー」
リオ「村も王都もやる事は同じだろ?」
トリエス「そうなんだけど・・・」
トリエス「ま、ともかく」
トリエス「練習付き合ってくれてありがとね」
リオ「おう」
リオ「明日頑張れよ」
〇空
〇西洋の街並み
トリエス(リオはああ言うけど)
トリエス(王都と村じゃ全然違う!)
トリエス(都会の大手パーティの魔導士になれば)
トリエス(討伐後の打ち上げは酒場貸し切りだろうし)
トリエス(きっと大人数の仲間で旅行とかも行く)
トリエス(かっこいい勇者も・・・いる)
トリエス「・・・・・・」
トリエス(やっぱり今の召喚術じゃダメだ)
トリエス(明日は攻撃魔法だけにしとこ)
〇西洋風の部屋
トリエス「ただいま」
トリエスの祖母「元気がないね」
トリエスの祖母「練習、上手くいかなかったのかい?」
トリエス「うん」
トリエス「やっぱり変わった精霊しか出てこない」
トリエス「これじゃ恥ずかしくて皆の前で出せないよ」
トリエスの祖母「またそんな事言って」
トリエスの祖母「着替えて、こっちに来なさい」
〇西洋風の部屋
トリエスの祖母「いいかい?」
トリエスの祖母「召喚は、自分の呼びかけに応じてくれる」
トリエスの祖母「”相手”がいて初めて成り立つんだ」
トリエス「ちゃんと分かってるって」
トリエスの祖母「いいや、分かってない」
トリエスの祖母「トリエスは」
トリエスの祖母「もし今、急に違う世界に呼ばれて」
トリエスの祖母「戦えって言われたら、どう?」
トリエス「え」
トリエス「そんなの絶対嫌」
トリエスの祖母「あら、そう」
トリエスの祖母「でも」
トリエスの祖母「魔道士は精霊にそれをお願いしているのよ」
トリエス「あ・・・」
トリエスの祖母「能力や外見ばかりに気を取られてはダメ」
トリエスの祖母「感謝と思いやりをもってこそ」
トリエスの祖母「一流の魔導士になれるのよ」
トリエスの祖母「よし、じゃあ」
トリエスの祖母「夕食にしましょ」
トリエス「感謝と思いやり・・・」
トリエス「そうは言ってもなぁ」
〇空
〇巨大な城門
「皆様!」
主催者「これより、魔道士フェスタ開幕です」
〇巨大な城門
魔導士フェスタ
”魔導士”と
”魔導士を求める人”の交流イベント
全国各地で開催され
軍やパーティへのスカウトの場にも
なっている
〇巨大な城門
トリエス「賑わってるな」
トリエスの友人「大変、大変~!」
トリエス「どしたの?」
トリエスの友人「後方をご覧ください」
トリエス「ん」
トリエス「はっ!!」
トリエス「お、大手有名パーティ取締兼 敏腕勇者アル様!?」
トリエスの友人「魔道士何人かスカウトするらしいよ」
トリエスの友人「し・か・も」
トリエスの友人「メインは召喚士」
トリエス「ええぇ」
トリエス「わ、私の事じゃありませんか」
トリエスの友人「チャンス来てるぞ〜」
トリエスの友人「ね、場内魔法自由なんだし 何か召喚しちゃえば?」
トリエスの友人「アピールしときなって!」
トリエス「うーん」
トリエス「無理」
トリエスの友人「なんで!?」
トリエス「私の召喚見たことあるよね?」
トリエス「あれを世間に晒すなんて無理!!」
トリエスの友人「わ、悪くないと思うけどな」
トリエス「ありがと」
トリエス「でも今日は攻撃魔法だけにしとく」
トリエスの友人「そっかぁ」
〇空
〇巨大な城門
勇者 アル「君、魔導士?」
トリエス「はい」
勇者 アル「得意元素は?」
トリエス「水です」
トリエス「剣でも戦えますし」
トリエス「召喚術も少し」
勇者 アル「へぇ、やるね」
勇者 アル「今日は術の披露はしないの?」
トリエス「ええと」
トリエス「召喚は実戦のみで行う主義なので」
勇者 アル「残念だな」
勇者 アル「僕はアル」
勇者 アル「王都付近で戦う事があれば声かけてよ」
勇者 アル「君の術、見てみたい」
トリエス「はい、ぜひ」
勇者 アル「それじゃ」
「半裸精霊、披露したのか!?」
トリエス「リオ! 何でここに?」
リオ「様子見に来たんだよ」
トリエス「え、悲鳴?」
〇養護施設の庭
女の子「誰か!」
トリエス「何事!?」
モンスター が たくさん現れた!
トリエス「すごい数」
主催者「皆様」
主催者「すぐに避難を」
主催者「戦える方はご協力ください」
勇者 アル「まったく、こんな所にまで」
勇者 アル「ふっ」
トリエス(かっ・・・)
トリエス(かっこよすぎる)
トリエス(絶対ついてく、一生推してく!)
リオ「おい、俺達も行くぞ」
トリエス「うん」
勇者 アル「たいした敵じゃない」
勇者 アル「僕が出るまでもないか」
勇者 アル「あ!」
勇者 アル「それなら」
〇養護施設の庭
主催者「行くぞ」
火の精霊「はい」
リオ「くらえ」
トリエス「えいっ」
トリエス(よし、少しは数が減った?)
「わっ」
トリエス「大変!」
勇者 アル「少年、無事か!?」
トリエス(アル様! よかった)
勇者 アル「・・・・・・」
少年「助けてぇ!」
トリエス(ん)
トリエス(何してんの?)
勇者 アル「魔導士達よ」
勇者 アル「僕は、この少年を救った者を」
勇者 アル「パーティに入れたいと思う」
勇者 アル「さぁ、チャンスだぞ」
勇者 アル「君達の本気を見せてくれ!」
トリエス(は)
トリエス(何言ってんの)
〇モヤモヤ
トリエス(あの子泣いてるのに)
トリエス(そんな場合じゃないでしょ!?)
トリエス「・・・違う」
トリエス「なんか違う」
トリエス(でも)
トリエス(こんな時に)
〇養護施設の庭
トリエス「体裁気にしてる私も違ぁぁう!!」
トリエス「えええいっ」
トリエス「水の精霊達」
トリエス「力を貸してくださぁぁい」
トリエス「この隙に逃げて」
少年「うん!」
水の精霊「数、多くね?」
水の精霊「なんか汚れそうで嫌だわ」
トリエス「え!?」
トリエス「まぁまぁそう言わずに~」
水の精霊「先攻誰が行く?」
水の精霊「ちょっとキツい」
モンスター「・・・・・・」
水の精霊「あ、やばい」
「危ない!」
トリエス「う」
水の精霊「大丈夫!?」
トリエス「平気です」
トリエス「先攻は」
トリエス「私が剣で行きます!!」
トリエス「サポート頼みますよ」
水の精霊「君・・・」
水の精霊「その必要はない!」
水の精霊「いいな、皆!」
水の精霊「ええ」
水の精霊「ああ」
「協力魔法!!!」
〇黒背景
〇養護施設の庭
トリエス「えええ」
トリエス「強っ!」
水の精霊「ごめんね」
水の精霊「ケガさせちゃって」
トリエス「え」
水の精霊「まさか庇われるとは」
水の精霊「嬉しかったよ」
水の精霊「ああ」
水の精霊「その心意気、ほれたぜ」
水の精霊「また困ったら呼びな?」
水の精霊「トリエス殿」
トリエス「皆・・・」
トリエス「ありがとう」
トリエス「でも」
トリエス「”殿”とかつけるのほんとやめて」
〇養護施設の庭
〇巨大な城門
トリエス「痛っ」
リオ「大丈夫かよ」
「君」
トリエス「あ、アル様」
リオ「先帰ってるな」
勇者 アル「君の術」
勇者 アル「見せてもらった」
勇者 アル「素晴らしかったよ」
勇者 アル「もし良ければ」
〇空
〇西洋の街並み
「トリエス!」
トリエス「あ、おはよ」
リオ「怪我はどうだ?」
トリエス「回復してもらったから平気」
リオ「よかった」
リオ「それより!」
リオ「あの勇者のスカウト断ったって本当か!?」
トリエス「うん」
リオ「あんなに入りたがってたのに」
リオ「いいのかよ!?」
トリエス「そうなの」
トリエス「そうなんだけど」
トリエス「なんか違うからいいやーって」
リオ「はぁ!?」
〇空
「あ、じゃあ俺のパーティ入る?」
「それは未定」
「なんでだよー」
読みながら楽しくなりつつも、感動させられる話でした✨「なんか違う」って思う時って、色々な場面でありますが、ヒロインが後半で勇者に対して思った「なんか違う」は本能的に悟った大事な気持ちですよね、、、
水の精霊たちが愛らしくてファンになりました!!!
面白すぎて10回ほど読みました✨何か癖になったんですよねw
浮き輪の精霊いいじゃないですか~。いい味出してますよ~
まあ確かに呼ばれていきなり戦えっていうことをやらされてる身ですからね。感謝ですね