Kennel

wakakasa

大丈夫だよ・・・きっと(脚本)

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〇黒
  ・・・カーテンを開ける音が聞こえた。

〇霧の中
  瞼の裏が明るくなり、
  
  
  朝が来たことがわかった。

〇空
「おはよう 今日も良い天気よ」

〇空
  みどりさんは
  気持ち良さそうに
  外を眺めている

〇空
  窓から見える空はきれいに澄んでいる。

〇水色(ライト)
  それよりも
  パジャマ姿のみどりさんが
  朝の光を浴びて
  とても眩しい。

  僕は
  昨日の夜にテレビで見た
  天気予報のことを伝えた。

〇空
「でも 夕方からは雨になるそうだよ」

  みどりさんは
  僕の言ったことは気にせずに
  笑顔で振り返った。

〇綺麗な部屋
みどり「朝ごはん 食べよっか」

〇綺麗な部屋
  僕とみどりさんの1日が始まった。

〇空

〇線路沿いの道

〇二階建てアパート
  みどりさんは23歳で、
  劇団員をしている。

〇白
  女優の卵だ。

〇水玉2
  でも僕は
  テレビに出てる誰よりも
  みどりさんは美しくて
  チャーミングだと思っている。

〇ファミリーレストランの店内
  それなのに
  みどりさんは、ほとんど毎日
  ファミレスでアルバイトをしている。

〇ホールの舞台袖
  そしてそのお給料を
  生活費や
  劇団の公演費に充てている。

〇雑踏
  ときどき
  みどりさんは
  お酒を飲んで帰ってくる。

〇玄関内
みどり「またオーディションに落ちちゃった!」

〇玄関内
  とか・・・

〇玄関内
みどり「自信があったんだけどな・・・」
みどり「やっぱ私じゃダメか!」

〇水の中
  ──と
  明るく振る舞ってるけど・・・

〇部屋のベッド
  その夜はいつも
  布団を被って泣いている
  そんなとき僕は

〇部屋のベッド
「大丈夫! みどりさんは素敵だよ!」
  と、
  一生懸命、抱きしめてあげる。

〇宇宙空間
  そのうちにみどりさんは、
  寝息を立ててしまうんだけど・・・

〇幻想空間
  頬に流れた涙の痕を見ると
  とても切ない。

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
  僕はいつも夜中にこっそり
「どうしてみどりさんを使わないんだ!」
  と、
  真っ暗なテレビの画面に
  ドロップキックをお見舞いしてやる
  無意味なことはわかってるけど
  とにかく
  むしゃくしゃした気持ちをぶつけるのは
  薄っぺらいくせに
  部屋の中でふんぞり返ってる
  コイツしかないと
  僕は思ってる

〇キラキラ
  それに
  みどりさんがいつもコイツを
  憧れるような目で見ているのも
  腹が立つし・・・

  でも、このことは
  みどりさんには内緒だけどね

〇空
  みどりさんと暮らし始めて二年になるけど
  僕とみどりさんの仲は
  一向に進展していない。

  僕は相変わらずのぷー太郎で
  そんな僕に

  みどりさんはずっと優しくしてくれている。

〇草原
  ただ
  みどりさんの優しさは
  それ以上でもそれ以下でもない。

  なぜなら
  みどりさんは、この二年間
  僕というものがありながら

〇綺麗な部屋
みどり「付き合っちゃおうかな」

  とか

〇綺麗な部屋
みどり「あんなやつ最低!」

  とか

〇ポップ2
  出会った男の話とか
  振られた男の話を

  平気で僕に言ってくる。

〇炎
「いったい僕を何だと思ってるんだ!」

  と、
  
  僕はみどりさんに怒りをぶちまける。

〇ポップ
みどり「そんなに怒らないで、 たっくん」

  言い忘れたけど
  みどりさんは僕のことを
  「たっくん」
  と呼んでいる。

〇炎
「僕の気持ちがわからないの!?」

〇ポップ
みどり「わかってるわ、たっくん」

  そう言うと
  みどりさんは僕に顔を近づける。

〇ハート
  とても優しい顔だ。

〇炎
  その瞬間、僕の怒りは消えていく。

  どんなに頑張ってみても
  僕の怒りは甦らない。

〇赤いバラ
  そしてみどりさんは
  息がかかるほど僕に顔を近づけると
みどり「大好きよ」
  と言って
  僕にキスをする。

  そのあと僕がどうなるのか・・・
  ・・・言うまでもない。

〇ベビーピンク
  僕はみどりさんの虜だ。

〇線路沿いの道

〇学校脇の道
  朝食のあと
  いつものように
  二人で散歩に出かけた。

〇川沿いの公園
  川沿いの遊歩道を
  のんびりと歩く。
  馴染みの人達とは挨拶を交わし
  初めて出会う人達は
  すれ違う時
  みんな僕たちの方を振り返る。

  僕たち?
  いや

〇川沿いの公園
  みんなが振り返って見るのはみどりさんだ。
  それほどみどりさんに
  魅力があるってことなんだ。

  みんなが振り返るたびに
  僕は誇らしくなる。
  俗っぽいと思われるかも知れないけど

〇カラフル
  羨ましいだろう
  みどりさんは僕のものだ!
  と、
  叫びたくなる。

〇線路沿いの道

〇二階建てアパート

〇玄関内
みどり「今日は遅くなるからね」

〇綺麗な部屋
「どうして?」

〇玄関内
みどり「アルバイトのあと オーディションがあるの」
「ふーん」
みどり「主役よ! 朝の連続ドラマ!」

〇綺麗な部屋
「頑張ってね、応援してるよ」

〇玄関内
みどり「今度こそ絶対受かって見せる!」
みどり「って言うか 受からないとね♪」
「みどりさんなら大丈夫だよ」
「・・・あ、傘、持っていった方がいいよ」
みどり「じゃあね!」

  みどりさんは出かけて行った。
  僕の最後の言葉は伝わらなかった。

〇綺麗な部屋
「仕方ないよな・・・」
「・・・僕はみどりさんの言葉はわかるけど」
「みどりさんは僕の言葉はわからないものな」

〇綺麗な部屋
  だって僕は犬なんだもの

〇綺麗な部屋
  今日も僕は留守番だ。

〇空
たっくん「・・・雨」
たっくん「・・・降らないと良いな」

〇空
  【おわり】

コメント

  • 読み進めながらたっくんは猫かな?って思いはじめたけど、散歩という描写で犬か!ってなりました。飼い犬にこんな風に誇りに思われて、みどりさんは幸せですね。でも仕事が忙しくなったら、たっくんはさみしいだろうなあ。

  • 最後の最後でまさか犬だったとは!と良い意味で裏切られました笑たっくんは飼い主のみどりさんが大好きでとても忠実なわんちゃんなんですね、ほっこりしました。

  • 最後がまさか!!の結末でした(笑)はじめは、みどりさん酷いー!と思いましたが実はまさかのまさかの(笑)とても可愛らしいお話しでした。

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