アンチナタリストのアンナさま(脚本)
〇特別教室
アンナ「オーホッホッホッホッホッ」
アンチナタリスト(反出生主義者)の
アンナ様は
いつも専用の特別教室で
遠隔授業を受けているよ
アンナ「ナタリスト共と同じ教室なんて ムリですわー!」
アンナ「人間群れると ろくなことになりませんもの!」
アンナ「え? なんでマジメに登校しているか ですって?」
アンナ「そりゃわたくしも家に引きこもりたいですわ! でも親がウルサイんですの!」
アンナ「不登校への偏見がつよい世の中を どげんかせんといかんですわ」
アンナ「そもそも学校なんか行ったって 脳みそ固くなってアフォになるだけですわ〜」
アンナ「脳みそは暗記のためのものではないって アインシュタインも言ってますわよ!」
アンナ「アアアアーッ 数学なんて爆発してしまえば いいのですわーっ!」
アンナ様は授業が映っているPCを
感情を抑えながらエレガンスに
閉じましたわ!
アンナ「チャイムが鳴るまで反出生バイブルを 読みましょう」
アンナ「あら?! シオランさんの『生誕の災厄』を ご存知ない? モグリですわね!」
アンナ「わたくし 本はシオランさんしか受け付けませんわ おほほほは」
キーンコーンカーンコーン
先生「アンナくん 次の時間から 特別教室に新しい仲間が増えるので よろしくね」
アンナ「ええーっっ ひとりじゃないと集中できませんわ!! 断固反対!」
先生「今ここ以外に空き教室がないんだよ それにひとりじゃ寂しいだろ?」
先生「じゃあね あーいそがしいそがし」
アンナ「んもー!!」
アンナ「大きなお世話ですわ!!! ぼっちが悪いというのも ナタリスト共の観念ですわー!」
アンナ「ったく 大人っていつも 忙しくしていますわね 謎な趣味ですわ!」
アンナ「新しい仲間・・・ ナタリストだったら即刻追い返しますわ!」
ロレッタ「・・・どうも」
アンナ「!? その顔、見たことありますわ」
アンナ「あなた この超☆お嬢様学校の ただ一人の庶民、特待生ですわね!」
アンナ「んまーっ」
アンナ「プロレタリアート(この言葉は子供を産む人々というラテン語に由来している)と同じ教室なんて無理ですわーーっっ!!」
アンナ「ああ・・・ うまれてきたくなかったですわ」
ロレッタ「あたしだって プロレタリアートの娘になんか うまれたくなかった!!!!」
ロレッタ「いやそもそも 階級差なんぞ存在する世界に うまれたくなかった」
アンナ「・・・!!!!!」
アンナ「もしかしてあなたはわたくしと同じ 反出生主義者では!?」
アンナ「んまー! それならそうと早く言ってくれれば よかったのに!」
アンナ「さっきはごめんなさい! プロレタリアートの子はナタリストと 決めつけていましたわ!!」
ロレッタ「・・・言う暇なかったし あたし以外に反出生主義者が いると思ってなかったし」
アンナ「あなたも ナタリストだらけの 教室が嫌になって特別教室に?」
ロレッタ「庶民だからか 嫌がらせされるんだよ 嫌いなら関わらなきゃいいのに」
アンナ「んまーっ! アンチナタリスト仲間をいじめるやつは このわたくしがゆるしませんわ!!!!」
アンナ「蜂の巣にしてやりますわ!」
ロレッタ「そこまでしなくていいよ・・・」
アンナ「ほら そんな気弱にしてるから いじめられるのですわー!」
アンナ「おーほっほっほっほっほっ!!!」
ロレッタ「いじめられて凹んでたけど なんか元気出てきたよ」
アンナ「もっと言うのですわー!!!」
キーンコーンカーンコーン
ロレッタ「次は・・・現代文の授業か」
アンナ「ああん! もう授業なんて受けなくていいですわ!」
アンナ様はロレッタのPCを
エレガンスに閉じましたわ!
アンナ「教科書なんか読むより シオランさん読んだ方が 勉強になりますわ!!!」
ロレッタ「アンナさんもシオラン好き?」
アンナ「サイコーですわ!! 読み合いましょう」
アンナ「私は自由でありたい。 狂気と紛うまでも自由でありたい。 死産児のように自由でありたい 『生誕の災厄』より」
アンナ「これが一番好きですわー!!」
ロレッタ「もし私たちが、他人の眼で自分を見ることができたなら、私たちは即座に消えてなくなるにちがいない。 『生誕の災厄』より」
ロレッタ「これが一番好きだな」
アンナ「おほほほほほ 学校でシオラン談義ができるなんて!」
アンナ「学校も捨てたもんじゃなかったかも、ですわ」
ロレッタ「アンナさんは『生誕の災厄』以外は 何読んだことある?」
アンナ「うふふふふふふ 見なさい!」
アンナ「シオランさんの本は全部 集めましたわー!!」
ロレッタ「うわーっ 金持ちすご・・・」
アンナ「ロレッタにも貸しますわ!」
アンナ「この特別教室に置き勉してますから 自由に読んでOKですわ!」
ロレッタ「家に持って帰らないの?」
アンナ「家に置いてたら 親に捨てられますわ」
ロレッタ「毒親やん・・・」
アンナ「そういう親には なぜ生んだとか 直接聞いてもムダですわよ」
ロレッタ「あたしはそんなこと 恐ろしくて聞けないね」
アンナ「そもそもこういう大事なこと 気軽に聞けない時点で 何かがおかしいですわ」
アンナ「そう思いませんこと?」
プロレタリアートのラテン語の由来ってそうなんですか。子供を持つことでのみ国家に奉仕する貧乏人ということですか。勉強になります。この二人は意気投合しすぎて、「こんなに話が合う人と出会うなんて、生まれてきてよかった」とか思わず言っちゃいそうだなあ。
共通の話題が話せる友人って、いるといないじゃ人間が生きる上での幸福と感じるパラメータは大きく変化しますよね。
色々考え方の偏りはあるかもしれませんが、学校生活を謳歌してほしいものです。
アンチナタリストという言葉を知らなかったんですが、アンナのように考えがはっきりしていて、だからといって卑屈になったり自殺願望があるわけでないからある意味好感持ててしまいます。各々の思想はリスペクトするべきですね!