第十五話『小池正春Ⅱ』(脚本)
〇おしゃれなキッチン(物無し)
まったく、どいつもこいつも反省していないったら。
冴子は手鏡を覗きこんで思う。
奥田冴子(校長、小池正春。・・・・・・鏡を使ってこいつをチェックしていて正解だったわ)
小池校長の元にクレームを入れに来てきたのは、まぎれもない瀬田彩名の母親だった。
つまり、やましいところがあるという事実に他ならない。
瀬田彩名も、間違いなくいじめに噛んでいる。
校長も、瀬田彩名の母親も、共にその事実を隠ぺいしようとしている。息子に謝罪一つせずに。
奥田冴子(お前達みたいな大人に、慈悲なんかいらないわ)
今日一日、裁きを下すのはやめようかと思っていたが。黒幕らしい少女の名前も判明したし、警察の追及がいつ来るかもわからない。
何より、小池正春は丁度、人気のない道にいる。目撃者もいないし、まさにチャンスだろう。
奥田冴子「今夜は、お前を地獄に落としてやる。小池正春・・・・・・!」
〇モヤモヤ
第十五話
『小池正春Ⅱ』
〇ビルの裏通り
校長先生「だ、誰だ?何処にいるんだ!?」
小池はきょろきょろと周囲を見回した。しかし、自分に声をかけてきたらしい人物の姿は一切見えない。
『無駄だ、私を探してもお前には見つけられない』
声は、頭蓋骨に直接響いてくるようだった。
『大人しく質問に応えろ、小池正春。お前は木槌丘小学校の校長として、いじめを隠蔽しようとした』
『その主犯が誰であるかも知りながら・・・・・・そうだろう?』
校長先生「なっ」
小池は青ざめた。何で、こいつがそんなことを知っているのか。
まさか本当に、奥田奏音の祟りだとでも?
校長先生(い、いや!特定の人物にだけ声を聴かせることができる装置とか、世の中にはそういうものもあったはず!)
校長先生(きっと、誰か人間がやっているに決まっている!そのはずだ!)
質問に答えて、機嫌を損ねるのはまずい。この道が良くないのかもしれないなら、さっさとここから逃げて助けを求めるべきだ。
路地を飛び出そうとした、まさにその時。
校長先生「ひぐっ」
突然、金縛りにあったように体が動かなくなった。見えない鎖で、ガチガチに縛られているかのよう。
前に出そうとした足も、振ろうとした手も。指先一つ、動かせる気配がない。
『お前は私から逃げられない。私の特別な力からは』
校長先生「あ、あああ、あ」
『このままお前の全身を捻り潰してやることもできるが、どうする?』
校長先生「や、やめろ!やめてくれえ!」
ただの科学技術ではないのかもしれない。全身から、冷たい汗が噴出した。
この相手には逆らわない方が良いと、本能がそう言っている。
『質問に正直に答えろ。命が惜しいならな』
校長先生「わ、わかった、わかったから!・・・・・・わ、私は本当にいじめなんてものがあったなんて知らなかったんだ!本当だ!」
『知らなかった、ということは今は把握していると?』
校長先生「お、太田川先生から、それっぽいのがあったかもしれないって聞いて・・・・・・」
校長先生「それで、奥田奏音が死んだあと、私から直接、小河原海砂と村井芽宇から話を聴いたんだ!」
校長先生「そしたら、二人ともいじめなんかしてない、ちょっと、悪口を言ったりしただけだって」
校長先生「そ、それに・・・・・・自分達は命令されてやっただけだって!」
『命令してきたのは、瀬田彩名か?』
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校長先生による「管理責任」というものを考えさせられますね。当事者ではないが監督できる立場にあった人間、それを冴子さんはどう思うのか気になっていましたが、、、やっぱり。。。発覚後に処分などを厳粛に行っていれば、という感じですね