後宮教室

雛夢

第4話 内田誘拐事件(脚本)

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〇おしゃれな教室
  期末テスト当日。
  普段のテストの日以上に緊張感を纏った色之川高校三年六組教室に、梢の姿はない。
辻村蒼(梢さんがいない? まさか今日に限って遅刻・・・?)
先生「はい。みなさんも知っていると思いますが、今回の期末テストの結果で、後宮教室の最終審査に進める生徒二名が決まります」
先生「もちろん今までの成績も加味されますが、ここで頑張れば、逆転の可能性がある方もいるでしょう」
先生「そうでなくとも、進学時の成績には関わってきます。全員、見直しを怠らず、集中して取り組むように」
辻村蒼「あの、先生!」
先生「なんですか?」
辻村蒼「梢さんが来てません」
先生「見れば分かります」
辻村蒼「え・・・それだけ・・・?」
辻村蒼「あ、あのっ! 何か連絡はありましたか・・・?」
桜田「すいませーん、テストの勉強したいんですけど、個人的な質問はホームルーム終わってからにしてもらえませんか?」
辻村蒼「桜田さん・・・?」
先生「そうですね、それでは、各自一時間目のテストに備えるようにしてください」
先生「以上、朝のホームルームを終わります」

〇おしゃれな教室
辻村蒼(梢さん・・・大丈夫かな)
辻村蒼「・・・メールだ」
辻村蒼(梢さんから・・・!?)
辻村蒼「え・・・何これ・・・」
  梢から蒼に届いたメールには、とある場所の住所と『助けて』と書かれている。
  添付されているファイル開くと、廃墟のような部屋で縛られている梢の写真が表示された。
辻村蒼「っ・・・!」
辻村蒼「桜田さんっ!」
桜田「・・・何?」
辻村蒼「いい加減にしてくださいっ! こんなことをして・・・犯罪ですよっ!」
桜田「ちょっと、何の話? 人を急に犯罪者呼ばわりするとか、頭イカれてるわけ?」
辻村蒼「とぼけないでください」
桜田「何を勘違いしてるのか知らないけど・・・」
  桜田がゆっくりと立ち上がって、蒼の耳もとへ顔を近づける。
桜田「急いだほうがいいんじゃない? 怖いお兄さん達、何するかわかんないし。 テストとあの女、どっちが大事なのかな?」
辻村蒼「・・・!」
辻村蒼「最低な人だ」
  蒼はそう吐き捨てて、教室を飛び出して行った。

〇廃工場
  メールにあった住所には、廃業した小さな診察所があった。
  蒼が誰もいないエントランスで梢の名前を叫んでいる。
辻村蒼「はぁ・・・はぁ・・・梢さんっ!」
辻村蒼「梢さん! どこですか!?」
辻村蒼(佐野さん達はまだ来てないか・・・)
内田梢「ちょ、触るなっ!」
辻村蒼「梢さんっ!」
  梢の声のした部屋に蒼が飛び込んでいく。
  そこには、診察台に縛りつけられている梢と、男達が数名、彼女を取り囲むようにして立っていた。
男「おー、もう一人のターゲットもなかなか上玉じゃん」
内田梢「あ、蒼・・・!?」
辻村蒼「梢さんから離れてください!」
男「勇ましいね、こっちの人数見えてない?」
内田梢「蒼・・・! 逃げて!」
辻村蒼「人数なら、負けません」
男「は? 一人だろ? こんなか細い腕で何ができるんだ? わざわざ嬲られにきてくれたんだろ」
  男の一人が蒼の腕掴んだ。
辻村蒼「僕は・・・男ですっ!」
男「がっ・・・!」
  蒼が掴んできた男のスネを蹴り上げる。
  蹴られた男は蹲り、唸り声をあげた。
男「このクソガキがぁ・・・! おい! 顔以外なら殴ってもいい、さっさと縛りつけろ!」
内田梢「ダメだ、蒼・・・! 逃げないと!」
辻村蒼「大丈夫ですよ」
  蒼の後ろのドアから、佐野率いるSP部隊が突入してくる。
内田梢「え・・・?」
男「お、おい・・・なんだよこ・・・ぐふっ!」
  蒼の両脇を抜けていくガタイのいい男達が、不良供を取り押さえるのに、三分もかからなかった。

〇廃工場
佐野「おぼっちゃま、制圧は完了しました」
辻村蒼「梢さんっ! 無事ですか!?」
内田梢「うん、大丈夫」
辻村蒼「よかった・・・」
辻村蒼「その、変なこととかもされてないですか?」
内田梢「男三人にされそうになった」
辻村蒼「え!?」
内田梢「けど、蒼がきてくれたおかげで、何ともないよ」
辻村蒼「はぁぁぁぁ・・・よかったぁ」
内田梢「ありがとう。ヒロインみたいな綺麗な顔してるのに、まるでヒーローみたいだ」
辻村蒼「縄、解いてあげませんよ?」
内田梢「ごめんってば」
辻村蒼「ふふ、思ったより全然余裕そうで安心しま──」
辻村蒼(あ・・・梢さんの手、震えてる・・・)
辻村蒼「・・・・・・」
内田梢「・・・ん? どうしたの?」
辻村蒼「ごめんなさい・・・」
内田梢「・・・なんかしちゃった?」

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