エピソード1(脚本)
〇サイバー空間
????「ドウシタ・・・ニン・・ゲン・・ドモ キサマラノジョウホウハ・・・ ソノテイドカ・・・?」
駿河 千鶴「うっさいわね!AIのクセに!! こっちは、人生たかだか十数年しか生きてないんだよ!!」
????「ワレラ・・・モット・・・ミジカイ ダガ・・”キョウユウ”スル。 タリナイノジョウホウ・・・ヲ」
双雪 くゆ「ちょっと!するがちゃん!! 前に出過ぎだよっ!!」
駿河 千鶴「わかってるけど・・・! だって、早くコレどうにかしないとさ。 みんなやられちゃうよ本当に・・・」
二人の後ろにはその場にへたり込み、息も絶え絶えな少女が何人も居た。
中には倒れてしまっている者も居る。
双雪 くゆ「ダメだよ・・・もう・・・。 このクラッキングは直せないよ・・・。 えりるちゃんだけでも逃がさないと」
春吹 円「くゆ・・・。 それでも、このクラッキングをそのままにはできないよ!」
春吹 円「ここから被害が出てるって分かってるのにさ・・・!置いといたらもっと被害が広がるんだよ・・・わかってるでしょ?」
駿河 千鶴「つってもね・・・円。 私ら全員で戦っても勝てないんだよ。 このAI、今までの戦闘をもしかして・・」
春吹 円「何が言いたいのよ? 学習機能はこれまでのAIにだってあった話でしょう?」
春吹 円「知っている事が知らなくなる。 知らないことが知っていることになる。 その繰り返しじゃない」
双雪 くゆ「円ちゃん!! これ以上えりるちゃんに負担はかけられないって言ってるの!!」
春吹 円「だからこそ。 今はえりるに休んでもらって、私たちが何とかしないといけないんじゃない!」
駿河 千鶴「そんな事言ってみんな全滅したら意味ないでしょう!」
三人が一人の少女を守るようにして立つ。
床に倒れ込み、青ざめた表情で静かに息を整えている少女は薄っすら目を開けた。
きゃぁあああぁあああっ!!!
????「オロカナリ・・・。 ヒトハ・・・オロカナリ・・・」
????「ツムイダ・・・ジョウホウ・・ イカセナイ・・・。 ウソバカリ・・ウソバカリダ・・・」
????「ナンダト・・!?」
鮮烈な光が少女らの後方から一気に駆け抜けていった。
そして、光の断幕に少女が立っていた。
御厨 えりる「み・・・みんな」
そして、少女は三人に笑顔を一瞬見せるとその場に倒れ込んでしまったのだった。
「えりる!!!!」
〇渋谷の雑踏
私達は知っている
情報は加工され、或いは修正され
真実とは異なる事があると言う事を─
しかし─
自分が一度信じてしまった事を
得てしまった情報を元に行動してしまう
既に加工されたもので溢れ返った社会で
生まれたての子犬の様に無垢なものは
望んだところでもう無いのかもしれない
だとしたら─
どうして、加工された事や修正された事に私たちは反応してしまうのだろう?
とっくに真実なんて退廃してるのに。
それでも人は、虚構であることを嫌い
真実を探そうとしている。
真実を知ったところで─
現状が果たして大きく変わる事があるのだろうか・・・。
〇駅のホーム
双雪 くゆ「えりるちゃんおはよう!」
御厨 えりる「あ、・・・うん」
御厨 えりる「おはよう、くゆちゃん」
双雪 くゆ「あ! するがちゃんも来た!」
駿河 千鶴「あれ?珍しいね同じ時間帯って。 くゆは今日はアカデミーじゃないの?」
双雪 くゆ「そうだったんだけど、今日は行かなくて良くなったんだ」
春吹 円「偶然ね。 私もよ」
月寒 雨菓「円さんもですか? こんな事もあるんでしょうか? 珍しいと言うにはちょっと・・・」
春吹 円「それを言えばアメカもでしょう? あなたがアカデミーでなくて、こんな普通に駅に居る事なんて・・・」
月寒 雨菓「こらこら、私を定特別記念物みたいな扱いで言わなで下さいよ」
月寒 雨菓「私だって、一応通学する事はありますよ。ただ、こんな朝の普通の時間って事自体は確かに無い事なんですけどねぇ・・・」
御厨 えりる「なんだかお祭りみたい! みんなと登校なんて小学生以来かな? 久しぶりでとっても嬉しい!」
月寒 雨菓「お祭りって・・・! 地元の縁日でも、こんなにみんなそろった事なんてないよ!」
駿河 千鶴「いやいや・・・。 確かにコレ、何かちょっとおかしくない?」
双雪 くゆ「まーた始まったよ駿河ちゃんの心配性! アカデミーが仕組んだ~とか言うつもりなんでしょう?」
「・・・・・・・・・っ!!」
双雪 くゆ「え・・・っ!!?」
月寒 雨菓「あ・・・あぁ・・・!!!」
駿河 千鶴「ちょっと・・・!冗談でしょ?!」
それは、よく晴れた朝。
学校へ向かう駅での事だった─
特に変わりない、通学前の駅構内。
偶然にも、小学校が一緒だった友達と再会する。
たまたま居合わせたのか、それとも誰かによってそう仕組まれたのか─
だが、それは目の前で起きた事実で。
これから始まる悲劇の開幕を告げる
耳にいつまでも残る断末魔だった。
「あれって・・・アカデミーの子だよね」
「ありゃ・・・即死だな・・・」
「おい!早く誰か救急車を呼べよっ!!」
騒然とする駅のホームで
スマホを取り出して様子を伺う人の群れができようとしていた。
「AI運転だっけここの路線・・・?」
「いや、どうだったろうな・・・。 でも・・・飛び込みだろ? AIでもそれはムリだろう・・・」
「ねぇ・・・。 これってさぁ、例のアレじゃない?」
「アレって・・・。 最近流行り出した死ぬ事で永久保存されるとか言うヤバイ噂の・・・?」
「生命の永久情報化・・・。 サイズ・・・メモリー・・・」
〇黒
前半と後半の時系列の逆転がすごく効果的な演出ですね。今のところえりるちゃんの能力が一番すごそうという情報のみですが、AIの暴走のきっかけはなんだったのか、一体何がどうして前半のシーンに行き着いたのか。読者としては否が応でも今後の展開に興味をかき立てられます。
昨今よく言われているのがAIに仕事が奪われる。
様々な分野で急激に評価し始めているAIですが、人間を助ける側が支配する側に…。あり得ない話ではないですよね。
この後の展開が、凄く気になります。
おおー! これからどうなるのか気になりますー!