勇者殺しの街と反逆の勇者(脚本)
〇薄暗い谷底
ミア(ん~)
ミア「あった!この薬草だ」
ミア「これでお姉ちゃん助けられる」
私は物陰に隠れた
(崖の上で怪物同士が戦ってる?)
(え!怪物落ちてくる!?)
ミア(死んでる?)
恐る恐る近寄ってみた
ミア「火竜だ!?」
ミア「ほんとに死んでる?」
ミア「おーい」
ミア「死んでる・・」
ミア「この竜の素材売ったらお金になるかも!」
〇黒
〇怪しげな酒場
ミア「これ買い取って下さい」
ギルド兼宿の店主「え!?」
ギルド兼宿の店主「倒したの?すごい!」
ギルド兼宿の店主「みんな!街はずれの火竜 この嬢ちゃんが倒してくれたよ」
ミア「あ、いや、ちがぅ・・」
ギルド兼宿の店主「勇者レオすら殺された あの火竜だよ」
なんだって!?
新たな勇者の誕生だ
勇者様
勇者様
ギルド兼宿の店主「礼がしたい。ぜひうちの宿に泊まりな」
ギルド兼宿の店主「宿泊費、食費とも永久無料にしてやるよ」
ギルド兼宿の店主「なんたって勇者様だからね」
魔法道具屋の店主「私は魔法道具屋の店主だ」
魔法道具屋の店主「店の物をいくつか無償で提供しよう」
魔法道具屋の店主「勇者愛用の道具だって宣伝させてもらうがね」
ミア(言い出せない雰囲気になってきたな)
瞬く間に私は『勇者』として街中で有名になっていた
〇英国風の部屋
薬草で姉も助かり
みんなからの「お礼」で生活には苦労せず
孤児だった私たち義姉妹にとって夢のような生活だった
イリスお姉ちゃん「でも」
イリスお姉ちゃん「騙してるようで気持ち悪くない?」
イリスお姉ちゃん「正直に話した方が」
ミア「それが、聞いちゃったんだけど」
ミア「もう私たちに大金使っちゃったみたいで」
ミア「本当の事話したら殺されちゃうよ」
そうして1か月が過ぎようとしていた
街はずれに凶暴な怪物が現れたという
〇怪しげな酒場
ギルド兼宿の店主「冒険者が何組か殺られたから」
ギルド兼宿の店主「騎士団要請した結果」
ギルド兼宿の店主「来てくれないってさ」
ギルド兼宿の店主「エルフ領に対して 何か企んでんじゃないかな」
ギルド兼宿の店主「怪物の一匹ぐらい 冒険者でどうにかしろってさ」
ギルド兼宿の店主「ったく・・・」
勇者様!奴を倒して下さい
もう勇者様にしか頼めないんだ
勇者様
ミア(ど、どうしよ?)
イリスお姉ちゃん(手練れが負けてて どうやって私たちが勝つのよ)
ミア(でもこれ逃げられないよ)
ギルド兼宿の店主「こんな時のために 勇者様には無料でここに泊まってもらってんだ」
ギルド兼宿の店主「ここで活躍してもらわなきゃ こっちだって困るんだよ」
勇者様
勇者様
ミア(うぅぅ)
イリスお姉ちゃん(魔法道具を無償でって言ってたよね)
イリスお姉ちゃん(それを駆使して戦えば、もしかしたら)
ミア(それだ!)
ミア(投げつけて使う炸裂弾に火炎弾)
ミア(無味無臭の麻痺薬?半日後に効果出現、丸1日麻痺する、大型の怪物には未検証?)
イリスお姉ちゃん(魔力大爆発を起こす試作品の石 重い!投げられないな)
他にも様々な魔法道具を提供してもらい
やむを得ず怪物討伐に向かった
〇薄暗い谷底
何度も轟音が鳴り響く
魔法道具も残りわずか
ミア「はぁ、はぁ、まだ倒せないの?」
私たちも怪物も互いに満身創痍だった
イリスお姉ちゃん「気を抜かない!」
イリスお姉ちゃん「来るよ!」
ミア(え!?こっち来る!?)
イリスお姉ちゃん「危ない!」
ミア「あ!?」
お姉ちゃんは私を突き飛ばし
その右腕には無数の牙が深く食い込んだ
血まみれのお姉ちゃんは力なく私に微笑んだ
お姉ちゃんの手の中で魔法道具が不気味に光る
イリスお姉ちゃん「ごめんね・・」
イリスお姉ちゃん「ミア、生きて・・・」
光はお姉ちゃんもろとも怪物を飲み込み
跡形もなく消し去ってしまった
ミア「・・・」
ミア「お姉・・ちゃん・・・?」
ミア「お姉ちゃん!?」
ミア「お姉ちゃん!!?」
〇英国風の部屋
姉の使っていた椅子、ベッド
そこに姉の姿はもう無い
時折、姉がそこにいるような気がする
振り向いても
そこにはいない
ミア「お姉ちゃん・・・」
ミア「・・うぅ・・・うぅぅ・・・」
そうして日々が過ぎる中
騎士団からの通達が
追い打ちをかける
エルフ領への奇襲隊に選ばれたのだった
〇怪しげな酒場
ミア「エルフって森守ってるだけだよね?」
ギルド兼宿の店主「そだよ」
ミア「だったら」
ギルド兼宿の店主「偉い人の考えは分かんない」
ギルド兼宿の店主「引きこもってても仕方ないだろ?」
ギルド兼宿の店主「死んだ人は戻ってこない」
ギルド兼宿の店主「作戦に参加できるなんて光栄なことだよ」
ギルド兼宿の店主「国の命令は絶対なんだよ!」
国の偉い人が
エルフ領侵攻なんて考えなければ
あの怪物の討伐隊を編成する余裕はあったはずだ
ミア(そしたらお姉ちゃんは死なずに・・・)
ミア(お姉ちゃん・・・)
ミア(こんな作戦なんて・・!)
そして、作戦は始まった
〇美しい草原
エルフの森は目前まで迫っている
私たち奇襲隊は
陽気に旅する冒険者パーティに扮していた
みんな気のいい人たち
でも作戦内容から察するに
私たちは捨て駒だった・・・
ミア「すぅ・・・」
ミア「みなさんどうぞ お姉ちゃん直伝のシチューだよ」
奇襲隊隊員「おう ありがとよ」
奇襲隊隊員「旨い!」
奇襲隊隊員「勇者が料理も上手いとは大したもんだ」
ミア「明日に備えてしっかり力つけてね」
みんなの笑顔の裏には
明日の死を前にした諦めの色が見えた
ミア(せめてこの人たちは・・・)
〇けもの道
翌日
エルフの森に入るや
奇襲隊隊員「なんだ」
奇襲隊隊員「身体が痺れてきた」
奇襲隊隊員「私もだ」
ミア「噂だとエルフにはそういう「呪い」を使う奴がいて」
ミア「毒消しも魔法解除も効かないみたい」
奇襲隊隊員「なんてこった」
成すすべもなく
一人
また一人と倒れていく
奇襲隊隊員「この呪い、麻痺か」
奇襲隊隊員「すまない、俺も休ませてもらう」
奇襲隊隊員「あとは、頼んだ」
ミア(・・・)
私は苦しむ演技をやめた
ミア(効いたみたい)
ミア(上手くいったら 後で助けるから)
そして
森に向かって大声で呼びかけた
ミア(矢が来るか エルフが来るか)
ミア(あれ?何も・・)
〇けもの道
エルフに拘束され
森の奥までたどり着いた
下がってよい
ミア(この光・・)
森の女王「わたくしが女王です」
森の女王「お話、伺いましょう」
そこで私は
この愚かな侵攻計画の全貌
捨て駒にされた奇襲隊
死に追いやられた最愛の姉のことを話した
〇けもの道
数週間後
森の女王「あなたの行いで 侵略行為を阻止できました」
森の女王「是非お礼をさせて下さい」
森の女王「我々に出来ることで」
森の女王「何か願いはありますか?」
ミア(無理だってわかってる)
ミア(でも)
ミア「お姉ちゃんに、会いたい・・」
エルフ(お耳を)
森の女王(先日の精霊界の迷い人)
森の女王(まさか)
森の女王(そうでしたか)
森の女王「連れてきて」
森の女王「あなたの願い」
森の女王「叶えましょう」
ミア「え?」
ミア「・・あ・・!?」
ミア「・・あぁ・・・!?」
なんだかんだミアは魔法道具を使いこなすし機転もきくし勇気もあるし、だんだん偽物ではない本物の勇者っぽくなっていきましたよね。嘘から出たまことというか、瓢箪からコマというか。姉妹の再会シーンでFinのイラストが素晴らしく、わぁっと声が出てしまいました。
周囲を思いやれる優しいミア、無事に再会ができてよかった😭そしてこの人数のキャラクターを描ける事がすごいです!
私もトリプルコラボコンテストにてあうろーらさんのキャラクターを使用させて頂きました!
表情豊かで生き生きとした美少女ちゃん、とにかくかわいくて大好きです😊✨素敵なキャラクターを生み出して頂きありがとうございます!
どうしてもお礼をお伝えしたくて!お話のコメント欄にて失礼いたしました🙇
やっぱり絵が描けるってすごいですよね。表紙もとても目を引きます。キャラ的にも現代社会よりも今作品の世界観のほうがぴったり合うのかなあと思います。ちょっと切なくも心温まる楽しいストーリーでした。