シャワーを浴びる君を待つ僕は

おそなえひとみ

早く出てこないかな(脚本)

シャワーを浴びる君を待つ僕は

おそなえひとみ

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〇女性の部屋
  今、あの扉の向こうでは彼女がシャワーを浴びている
  シャワールームの扉から聞こえる音が緊張感を高める。
  あの扉から出てきた彼女の姿を見たら、
  胸の高鳴りは最高潮を迎えるだろう。
  濡れてしっとり柔らかくとした長くて黒
  い髪。温められて赤く火照った体と顔。
  早く君を抱きしめたい。
  ふわりと広がる髪からは、トリートメントの甘いローズの香りが漂うのだろう。
  そんな君を見たら、たまらず襲い掛かってしまいそうだ。
  でもダメだ・・・
  ゆっくりと深く息を吸い、その衝動を抑える。
  シャワールームから出た君の手を引いて、部屋まで連れてくる。
  紳士的に迎えよう。その為には、もう少し気持ちを落ち着けないと。
  昔のことでも思い出そう・・・よく母さんに殴られたっけ。
  口の中が切れ、いつも血の味がしていたのを思い出す。
  数少ない母さんとの思い出だ・・・
  思い出すことを間違えたな・・・今度は逆に気が滅入ってきてしまった。
  僕は家から持ってきたグラスと、コンビニで買ってきたブロックアイスをテーブルの上に置く。
  そして同じく持ってきたアイスピックを手に取り、板状のブロックアイスを削り始める。
  上質なお酒に必要なのは、上質な氷だ。
  まずは板状の氷を、均等の大きさになるよう半分に割る。
  そして二つに割った氷をまた削り、丸い氷へと仕上げていく。
  アイスピックで削られて、飛び散った氷が床に落ちる。
  後で綺麗にしなければ・・・
  部屋を汚したままでいたら、どんな酷い目に合うかわからない。
  できるだけ氷を丸く削り、表面積が減るように仕上げる。
  お酒に触れる部分が少なくなるように。
  触れる面積が多ければ多いほど、氷はすぐに解けてしまう。
  水っぽくなってしまったら、上質なお酒がもったいない。
  僕にとっては恋愛関係も同じだ。体から始まる関係では逆に冷めてしまう。
  それは最後のお楽しみだ。姿に惹かれて、声に聞き惚れて、どんな生活を送っているかを知っていく。
  見えている部分より、隠れている部分に目が向くのが人間だ。
  だからこそ、もっと、もっと知りたくなって、追い求めるのだ。
  もう7年前になるだろう。初めて真由美と出会った時のことを思い出す。
  全ての始まり。今日へと続く物語。
  僕の体の内から堪らぬ熱さがこみ上げる。
  今日は、ついにあの子の体に触れる日だ。
  なんども聞いた落ち着いた声。その声が愛おしくててたまらない。でも、少し不機嫌な声も嫌いじゃないな。
  嫌いな所が今は見つからない。
  ずっと眺め続けてきた綺麗な黒髪も、どれだけ触っても飽きないだろう。
  さらに君の体となれば、どれほどだろう。時間は有限だが、君の全てを許す限り愛し続けたい。
  そろそろ彼女がシャワールームから出て来るころだ。
  僕は落ち着くために、グラスの液体を口に含んで飲み込んだ。
  いつもと同じで甘味が強く、ピートの香りが少ないシロモノ。
  さらにグラスを傾け、一気に飲み干した。
  強いアルコールの刺激が、氷で冷やされているにも関わらず、僕の胃を熱くする。
  鼻歌混じりの彼女の声が聞こえてくる。
  シャワールームの扉のノブが回る。
  いよいよその時が訪れる。
  扉が開き、彼女が現れた。

〇白いバスルーム
  彼女が僕を見る。
  僕は微笑みながら、シャワー上がりの火照ったその姿を目に焼き付けながら、彼女に近づき手を取った。
  彼女は目を見開く。さも驚いたように。
  君はきっとこう言うだろう「あなた誰!!」って。
「あなた誰!!」
  みんな、そう言うんだ。
  そして次の言葉は、「どうして私の部屋にいるの?」だ。
「どうして私の部屋にいるの!?」
  知ってる・・・みんなそうだったから。
  初めて殺した真由美も、その次の香奈も。他のみんなそうだった。
  君でもう7人目だ。間違うなんてはずがない。僕はそれだけ、君を・・・・・・君達のことを知っている。
男「さぁ、こっちへおいで」
  僕は早く知りたいんだ。君の血を含んだウィスキーがどんな味に変化するのかを。
  やっぱり、僕や母さんの血の味とは違ってるのかな?

〇黒

〇白いバスルーム
男「なんだ苦いのか・・・」
男「今回も外れだな・・・」
男「また次探さなきゃ・・・」

コメント

  • うわー、気持ちいいくらいやられたー!
    せくしーな恋愛模様かと思いきや、まさかの……。このドキドキ高揚感を返してくださいwww

  • なんだろう…ドキドキ違い…。
    完全にアレだと思っていたのに騙されました笑
    しかもすごく怖いこと言い始めるし…。
    ちゃんと鍵は閉めましょう。

  • あのドキドキではなく、そのドキドキだったんですね!なんともいえない脱力感と恐怖が一気に押し寄せてきました。こういう展開、斬新で読みごたえあります。

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