髪の妖怪

髪の妖怪(脚本)

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〇寂れた村
  昔むかしある村で村人たちが
  一夜の間に
  はげつるぴっかになる事件が
  起きました
長老「そりゃあ髪の妖怪の仕業じゃろう」
長老「髪の妖怪は自分の髪ツヤのために 人間の髪を喰うのだ」
長老「髪の妖怪の大好物は 美しい女の長髪だ」
わたし「まあ! 次は私の番かしら」
わたし「今日は寝ずに 妖怪が来るか見張ってやろう」

〇古風な和室(小物無し)
わたし「とっちめてやるぞ〜!!」
  がたがた 窓の揺れる音がします
わたし「きたか?」
  窓の隙間から黒い長髪が
  ぬろぬろと入ってきます
わたし「ヤイ妖怪! 私の髪はあげねえぞ!」
わたし「塩でもまけばいいのかな?」
わたし「くらえソルトスプラッシュ!」
髪の妖怪「かーみー かーみー」
わたし「なんてしぶとい妖怪なんだ」
わたし「そんなに長い髪してるなら 自分の髪切って食べれば」
髪の妖怪「短くなる やだ!」
わたし「どうせそんなに大事にしても 白髪になる」
髪の妖怪「幽霊はちがう!!」
わたし「じゃあなんで人を襲う?」
髪の妖怪「うるさい!」
わたし「お前も人間のように老いを 恐れているな」
髪の妖怪「幽霊はちがう! 人間と一緒にするな!」
わたし「ならばここから立ち去れー!」
髪の妖怪「うるさい かみ〜よ〜こ〜せ〜」
わたし「あーもう! めんどう! なにか髪っぽいものないかな?」
髪の妖怪「髪っぽいなあ♪」
わたし「老いのネタバレ 「白髪」っぽいな」
髪の妖怪「妖怪のネタバレ 「想念」っぽいな」
わたし「なにそれ意味深でかっこいいじゃん・・・」
髪の妖怪「それっぽい単語集で踊ってんだ」
わたし「失敬!」
わたし「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "コンブ"」
髪の妖怪「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "わかめ"」
わたし「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "そば"」
「ぽいじゃん ぽいじゃん」
わたし「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "クラゲ"」
髪の妖怪「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "ラーメン"」
わたし「つぅ つぅる つぅ つぅ つぅる "冷麺"」
髪の妖怪「髪っぽいな」
わたし「もういいぜ もういいぜ 老い」
髪の妖怪「もういいぜ もういいぜ 逆に興奮してきたなあ」
わたし「かっけーね かっけーね 髪 かっけーね かっけーね」
髪の妖怪「若くても 品性はTHE END うええい うええい」
わたし「"ロマンスグレーだよ"」
髪の妖怪「老いっぽいな それ やっぱ 老いっぽいな それ "My hair"」
わたし「アイウォンチュー ウォンチュー 経験値が上がっていく感じ」
髪の妖怪「智慧っぽいな それ 畢竟ひっきょう 智慧っぽいな それ "My Wisdom"」
わたし「アイヘイチュー ヘイチュー どの道死ぬいのち」
髪の妖怪「その髪型 その目 その口元」
わたし「その香水 その服 そのメイク」
髪の妖怪「アレっぽいな それ ボケ アレっぽいな それ」
わたし「その名言 その意見 その批評」
髪の妖怪「そのカリスマ そのギャグ そのセンス」
わたし「アレっぽいな それ 誰」
髪の妖怪「ぽいな ぽいな ぽい 忘れちゃった!」
わたし「老いのネタバレ 「白髪」っぽいな」
髪の妖怪「妖怪のネタバレ 「想念」っぽいな」
わたし「すべて理解して患った」
髪の妖怪「無邪気に踊っていたかった 妖怪」
わたし「ノリノリやん」
髪の妖怪「かっこいいロマンスグレーの妖怪に なろうと思います」
わたし「素晴らしい 応援してるぜ」
髪の妖怪「さようなら」
わたし「おう! 村のみんなにちゃんと謝ってから行くのよ!」

コメント

  • 「神っぽいな」の「神」と「髪」の替え歌バージョン、息もつかせぬ二人の掛け合いがすごかった。でも後半は原曲のままの歌詞で作者さん疲れちゃったのかな。歌ったら満足して帰っちゃう妖怪がかわいい。

  • 長老の両サイドを固める二人のハゲも妖怪に髪を食べられたんだ……と思って読み進めたら妖怪は美しい女の長髪が好物だと言うことで……
    「ただのナチュラルのハゲや!」と思わずツッコんでしまいました。

  • 『わたし』ちゃんすごいパフォーマンスでした! 大人では不可能な妖怪のさばき方は圧巻です。妖怪も決してすごく悪いタイプではなかったのかもしれませんね。

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