殺人鬼カップル

藤崎 りりす

エピソード1(脚本)

殺人鬼カップル

藤崎 りりす

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〇高級マンションの一室
隆二「聞いてくれ」
隆二「俺には秘密がある」
主人公「何? 鼻炎だってことなら前に聞いたわよ」
隆二「そんなんじゃないんだ」
隆二「実は俺、殺人鬼なんだ」
主人公「えっと」
主人公「言うまでもないけど、冗談だよね?」
隆二「残念だけど、冗談じゃないんだ。俺は、中学生のころに、両親と兄を殺してる」
主人公「何言ってるの」
主人公「ご両親とお兄さんには、このあいだ会わせてもらったばかりじゃない」
隆二「あれは、少年院を出たあとに養子縁組した家族なんだ」
主人公「隆二、そういうのは、冗談でもよくないよ」
隆二「冗談じゃないよ。○○県✕✕市の、中学生の次男による一家殺害事件。ネットで調べれば、今の俺の名前も顔も出てくるから」
  私は、隆二を信じていたが、念のためにスマホで検索してしまった。
  すると、確かに、過去の事件の話と、隆二の今の情報が出てきた。
主人公「本当なんだね・・・」
隆二「だから、そう言ってるじゃないか」
主人公「どうしてそんなことをしてしまったの?」
隆二「よくある話だよ。私立中学に無理に入れられて、勉強についていけなくて、学校ではいじめられて」
隆二「それでも家族は、勉強、勉強って。できのいい兄と比べられて、それが一番つらかった。だから殺した」
  隆二は、淡々と語る。
  そういう、一家殺害事件の動機としては、よくある話、なのだろうか。イマイチわからない。
隆二「だから、別れよう」
主人公「どうして?」
隆二「殺人鬼と結婚なんてできないだろう」
隆二「正直、最初は隠しとおせると思っていたんだ。でも今は、ネットでなんでも調べられてしまう」
隆二「お前に知られるのも、時間の問題だと思って・・・」
主人公「私は、隆二の過去なんて気にしない。今の隆二が好きだから」
隆二「そう言っていたのに、過去の彼女は全員、俺の元から去っていったよ」
主人公「私は違うわ。だって、隆二の気持ちがわかるもの」
隆二「普通に生きてきたお前に、わかるはずが・・・」
主人公「あれ? 言ってなかったっけ?」
主人公「私、両親と妹を中学生のときに殺してるって」
隆二「そういう冗談はいいから」
主人公「冗談じゃないよ。それこそ、○○県✕✕市の一家殺害事件、長女が犯人だったってやつ、調べてみて」
隆二「本当だ・・・でも、その長女が今どうしているかまでは、ネットに情報が載ってないよ。適当に言っているだけだろ」
主人公「うん、じゃあ、殺した動機を話すね」
主人公「妹のほうがかわいがられてたから、ムカついた。それだけ」
主人公「だから、隆二の動機ってイマイチ理解できないんだよね。私は、自分が一番じゃなきゃ嫌なだけなの」
主人公「隆二、元カノが自主的に去っていったと思ってるかもしれないけど、そのうち何人かは、私が去っていかせたから」
主人公「いろんな意味でね」
  私の発言に、隆二はあからさまに引いていた
主人公「あのー、なんで殺人鬼同士で引いたり引かれたりしなきゃいけないのかなぁ」
主人公「私たちの子どもって、サラブレットになると思わない? 子どもに殺されるのも、スリルがあっていいと・・・」
隆二「いい加減にしてくれ!」
隆二「あのな、俺は殺人鬼なんかじゃないんだよ」
隆二「同じ中学の同じ学年に、一家殺害事件の犯人がいて、そいつと似た名前だったんだ」
隆二「だからネット上で、俺が犯人扱いされてるだけなんだよ」
主人公「じゃあなんで、殺人鬼だなんて嘘ついたの?」
隆二「最初にそういう入り方をすれば、そのあと引かれにくくなるだろ。そこで別れようってなったらそれで終わりだし」
隆二「ようは、お前のことを試したんだよ。試したことは悪かったけど・・・よりひどい嘘で返されるとは思ってもみなかった」
主人公「ごめんねぇ。もちろん、私も冗談だよ」
主人公「隆二がネットで中傷されてること、実は前から知ってたの」
主人公「だから、これぐらいの返し方のほうが、気にしてない証拠になるから、いいかなと思って」
隆二「そこまで俺のことを考えてくれてたのか・・・」
  そのあと、私たちは仲直り
主人公(あーあ、私が本当に殺人鬼だってことは、いつカミングアウトできるんだろう?)

コメント

  • 最後「えー!?」ってなりました。
    それまでにもすごい事件の話でしたが、最後の彼女のカミングアウトはインパクトありますよ!
    ってことは…動機も本当なんでしょうね。怖ろしい!

  • 両者とも冗談なんだろうなぁ、あ!ほら冗談だったよかったよかったと思ったけど彼女側が実は…汗
    展開がくるくる変わって読んでいてドキドキしました!

  • 本当のサイコパスっていうのは、主人公みたいな人のことをいうんですよね。
    隆二くん、結婚してからじゃ遅いから早く気づいてほしいです!

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