魔法少女の母、娘を全力でサポートします!

花石雫

ママ友になりましょう。(脚本)

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〇大きい研究施設
  その日、私は娘と共にとある施設に呼ばれていた。
  ここに来るのは久しぶりだ。最後に来たのは旦那が引退すると決めた時だったろうか?
  自分にとっては忌まわしさと感謝が入り交じる場所。
  そこに呼び出された時点で予感はしていた・・・
  平穏な時が終わりを告げる予感がー・・・

〇研究施設のオフィス
池野司令官「やぁ、舞桜くん。わざわざ呼び出してすまないね」
青海舞桜(おうみまお)「あら、池野司令官直々の呼び出しとあれば、私に断る理由などありませんわ」
池野司令官「ははっ、そう言ってくれると助かるよ」
池野司令官「光李くんも久しぶりだね。随分と大きくなったなぁ!」
青海光李(おうみひかり)「お久しぶりです、池野のおじ様」
青海光李(おうみひかり)「最近ちっとも遊びに来てくださらないんですもの。私、寂しかったんですよ?」
池野司令官「あぁ、すまないね。私も行きたいのは山々なのだが、仕事が立て込んでいてね・・・」
青海舞桜(おうみまお)「ふふ、光李は池野司令官の事が大好きですからね」
青海光李(おうみひかり)「今度絶対遊びに来てくださいね?」
池野司令官「あぁ、約束するよ」
青海光李(おうみひかり)「約束ですよ!」
青海舞桜(おうみまお)「それで・・・大事な話と言うのは何なのでしょうか?」
池野司令官「あぁ。そうだったね。先ずは移動しようか。そこで会わせたい人達もいるからね」
青海舞桜(おうみまお)「会わせたい人?・・・まぁ、いいですけど」

〇豪華な部屋
池野司令官「待たせたね、桃子君」
  部屋を移動すると、そこには見覚えのある顔があった。
赤城桃子「いえ。・・・お久しぶりね、舞桜さん」
赤城桃子「光李ちゃんは最後にあったのはもっと小さかったから分からないかしら?」
青海光李(おうみひかり)「え!?桜乃木桃子(おうのぎももこ)!?」
赤城桃子「ええ、そうよ」
青海光李(おうみひかり)「伝説のアイドルにして女優、人気アナウンサーの桜乃木桃子!?」
赤城桃子「そ、そこまで言われるとちょっと照れちゃうけど・・・そうよ」
青海光李(おうみひかり)「すごーい!!」
青海舞桜(おうみまお)「ほら光李、喜ぶのはいいけどちゃんと挨拶しなさい」
青海光李(おうみひかり)「あっ、はい!青海光李です!」
青海舞桜(おうみまお)「煩くてごめんなさいね、桃子さん。この子、貴方のファンなのよ・・・」
赤城桃子「いえ、嬉しいわ。それより、私の方も紹介させてね」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「初めまして、舞桜さん、光李ちゃん」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「赤城桃子の娘の秋桜です!」
青海光李(おうみひかり)「わぁっ、可愛い・・・仲良くしてね!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うんっ!」
青海舞桜(おうみまお)「貴方も娘が居たのね・・・」
赤城桃子「ええ。ただ、立場上公式には発表できてなかったんだけどね」
青海舞桜(おうみまお)「そう、よね。貴方ほど有名だと、色々と大変だものね・・・」
赤城桃子「でも、今回の件で漸く堂々と親子だって言えるようになるの」
青海舞桜(おうみまお)「そうなのね、よかったわ」
池野司令官「うむ、では会話が暖まってきたところで本題に入ろうか。皆座りたまえ」
  私達が座ると秘書がお茶を入れて部屋を出ていく。
池野司令官「先ずはこれを見て欲しい」
  画面には怪人が街で暴れる様子が撮されていた。
池野司令官「知っての通り・・・この世界には定期的に怪人が現れ、それを我々地球防衛庁が撃退している」
池野司令官「しかし、最近少し敵方の動きがおかしくてな・・・わかるかい?」
  言われて画面の映像をよく見る。すると、一つの共通点があった。
青海舞桜(おうみまお)「・・・敵の年齢が・・・随分と幼いですね?」
赤城桃子「見た感じ、うちのこ達と変わらないんじゃありませんか?」
池野司令官「そうなんだ。そして、その見た目の怪人達を私達大人がぼこぼこにする映像・・・」
池野司令官「これを見て、君たちはどう思う?」
青海舞桜(おうみまお)「まぁ、非人道的に見えなくもありませんわね」
赤城桃子「酷く暴力的にも見えますよね・・・これでは、防衛庁としても動きずらいのでは?」
池野司令官「全くもってその通りなんだ」
池野司令官「人に危害を加える怪人をヒーローがやっつけると言う図式は人々に受け入れられている」
池野司令官「しかし、大人が子供を傷付けるように見えるこの映像には、既に批判の声も上がりはじめているんだ」
青海舞桜(おうみまお)「小さくたって怪人は怪人なんですけどね。人間ってめんどくさいわ」
池野司令官「舞桜くん、人に感情がある以上、仕方のないことなのだよ・・・しかし、このままと言う訳には行かない・・・」
池野司令官「そこで我々は考え出した!」
赤城桃子「まさかー・・・」
池野司令官「そうっ!相手が子供ならこちらも子供が相手をすればいい!!」
池野司令官「『子供地球防衛庁』を設立する事になったのだ!!」
「ありえないわっっっ!!!!!」
  馬鹿の極みたいな話に、流石に私達の声が重なった。
青海舞桜(おうみまお)「まさか、そんな馬鹿げた事のために娘を差し出せと言うのかしら?」
赤城桃子「そうです、大体うちの娘は至って普通の子供ですよ!どうやって戦うって言うんですか!」
池野司令官「いや、君たちの娘さん達は普通じゃないだろう?」
池野司令官「レッドを勤めた赤城君とピンクを勤めていた桃子君・・・」
池野司令官「二人の娘であり、いわばヒーローのサラブレッドである秋桜くん・・・」
池野司令官「そして、ブルーを担っていた青海君と・・・」
池野司令官「・・・怪人である君との間に産まれた光李くんも、素質が無いとは言えないだろう?」
  怪人。
  ──・・・そう、私はかつて怪人として人と対峙していた。
  そして、スパイとして敵側に寝返っていた旦那と、恋に落ちて、人と共に生きることを選んだ。
  その子供である光李は、人から見たら確かに運動能力が高いとは言えるが・・・
青海舞桜(おうみまお)「・・・私が、元怪人だから、その娘に戦えと?」
赤城桃子「両親がヒーローだったから、娘にもヒーローになれ、と・・・?」
池野司令官「そうだ」
池野司令官「非道だと思うだろう。しかし、これは既に政府により決定していることなんだ」
池野司令官「君たちの娘には、この地域の平和を担うヒーロー・・・いや、魔法少女になってもらう!!」

〇結婚式場のテラス
  政府の話を断れるわけはなく・・・娘達は『魔法少女の衣装』の採寸に連れ出された。
  親の気持ちとは裏腹に、子供達は非常に乗り気である。
  仕方なく私と桃子さんはテラスで待つことになったが、お互いの表情は暗い・・・
青海舞桜(おうみまお)「・・・大変な事になったわね」
赤城桃子「そう、ね・・・」
  深いため息が出る。
  怪人だった頃、私は男達を手玉にとる魔性の怪人だった。
  当然桃子の旦那をターゲットにしたこともあるわけで・・・
  彼女が私を苦手としていることは、人側に来た時から感じていたから・・・
青海舞桜(おうみまお)「・・・ねぇ、桃子さん」
赤城桃子「はい?」
青海舞桜(おうみまお)「私は旦那からはなにも聞いていなかってけれど・・・」
青海舞桜(おうみまお)「貴方はここで働いているご主人から何か聞いていて?」
赤城桃子「・・・何も。何も聞いていないの。こんな、大切なこと・・・」
赤城桃子「もっとも、あの人の事だから・・・自分の娘をヒーローになんて聞いたらもろ手をあげて喜ぶでしょうけど・・・」
青海舞桜(おうみまお)「あぁ、言いそうね・・・」
青海舞桜(おうみまお)「・・・ねぇ、桃子さん。私達が、しっかりしないといけないと思うの」
赤城桃子「舞桜さん・・・?」
青海舞桜(おうみまお)「私達、過去に色々あったわよね・・・」
赤城桃子「え?えぇ・・・そう、ね」
青海舞桜(おうみまお)「私のやってきたこと、水に流せとは言わないわ」
青海舞桜(おうみまお)「でも、今は子供達のために協力できると思うの」
赤城桃子「子供達のために・・・?」
青海舞桜(おうみまお)「ええ」
青海舞桜(おうみまお)「あの子達は普通の子供よ。なのに、いきなり魔法少女なんて持ち上げられて・・・注目されて・・・」
青海舞桜(おうみまお)「生活は一変するわよね?もう、普通じゃいられなくなる。特別な子供にさせられるの」
赤城桃子「そう、ね・・・」
赤城桃子「その時あの子達を支えられるのは、私達」
赤城桃子「舞桜さん、私、ヒーローになる前から芸能人をやっていたのよ・・・」
赤城桃子「だから、子供にとって戦う以外の驚異が何か・・・分かっているわ」
青海舞桜(おうみまお)「頼もしいわ、桃子さん」
青海舞桜(おうみまお)「ねぇ、桃子さん。私達、ママ友になりましょう?」
赤城桃子「まま・・・友・・・?」
青海舞桜(おうみまお)「そう、私達はあの子達の為なら協力できる。協力なサポーターになれる・・・そうでしょう?」
赤城桃子「そう・・・そうね。私と舞桜さんなら・・・善も悪も兼ね備えた、最高のママ友になれるハズだわ」
青海舞桜(おうみまお)「でしょう?・・・政府の好き勝手になんてさせないわ」
青海舞桜(おうみまお)「私達で・・・娘達をサポートしましょう!!」

〇空
  元ヒーローと怪人、・・・二人の母親は、愛する娘たちのために協力して行く事に決めた。
  しかし、二人はまだ知らない。
  自覚もしていない。
  自分達が、想像を超える親馬鹿であることをー・・・
  そして、旦那達から子供達へと舞台をかえてー・・・
  新しい、ママ友・・・ライバルへと、その関係が変わっていく事もー・・・
  ─続く─

次のエピソード:魔法少女に必要なもの①

コメント

  • 過去に対立したことのある二人の女性が、自分たちの娘を想う気持ちで一致団結するという切り口がとても興味深いです。彼女たちがどう寄り添っていくのか楽しみです。

  • こんばんは!他の応募作とは全く違う切り口の作品でとても面白かったです!元ヒーローというのも、だから色の入った名前で納得でした!

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