エピソード1(脚本)
〇霧の立ち込める森
私は魔術学校の休日を利用して、森へ来ていた。
ファーエル「いつ来ても不気味な森・・・」
アーヴァイス「森だな」
ファーエル「どうして貴方までここにいるのよ!?」
アーヴァイス「君がどこに行くのか気になって」
それだけ?
ファーエル「私がどこに行こうと、貴方には関係ないでしょう?」
アーヴァイス「関係ない・・・」
アーヴァイス「あんな事があったら、君を警戒するのは当たり前だと思うが?」
ファーエル「──っ・・・」
痛いところを突かれた。
あれは先週のこと・・・
〇華やかな広場
ファーエル(水遣り良し。肥料も足りてて、病気も無いわ。嫌味なくらい完璧ね)
魔術学校の中庭。
美しく咲き誇るこの庭の花々は、魔術学校の生徒たちが当番制で維持管理をしている。
私たちの住む国は古くから神樹を中心に栄えてきた。
神樹は魔力の源泉でもあり、国民の精神的な支えでもある。
だから魔術学校で重視されるのも、神樹を守るための植物系魔術。
中庭を魔術で維持管理するのは、生徒の訓練の一環でもある。
「見て、ファーエル様よ。 見惚れてしまうわ・・・」
どこからか声が聞こえたが、私は聞こえないふりをして淡々と当番の役目を果たす。
「昨日はアーヴァイス様だったわ。 2日連続で、素敵な目の保養ね」
嫌な名前を聞いてしまった。
アーヴァイス。
私と同じ、この魔術学校の生徒。
そして、私の首席卒業を脅かす、憎き存在でもある。
アーヴァイス「スノーホワイト!」
アーヴァイス「ブレイブウォール!!」
攻撃魔術が得意で、氷属性の攻撃と炎属性の攻撃を間髪入れずに繰り出す事ができる。
そんなの、今の魔術学校では彼だけだ。
ファーエル「だから、彼の次は嫌なのよ・・・」
中庭の当番は、アーヴァイスの次が私。
彼の植物系魔術も本当に完璧で、私は毎回、その完璧さを確認するだけだ。
伯爵家の長男で、キラキラのプラチナブロンドに空色の瞳。
顔が良くて背が高くて、魔術も上手く使えて・・・
何なのよ。
私にもひとつくらい寄越しなさいよ。
いや、やめよう。
虚しいだけだ。
私は完璧に整えられた花々に背を向け、薬草園へと向かった。
中庭の管理というのがいかにも学校らしくてユニークですね。ファーエルは相手に嫉妬とライバル心メラメラだけど、アーヴァイスの方はどう思っているんでしょうね。能力の高いライバル同士は、何かのきっかけで最強の二人になれそうな気がしますが・・・。
魔術学校という、我々の生きる世界からしたら「非日常」の空間にもかかわらず、日常感が伝わってくる描写ですね。これからの物語展開が楽しみです。
ここまで完璧な男子のこと、普通なら恋をするところなのでしょうが、羨ましく思ってしまう主人公がとても愛おしいです。彼らの通う学校、異世界な空間覗いてみたいですね。