死んだらどうなるの?(脚本)
〇黒
神野アヤト「あ・・・ああ・・・あ・・・」
神野アヤト「ああ・・・ああ・・・あ──!!」
神野アヤト「死んだ・・・」
神野アヤト「ああああああぁ────!!」
・・・ト・・・!!
神野アヤト「拳也が・・・拳也が・・・!!」
神野アヤト「うああああああ──────!!!!!!」
・・・ヤ・・・ト・・・!
・・・俺を・・・アヤト!!
俺を見ろ!!・・・アヤト!!
〇岩山の中腹
神野ツカサ「アヤト!!」
神野ツカサ「俺を見ろ!!・・・アヤト!!」
神野アヤト「ハァ、ハァ・・・ ゴホッ!ゴホッ、ゴホゴホ・・・」
神野アヤト「・・・と・・・とーちー・・・」
神野アヤト「うう・・・け・・・拳也が・・・」
神野ツカサ「ああ・・・ わかってる・・・わかってるから・・・」
神野アヤト「うう・・・うう・・・」
神野ツカサ「・・・」
神野ツカサ「くっ!! もっと、俺がもっと早く起きていれば!!」
神野アヤト「・・・」
この場所にきて
何回か人の死に立ち会った
ただ・・・自分が知ってる人と
知らない人の死の
『悲しみの度合い』が違うなんて
その時初めて気づいた──
神野アヤト「ううっ・・・」
神野アヤト「うわっ!!」
神野ツカサ「地震!?大きいぞ!!」
グラグラと足元が大きく揺れ始める
掴まるものもなく
2人はその場に倒れてしまう
神野ツカサ「ドサッ!」
神野アヤト「ズササッ!」
神野ツカサ「いてて・・・」
神野アヤト「あっ!?」
それは本当に偶然だった
とーちーが倒れた時に
ちぎれた拳也の腕が転がり
遠くの方に向かって
指を挿してるようにみえた
神野アヤト「え・・・」
神野アヤト「と・・・とーちー!あれ!見て!!」
神野アヤト「空だよ!!」
〇空
神野アヤト「あの天井の割れ目から空が見えるよ・・・」
神野ツカサ「あ、ああ・・・」
神野アヤト「さっきの地震で天井の岩が落ちたんだ!!」
神野ツカサ「もしかしたら、あそこなら・・・」
神野ツカサ「電波が通じるかも知れないぞ!!」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「俺達を救ってくれた拳也のためにも」
神野ツカサ「進まなきゃ・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「ああ・・・、行こう・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト(拳也・・・)
〇薄暗い谷底
神野ツカサ「ボディがヘコんでるだけで 車は大丈夫そうだな・・・」
神野ツカサ「よし!かかった!!」
神野アヤト「・・・拳也・・・さよなら」
神野ツカサ「・・・」
〇草原の道
「・・・」
砂埃をあげ道無き道を走り出していく
俺はとーちーが起きるまでの
話を簡潔に伝えた
神野ツカサ「アヤト・・・ありがとう・・・ 俺の為に・・・ありがとう・・・」
神野ツカサ「まさか・・・野々原さんがここに・・・」
神野ツカサ「──────!!」
俺はもっと話しをしたかったが
頭の中を整理したいのか
大粒の涙を流した後
とーちーは
沈黙を続けている──
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「・・・」
こんな時、俺だけかも知れないが
黙って同じ行動をしていると
つい無意識に自問自答をしてしまう──
神野アヤト「とーちー・・・」
神野ツカサ「おお!?どうしたアヤト!?」
神野アヤト「人は死んだら何処に行くんだろう・・・」
神野ツカサ「・・・」
神野アヤト「天国や地獄にいくのかな・・・」
神野ツカサ「・・・」
神野アヤト「死んだら何もかも終わっちゃうのかな」
神野ツカサ「そうだな・・・」
神野ツカサ「俺も昔、同じことを考えたことがあるな」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「アヤト・・・『心』って どこにあると思う?」
神野アヤト「えっ!?なんだよ急に?」
〇谷
神野ツカサ「そこを決めていると話がしやすいんだよ」
神野アヤト「んん──、やっぱり・・・」
神野アヤト「脳かな?判断する場所だし・・・」
神野ツカサ「そうだな・・・あとココもよく言われるぞ」
とーちーは自分の胸をトントンと叩いた
神野ツカサ「誰かを好きになって胸の鼓動が高鳴ったり」
神野ツカサ「人の死が悲しくて胸が痛くなることも・・」
神野ツカサ「だから心臓の辺りだと言う人もいる」
神野アヤト「そう考えると『心』って 場所が決まってないのかな?」
神野ツカサ「うん、いい考えだ・・・」
神野ツカサ「『心』とは、自分が生まれて」
神野ツカサ「五感を通して体験した知識や感情など」
神野ツカサ「育て上げてきた経験そのものであり」
神野ツカサ「手足、血肉、全身全てを含めた」
神野ツカサ「生きてきた全てが『心』だと思う」
神野アヤト「・・・とーちーの存在自体が とーちーの心って事?」
神野ツカサ「そう・・・じゃあ本題だ」
〇雪山
神野ツカサ「じゃあ、死後どうなるかの話をしよう」
神野ツカサ「人は死ぬと── 体に繋がれていた心が解放され」
神野ツカサ「小さなカケラとなり」
神野ツカサ「自分を知る人たちの心へ飛び去って行く」
神野ツカサ「カケラは本人の意思に関係なく、 いつの間にか入り込んで」
神野ツカサ「上手く混じり合えば、記憶として変換され」
神野ツカサ「その人の心に受け継がれていくんだ」
神野アヤト「・・・!?」
神野ツカサ「簡潔に纏めると・・・」
神野ツカサ「死ぬと肉体はなくなるが」
神野ツカサ「心は離れた後に」
神野ツカサ「誰かの『記憶』』として生きていく!!」
神野ツカサ「ということだ・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「・・・それを鵜呑みにするとして」
〇雪山
神野アヤト「何か説得力のある後押しはないの?」
神野ツカサ「き、厳しいなぁアヤト・・・」
神野アヤト「大体、『心=体』も嘘くさいし・・・」
神野ツカサ「何言ってるんだ!?」
神野アヤト「・・・!?」
神野ツカサ「詭弁に聞こえるだろうが・・・あるぞ」
神野アヤト「えっ──!?」
神野ツカサ「四字熟語で『一心同体』って 言葉があるだろ?」
神野ツカサ「辞書にも言葉の意味が」
神野ツカサ「” 複数の人が心も身体も一人の 人のもののように固く結びあうこと。”」
神野ツカサ「と示されているぞ!!」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「まぁ、真意はおいといてさ・・・」
神野ツカサ「そう考えると、 なんだ・・・死んだ人間も 自分の側にいると考えて・・・」
神野ツカサ「気持ちが・・・少し軽くなるんだ──」
神野ツカサ「・・・」
そう話した後、とーちーは、
また黙り込んでしまった・・・
神野アヤト(多分とーちーは、 いろんな死に立ち会ったのだろう・・・)
神野アヤト(とーちーの考えなら・・・ 拳也も側にいるんだな・・・)
穴ぼこに注意しながら
ゆっくりと走る車に揺られ
光が漏れる方に進んで行く──
神野アヤト「・・・」
神野アヤト(拳也・・・俺をみててくれよ・・・)
とーちー、私のお父さんになってください…
とーちー、シリアスヴァージョン素敵です(≧∇≦)b
『一心同体』イイ名言!
その回ごとに、いろんな感情にさせてくれる作品ですね!今回はものすごく共感!
とーちーロマンチストではあるけど、この状況ではどこか希望に感じますね。死ぬフラグではないことを祈るばかり…