ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

リリア・ツヴァイ(脚本)

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〇けもの道
  いちいち墓を作る意味はないと私は思ってる。何しろ、風が吹くようなところで朽ち果てた者は風に吹かれて散ってしまうのだから。
  そういうのは塵さえ回収できない。そこにいたという形跡が失われてしまっては墓すら建てようがない。
  そういう者達についてはどうすればいいのか。
  犠牲者の為の合同慰霊碑なら、既に地球や移住者達の出身惑星にそれぞれ建てられている。
  鎮魂の為のモニュメントならそちらがあれば十分な筈だ。
  この惑星はいまだ、ロボット艦隊によって厳重に封鎖されていて人間は近寄ることさえできない。
  もし近寄れば二度と出ることはできない。たとえ死体になってでも出ることはできない。遺品一つ持ち帰ることも許されてない。
  そんなことをしようとすれば、この惑星を封鎖している攻撃衛星やロボット艦隊による容赦のない攻撃を受けて、
  文字通り塵一つ残さず消滅させられる。
  生き物を<動く死体>に変える病の実態を知ればそれは当然の対応だと思う。そうするしか封じ込めておく方法がないのだから。
  だから私もリリア・ツヴァイも、もう二度とこの惑星を出ることはできない。
  私もそうだし、彼女の基になった人間も、推定される年齢から考えると元は移住者の一人だった筈だ。だから『もう二度と』なのだ。
  もっとも、彼女に人間だった頃の記憶はないけれど。忘れてるとか記憶喪失とかじゃない。
  『物理的に記憶が存在してない』という意味だ。
  何故なら彼女は、本来、<動く死体>の一つだったのだから。
  それを博士が<改造>して、人間のようにも見えるものにしてしまっただけだから。
  彼女の頭の中にあるのは、生体部品を使った人工脳だ。
  人間の脳と入れ替わったカビのコロニーのような器官を除去して、そこに人工脳を入れて作られた、
  『人間の体を使ったロボットのようなもの』なのだから。

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