狂愛リフレイン

gaia

10話 大好きなお兄ちゃん❸(脚本)

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〇古びた神社
  それから、毎日みこは番幅神社へと足を運んだ。
みこ「雄太と恋人になれますように、雄太と結婚できますように......」

〇古びた神社
  雨の日も、風の日も、体調が悪い日でさえ、神社へと向かった。
みこ「雄太と結婚できますように......雄太に一番愛してもらえますように」

〇古びた神社
  中学生になっても、それは毎日続いた。
  クラスで告白されても、好きな人がいるからと断ってきたみこ。
  みこへの雄太への想いは弱くなるどころか強くなる一方だった。
みこ「雄太と、恋人になれますように......まつりお姉ちゃんとこれ以上仲良くしませんように」

〇女性の部屋
  しかし、熱が出ているのに神社に行ったことを知ったまつりは、みこを叱った。
まつり「どうして外に出たの!?ダメじゃない、寝てなきゃ」
みこ「今日も毎日のお祈りしてきたの」
まつり「え?」
まつり「ま、毎日って......あれから2年以上経ってるんだよ?」
みこ「番幅神社に毎日お祈りすれば恋が叶うんでしょ?」
みこ「【兄妹】だって、結ばれるんでしょ?」
  まつりは、思考が停止した。
  みこは、ただ雄太が好きだから幼いながらに好き好き言っていたわけではなかった。
  【兄妹】であることも理解した上で、一人の男としても雄太のことが好きだったのだ。
  私は、考えが甘かった......まつりは愕然とした。
  兄妹でも結ばれるために毎日番幅神社に通っていたなんて.....
まつり「ごめん、みこちゃん」
  まつりは、ベッドの上で顔を赤くしているみこの前で頭を下げた。
みこ「......え?」
まつり「兄妹では、流石にお願いしても無理だよ」
まつり「雄太は、みこちゃんを妹として大切に思っているから」
まつり「恋人になろうなんて、思わないと思う」
みこ「......」
みこ「......は?」
まつり「私、みこちゃんが大きくなったら気づくと思ってた」
まつり「雄太と恋人になるなんて絶対に、無理だって」
みこ「......」
みこ「みこに、嘘ついてたの?」
みこ「全部うそだったの?」

〇女性の部屋
まつり「え?」
まつり「いっ......」
  目覚まし時計を容赦なくまつりの頭にぶつけたみこは、背筋も凍るほどの無表情のまままつりを見ていた。
まつり「ご、ごめん......みこちゃん」
みこ「でてけ、嘘つき」

〇家の廊下
まつり「ぐすっ......」
雄太「どうしたんだ?」
まつり「ゆ......雄太」
雄太「泣いてるのか?」
雄太「何かあったのか?」
  雄太にこのことを言うわけにはいかない。
  そう想ったまつりは目をゴシゴシこすった。
まつり「なんでもないよ」
雄太「な、なんでもないわけないだろ」
雄太「廊下で泣いてるなんて」
雄太「悩みがあるなら俺に言えよ」
  雄太の優しさに甘えそうになったまつりだが、笑顔を保ったまま首を振った。
まつり「ううん!本当になんでもないの」
まつり「本当に......大丈夫だから」
みこ「......」

〇黒
  それから、みこからまつりへの悪質な嫌がらせが続いた。
  中学の後輩だったみこは、まつりが中学で人気だということを把握していた。
  中学で男子に人気だったまつりの、プライベートな写真を密かに男子に配ったり
  靴箱に淫乱、最低女などの手紙を入れたり
  階段から突き落とそうとしたこともあった。

〇古びた神社
???「雄太に関わるあの女を上手く痛めつけて殺せますように!!!」
???「私に嘘をついたあの女をブチ殺せますように!」
???「憎い......憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!」
???「近づくな......私の雄太に近づくな......近づくな......この階段から落ちて死ねばいいのにあの女ァ!!!!!」
???「絶対に殺してやる......あの女......あの女......」

〇家の廊下
雄太「......まつり」
まつり「な、何......?」
雄太「ゴミ箱から、こんなの出てきたんだけど」
雄太「嘘つき最低女、色んな男をたぶらかす女まつりって、なんだよこれ」
雄太「しかも、ビリビリになってたけどこれ、家にいる時の写真じゃないか?」
まつり「......」
  まつりは、雄太に打ち明けようという気持ちはなかった。
  自分がみこに対してひどいことをしてしまったと、彼女を傷つけてしまったとわかっていたから。
  ここまでの仕打ちも仕方ないと思っていたのだ。
まつり「大丈夫だよ」
雄太「大丈夫なわけないだろ!ストーカーか?これ」
まつり「ストーカー......そうだね」
雄太「警察に行こう」
まつり「なっ......!やめて!」
雄太「なんでだよ!」
まつり「これは、私の問題だから」
まつり「雄太は何もしないで、お願いだから」
雄太「でも、こんなの......!」
まつり「きっと大丈夫、話し合ってやめてもらうように言うから」
まつり「とにかく大事にしたくないの......お願い、雄太」
  雄太に抱きつく程近くで懇願したまつりに、雄太はやるせない気持ちのまま顔をそらした。
雄太「......次何かあったらすぐ俺に言えよ」
まつり「うん......!そうするね!」
まつり「もうこんな時間だよ、寝よう」
雄太「あぁ......」
みこ「......」

〇黒
  それから、まつりへの嫌がらせはパタリとやんだ。
  逆に不気味に感じたまつりだったが、嫌がらせが止んだことに安堵した。
  雄太の前と家では普通に接してくるみこに恐怖を感じていたまつりだったが、雄太に近づくなという嫌がらせをされながらも
  雄太への密かな想いは募っていったのだった......
  そして、残酷な惨劇のトリガーは2つ。

〇大きな木のある校舎
  16歳。
  まつりと雄太、中学の卒業式。

次のエピソード:11話 大好きなお兄ちゃん❹

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