第8話:召喚――ペト様!(脚本)
〇ゆめかわ
嫌な夢を見ていた。
内容は思い出せないけど
悲しいような、つらいような夢だった。
「――お嬢さん!」
カナ「う、うーん」
「どうされました、お嬢さん?」
「ひどくうなされていらっしゃいますが・・・」
お嬢さんなんかじゃないです。
腐りかけのオタJKです。
「それより、ここはどこなのでしょう?」
えー、それはこっちが聞きたい――
って・・・
〇山中の川
カナ「えーっ!?」
一瞬で飛び起きた!
知らない間に眠ってたみたい。
声の主に目を向けると、そこにいるのは、ペト様だった。
かっこいいとかセクシーとかいう形容詞のはるか上を行く、まさに尊いとしか言いようのないお姿。
しかも、ラノベにもコミックスにも出てきたことのない、露出度高すぎの、ビリビリに破れかけた服を身にまとって・・・。
この服ってまさか――?
カナ「ペト様・・・じゃない。ペトルス・リプシウス様?」
ペト様(ペトルス・リプシウス)「私のことをご存知なのですか?」
ええ、ええ、よく存じておりますとも。
存じてるどころか、いろんな意味でしょっちゅうお世話になってます。
ご本人を前に、とてもお話できないけれど・・・。
カナ「はい。それはもう、何年も前から」
ペト様(ペトルス・リプシウス)「何年も?」
ペト様(ペトルス・リプシウス)「それは失礼なことを申し上げました」
少しくすんだブロンドの豊かな髪。きれいな巻き毛が陽の光に輝く。
青みを帯びたグレーの瞳が、私の顔を見すえてくる。
ペト様(ペトルス・リプシウス)「あなたのようにお美しい方のことを、たとえ片時であれ失念してしまうとは」
カナ「あ、いえ!」
カナ「私は昔から存じ上げてるのですが、直接お目にかかるのは初めてなのです」
そう。あなたは私の最愛の方!
ずっと、ずっと、ずーーっと、お会いしたいと思っていたんです!
まさかそれが、今日こんな場所で実現するなんて・・・。
ペト様(ペトルス・リプシウス)「なるほど、そういうことでしたか!」
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