ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

看護(脚本)

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

今すぐ読む

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇草原の道
  夜通し歩いて<都市の残骸>を迂回し、私は元の道路へと戻って再び東へ東へと歩いて行った。
  リアカーの中では、毛布にくるまってリリア・ツヴァイが眠っていた。
  おそらくこれからも、都市の近くを通ることにはなるだろうけれど、次からはあらかじめ迂回ルートを選ぶだろう。
  彼女に無闇にストレスを掛けたところで得るものはない。
  ただ、あれが、この惑星の現実の一部であることには違いない。それを目の当たりにしたこと自体には、意味はあると思う。
  でもそれと同時に、彼女にとっては想定以上のストレスだったようだ。
  リリア・ツヴァイの体温が上昇し、彼女の体が小刻みに震えだすのが分かった。寒気を感じているんだ。
  過剰なストレスにより、肉体の方に異変が生じたものと思われる。
  私はリアカーを路肩に寄せて立ち止まり、改めて彼女を見た。顔が赤く、呼吸が浅く早い。
  すぐに深刻なダメージとまではいかないにしても、このままにしておくのはマズいと判断する。
  そこで私もリアカーの荷台に乗り、彼女と一緒に毛布にくるまった。機体温度を上げ、保温する。
  しばらくすると体の震えが収まってきた。寒気がマシになってきたのだろう。
  彼女のバイタルサインを常時監視し、その時々に応じて最適と思われる温度を維持する。

〇原っぱ
  寒気が治まってくると今度は暑くなってきたようだ。体温がさらに高くなり、発汗も見られる。
  私は部分的に機体温度を下げ、手の平を彼女の首筋に差し込む。
  体温が上がりすぎないように、太い血管が通っている部分を冷やして余分な熱を奪う。
  現在の体温は三十九度。この状態があまり長く続くようでは解熱剤などを用いて熱を下げる必要があるかもしれない。
  しかし今は、その持ち合わせがない。

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:トイレ

成分キーワード

ページTOPへ