都落ちした吾輩が天下を獲ってカワイイ女の子をゲッチュー♡するまでのハナシ(脚本)
〇教室
トシ「おーい、ナツ! マンガ描いたから読んでくれよ!」
ナツ「お、いいぜ!」
トシ「マンガ家『トシ』の記念すべき1作目は──こいつだ!」
〇戦場
モッチモチ王国にて──
ルカ「クソ! 愚民ども!」
ルカ「国家転覆を目論む俗物に騙されおって!」
「こっちにルカがいたぞー! 殺せー!」
ルカ「くっ! 今は退くしかあるまい!」
ルカ「我はまだ死ぬわけにはいかぬ!」
ルカ「俗物に連れ去られたティナを救い出し──」
ルカ「モチ家を再興し──」
ルカ「俗物どもに復讐するまでは──」
ルカ「このルカ・モッチ・モチ──」
ルカ「がんばってやる!」
〇教室
ナツ「撃たれ過ぎじゃね?」
トシ「すげーだろ?」
トシ「ルカは今まで1度もケガしたこと ねーんだぜ?」
ナツ「バケモノかよ」
ナツ「てか最後のほう誰かひっかいてなかった? 弾切れ?」
トシ「ルカは1mの距離でも弾を避けられるんだ!」
トシ「おかげで敵も弾切れさ!」
ナツ「それ勝てるよね?」
トシ「そこがルカの弱点だな」
トシ「残念ながら頭が良くないんだ」
ナツ「そんな気はしてた」
トシ「これからもっとおもしろくなるぞ!」
ナツ「へえ~、そっか~」
〇華やかな寮
都落ちした吾輩が
天下を獲ってカワイイ女の子を
ゲッチュー♡するまでのハナシ
ナツ「世界観変わった?」
トシ「全然?」
トシ「そこは魔道学院さ」
ナツ「戦記物じゃなかったのか?」
トシ「ルカは頭悪いから、まず勉強から始めるんだ」
ナツ「本人に自覚はあるのね」
〇大広間
ピピ「ルカくぅ~ん♡ 今日、ワタシと一緒に魔法の実習しな~い?」
ガガ「はあ!?」
ガガ「ルカきゅんはワタクシと一緒に乗馬の 訓練に行きますのよ!?」
ガガ「ジャマしないでくださる? このドブス!」
ピピ「はあ? あんた誰?」
ピピ「ワタシはルカくぅ~んと喋ってんの」
ピピ「どっか行ってよね、オ・バ・サ・ン」
ガガ「な、何ですってー!?」
ルカ(肉食べたい)
ナツ「やっぱ世界観変わったよね?」
トシ「人は王道的ラブコメだと言うだろう・・・」
トシ「しかぁーし! 王道を進んでこその王族だ!」
ナツ「あ、ごめんなさい・・・」
〇華やかな広場
魔法実習にて──
ナツ「ダッサ!」
トシ「魔法の訓練だからな」
ナツ「いや、よくわからん」
ナツ「制服のままでいいのに・・・」
トシ「制服が汚れちゃうだろう!」
ナツ「どうせ避けるんだからいいじゃん・・・」
〇華やかな広場
ピピ「死ねぇー! クソ女ー!」
ガガ「殺してやる! 殺してやる! 殺してやるぅぅぅー!」
ピピ「いやぁぁぁぁぁぁああああああッ!!」
ピピ「ぐぅ・・・!」
ガガ「やりましたわ♪」
〇教室
トシ「アーメン」
ナツ「じゃねぇわ」
ナツ「死んじゃったよ、ピピ」
ナツ「てか『ピピ』って何?」
ナツ「『ガガ』も何?」
トシ「ガガは魔法が得意なんだ」
トシ「力量差を見誤って、ピピは・・・ぐすっ」
ナツ「いや、服装からして魔法ガチ勢だったし」
トシ「女は怖いな」
ナツ「オマエの頭ん中が怖ぇよ」
〇海辺
ガガ「ルカきゅ~ん! こっちですわ〜!」
ルカ「ふ・・・困ったベイビィだ」
ナツ「魔法は?」
トシ「水着回だ! テコ入れというやつだな!」
ナツ「ルカはどんな心境でガガと一緒にいんの?」
トシ「ルカはピピが死んだことを知らない」
トシ「ガガの生み出した魔法人形がピピのフリを しているんだ」
ナツ「これホラー?」
〇海辺
ピピ(魔法人形)「ル、ルルル、ルカッカッカッ・・・!」
ルカ「・・・・・・」
ナツ「完成度ぉ!」
ナツ「ルカも引いちゃってんじゃん!」
トシ「魔法人形は高等魔法のひとつ」
トシ「さすがのガガでも満足のいく出来には ならなかったんだ」
ガガ「ウフフ・・・!」
ナツ「そうかなぁ?」
〇海辺
ガガ「もう! 雨なんて最悪ですわー!」
ガガ「ピピ丸・・・じゃなくて、そこのアナタ! 何とかしなさいな!」
ピピ(魔法人形)「カ、カカ、カシコマコマコマ・・・」
ガガ「ちょっとアナタ! 死にたいの!?」
ガガ「早く戻って、ワタクシたちの傘に なりさない!」
ガガ「な、何ですの・・・!?」
ガガ「きゃっ!」
ピピ「・・・我、再誕」
ガガ「ア、アナタ! どうして・・・!?」
ガガ「確かに殺したはず・・・!」
ガガ「まさか、アイツの心臓を媒介に したせい・・・?」
ガガ「それとも、ボディパーツを ケチったせい・・・?」
ピピ「両方じゃ」
ガガ「!?」
ピピ「ワシは魔王ルシュ」
ピピ「愚民よ、死ぬがよい」
ガガ「きゃああああああああああああ!!」
ルカ「わぁ・・・!」
ピピ「何じゃ、我の魔法に見とれたかえ?」
ルカ「・・・・・・」
ピピ「ほえ・・・?」
〇教室
ナツ「ガガも死んだぁ・・・!」
トシ「純愛だろ?」
ナツ「ルカがアホ過ぎて泣けてくる・・・!」
トシ「もうそろそろクライマックスだ!」
ナツ「打ち切り秒読みだろ・・・・・・!」
〇西洋の城
ピピ「国民よ! 今ここに、新たな王が誕生した!」
ルカ「我が名はルカ・モッチ・モチ!」
ルカ「モチ家の嫡男にして、正統後継者!」
ルカ「蛮族に脅かされた地位なれど、 今再び舞い戻った!」
キャー! ルカ様ー! こっち見てー!
ルカたん! ルカたん!
モッチ・モチ―!
ピピちゃんもかわいいなぁ・・・///
ルカ(ついに・・・ついに、この時が来た)
ルカ(魔王ルシュの力を手に入れてから 幾年過ぎただろうか)
ルカ(長く、険しい道のりだった・・・)
〇戦場
さかのぼること数日前──
ピピ「行くがよい! ガガ丸!」
ガガ(魔法人形)「センメツ、カイシ、シマス」
うわぁぁぁぁぁぁああああああ!!
いやぁぁぁぁぁぁああああああ!!
ぎゃああああああああああああ!!
ルカ「キサマで最後だ、俗物が」
ひっ・・・!
や、やめてくれ、ルカ様・・・!
オレは、モッチモチ王国の国民だ・・・!
ルカ「・・・・・・」
ルカ「・・・やれ」
ガガ(魔法人形)「カシコマリ、マシタ」
うんぎゃあああああああああ!!
ルカ「・・・・・・」
ルカ「やったぜ☆」
〇貴族の応接間
ルカ(復讐を果たし、王位を取り戻し、 正室も迎えた)
ルカ(我の悲願は全て果たされた)
ルカ(あとは・・・)
ピピ「王よ、探しておったティナという 女子(おなご)じゃが・・・」
ピピ「そんな人間は存在しておらぬそうじゃ」
ルカ「・・・で、あろうな」
ルカ「ティナとは我が脳内に生きる姫の名だ」
ルカ「モチベアップのために生み出した幻想に 過ぎぬ」
ピピ「・・・・・・」
ピピ「・・・そんなことより王よ、 話さなければならぬことがある」
ルカ「何だ?」
ピピ「実は・・・子を身ごもった」
ピピ「お主の子じゃ」
ルカ「そうか。それはめでたい。性別は?」
ピピ「女子のようじゃ」
ルカ「ならば、ティナと名付けよう」
ピピ「・・・・・・」
ルカ「カワイイ女の子、ゲッチュー♡」
〇教室
ナツ「後味悪いわ!」
トシ「見事なタイトル回収だろ?」
ナツ「うるさ」
ナツ「結局ルカ、何もしてねぇじゃん」
トシ「ケガをしないってのは、何もしないってことなんだよ」
ナツ「クソかよ」
ナツ「・・・まあ確かに? 絵は上手いし、 目的も果たしてるし、物語も破綻して──」
ナツ「いや、してたわ」
トシ「そんなに評判いいと思わなかったぜ!」
トシ「やる気マシマシ! テンションアーップ!」
ナツ「オマエは底抜けにポジティブだな」
トシ「ナツに楽しんでもらえたからな!」
トシ「喜びマシマシ! テンションアーップ! ってな!」
ナツ「・・・オマエらしいよ」
ナツ「そんじゃまぁ、トシ先生の次回作に期待でもしとくかね」
トシ「任せとけ!」
トシ「次回作ではルカがルシュを見限って──」
ナツ「クソ野郎がぁ!!」
トシ先生の記念すべき一作目ですね。まだこの頃はトシもナツも若かったんだなあ〜。って今と同じか。この後、トシ先生の筆が果てしなく暴走し続けることをこの時のナツは知る由もなく…。何作目まで続くかギネスに挑戦ですね!
いやー、笑いました。底抜けに楽しいです。
このシチュエーションって、若かりし頃に漫画・小説の創作に挑んだ数多の人が、自身の黒歴史を思い出し撃沈しそうですよねw
笑えました!途中でタップを止める事なく最後まで読めたのでボケツッコミが良かったのかと思います。また楽しみにしています。