フリをする〜死廻り怪遊戯

ワタ鉛

エピソード2(脚本)

フリをする〜死廻り怪遊戯

ワタ鉛

今すぐ読む

フリをする〜死廻り怪遊戯
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇寂れたドライブイン
  早朝5時。
  三ヶ島が辺りを見回す。
  人気のない通りにはまだ生徒は見当たらない。
  学校が始まるのは8時。
  門が開くのは6時半だ。
  しかし三ヶ島は早く行きたかった。
三ヶ島悠也「くるみのやつ今日はいるのか?」

〇学校の校舎
  門は閉まっていた。
  三ヶ島は難なく乗り越えて校舎に。

〇高い屋上
三ヶ島悠也「はあ・・・よかった。 いた」
くるみ「・・・何?」
三ヶ島悠也「何ってお前・・・」
  学校の屋上。
  三ヶ島が向かった先に居た彼女は、三ヶ島の方を向いていない。
  校庭とは反対側にある林道を眺めている。
くるみ「・・・失敗したわけ?」
三ヶ島悠也「ある意味失敗だな・・・ まだ死の期限まで5日あったのに・・・話すのが早過ぎたんだ」
くるみ「5日か・・・まあそれくらいがむしろ妥当かもね。あんまり猶予ないとやってくれなかった時が三ヶ島の命日だから」
三ヶ島悠也「今日か、明日か知らねーけどあいつらの葬儀があるんじゃないか? どうする?」
くるみ「私、赤の他人だから」
  くるみがそう言ってちらっと三ヶ島を振り返る。
  三ヶ島は少しだけ目を逸らした。
三ヶ島悠也「他人ねえ・・・まあ転校してまだ一月だしな。くるみはクラスも違うか」
くるみ「ニ、三回は話したけどね。 これから死ぬ人だから出来る限り接触は避けるのが吉」
三ヶ島悠也「次はどうする。 俺かお前か、どっちかだ」
くるみ「私かな」
くるみ「今朝方、予兆があった。 朝、お母さん起こしに来たら躓いてさ、本棚が倒れてきた。 ちょっと腫れたよ」
  くるみが靴下を脱いで足の甲をみせる。
  たしかに赤くなり少しだけ盛り上がっていた。
三ヶ島悠也「いや・・・それは。 偶然じゃないか?」
くるみ「三ヶ島は?」
三ヶ島悠也「訃報があった夜中に一度。一応な」
くるみ「一応・・・?」
三ヶ島悠也「家の近く森だろ。梟がよく鳴くんだけど、昨日は聞こえなかった」
くるみ「・・・」
三ヶ島悠也「だからやたらしんとしてさ。 寝る前に窓の外から聞こえてきたんだよ。 笑い声だったかな。 ふと時計を見たら10時ジャストだ」
三ヶ島悠也「十日後の暗示だろ?」
くるみ「ふーん」
  しばらく立ち尽くしいたら気付けば校舎がざわつき始め、直後に学校の鐘が鳴った。8時からHRだ。
  くるみは大きく溜め息をついて、校庭の方のフェンスに向かいそこに寄りかかる。
くるみ「じゃさ。 次がもし三ヶ島なんだとして、三ヶ島はもう集めちゃったわけじゃん身代わり。 また三ヶ島がやるとさすがに目立つ」
くるみ「だからといって私が代わりに集めると今度は私が疑われる。 だからはい、これ。放課後までの二人の課題。私行くから」
三ヶ島悠也「・・・」
  くるみが去る。
  残された三ヶ島は一人で校庭を眺めていた。

〇教室
  兎胡桃(うさぎくるみ)は三ヶ島の昔のクラスメイトだった。
  いつも教室の隅で窓の外ばかりみている不思議なオーラを持った少女で、三ヶ島は彼女の事が少し好きだった。
  過去、事件があったクラスでイジメがあったのは三ヶ島もよく知っている。
  三ヶ島は参加こそしていないが、助ける勇気はなかった
  当時の教室の空気はイジメ=ださいじゃなくてイジメ助けるのダサイだった。
  無視して黙々と自分の事してる奴が一番人気があった
  三ヶ島も例に漏れずに無視していた。
  するとある日被害を受けていた男子が死亡した。
  その数日後だ。テレビがネタにしたのは。
  事件は学校に留まらず地域──全国に広まり、程なくして加害者とされていた男子も駅ホームから飛び降り自殺した。
  終わったかにみえた事件。
  しかし数日後、クラスメイトの一人が交通事故でなくなった。
  それがあの事件の何日後だったか。それから度々関係者の死亡事故や病死、自殺や事件が相次いでメディアも来なくなった。
  三ヶ島は自宅で震えていた。自分が直接加害したわけでもないが次の犠牲者がでるのは明白だった。
  成す術なく死亡者は増えるも不思議と話題は広まらなかった。皆関わりたくなかったのだ。
  学校に来るなという通達も全校生徒にでた。
  だが死は止まらなかった。
  そして三ヶ島の番が来た。
  当時関係者がSNSで騒いでいた関係で予兆の事は聞いていた。
  三ヶ島は予兆が出た翌日行動にでた。
  向かったのは学校だった。
三ヶ島悠也「どうなるんだ・・・? もうすぐHRだ・・・」
  チャイムが鳴った。
  担任が入ってきて教卓につく。担任の点呼がはじまり、順番が回ってきた。
あずま「えーと、三ヶ島!」
三ヶ島悠也「はい・・・」
あずま「次──」
  点呼が終わる。あの二人は呼ばれなかった。
  そのまま昨晩の訃報の話に──そう思っていた。
三ヶ島悠也「(何も言わないな・・・どういう事だ?)」
三ヶ島悠也「(家族が口止めしてるのか・・・?)」
あずま「はい。じゃあ今日も一日よろしくお願いします。 何かあれば職員室──」
三ヶ島悠也「先生!」
あずま「どうした三ヶ島?」
三ヶ島悠也「吉野と照明は?」
あずま「死んだよ」
三ヶ島悠也「は?」
  あまりに淡々とした物言いに三ヶ島は呆然とした。
あずま「じゃあ先生はこれで」
三ヶ島悠也「う・・・お・・・おい!! ちょっと!!」
???「・・・・・・」
???「・・・・・・終わったな」
三ヶ島悠也「(なんだ・・・?)」
  三ヶ島は放課後まで胸騒ぎが止まらなかった。

〇学校の昇降口
  放課後。
  探していた人物──くるみがいた。
くるみ「何?」
三ヶ島悠也「・・・いやお前が放課後に設定したんだろ」
くるみ「うん」
  くるみは提案者だった。
  三ヶ島に初めて予兆が来たあの日学校に向かった先にはくるみがいた。彼女は言った。

〇図書館
くるみ「私はほら関係ない筈だから、一番死にたくないの。三ヶ島よりね。でも三ヶ島が死ねば次は自分。だから貴方を支援する」
くるみ「ほんととんだ災難。 私助けてあげてたのに」
  そう。くるみはあのいじめられていた人物を助けていた生徒だ。
  だからくるみが死ぬのはおかしい。
  シンプルに考えればそうだ。

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

成分キーワード

ページTOPへ