ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

痕跡(脚本)

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

今すぐ読む

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇狭い畳部屋
  翌朝、私はリリア・ツヴァイの朝食の用意をし、彼女がそれを食べ終えるまでの間に出発の準備を整えていた。
  家の中にあったリュックもリアカーに積み込む。
  この先、リアカーを引いたままでは通れない場所がある可能性があるので、場合によっては捨てていかないといけないからだ。
  その場合は、リュックに詰められるだけの食料や水を持って、
  次にリアカーに類する何かを手に入れるまで私が背負って歩くことになる。
  そういう意味でも、キャンプ用の四十リットルリュックがあったのは幸いだった。

〇草原の道
  朝食を終えたリリア・ツヴァイと共に、私は朝の空気の中、再び東へと向かって歩き出した。
  <朝の空気>というものを感じ取った彼女がまた、何とも言えない感覚を覚えてるのが分かる。
  本当に不思議だ。別に朝夕、空気そのものが大きく変質してしまう訳じゃないというのに。
  もちろん詳細に比較すれば違いはある。湿度や大気中の塵の濃度といったものは違っているだろう。
  けれどそんなものは有意な変化でない筈なのに人間は朝の空気を差して『清々しい』などと言ったりもする。
  何が目的なのか分からない。

〇荒野
  それでも黙々と歩き続けると、穏やかでのどかな草原だった筈の景色が一変した。
  道路が大きく抉られ、剥き出しになった土が真っ黒の変色してたんだ。それも、一つではなかった。
  周囲を見回しても、草原のあちこちにも同じような窪みが無数に点在していた。河を抉ったそこは、池のようにさえなっている。
リリア・ツヴァイ「爆撃の跡だね・・・・・・」
  リリア・ツヴァイが呟くように言った。その通りだ。
  それは、<動く死体>を駆逐する為に、人間がロボット艦隊を派遣して、衛星軌道上から地上の主な都市を爆撃した痕跡である。
  この惑星は元々、人間達が見つけた植民惑星の一つだった。
  そこに入植を開始して十年、人口が一億人を大きく超えた時、それは起こった。

〇川沿いの公園

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:都市

成分キーワード

ページTOPへ