第八話 別に翔子が憎かった訳ではないわよ(脚本)
〇田舎の病院の病室
川尻未歩「どうぞ」
吉田翔子「お加減は如何ですか」
川尻未歩(寛ではなく翔子が来たのね・・・まぁ良いわお父様からは和解しろって言われてるし)
川尻未歩「久しぶり、会社の方は順調?」
吉田翔子「えぇ、でも凄いですね未歩さんの部署は売上額が伸びて」
川尻未歩「まぁ、当然だわ。その為のパリコレ進出ですもの」
川尻未歩「そうだ、貴女に謝ろうと思ってた」
吉田翔子「そ、それを、何処で?」
川尻未歩「実はね・・・つけてた」
吉田翔子「えぇっ、どうして?」
川尻未歩「ピエールは貴女を浮気させる為に私が雇ったの・・・最も今ではうちの部署のデザイナーだけど」
吉田翔子「そんな事までして寛を私から・・・」
川尻未歩「んーん、チョット違うかなぁ・・・別れた寛が幸せそうだったから・・・まぁ、ヤキモチよ元カノの」
吉田翔子「では寛のスマホに匂わせメールをしたのも・・・」
川尻未歩「そう・・・でも家庭不和にならなかったわ・・・完敗ね私の」
吉田翔子「では、もう止めてくれますよね」
川尻未歩「寛そのものに復縁を迫る気持ちなんてないわ・・・だから安心して!! 今後翔子の家庭に介入はしない」
吉田翔子「ありがとうございます・・・その言葉寛にも伝えておきますわ」
川尻未歩「あぁ、よろしくね!」
吉田翔子「これからは良い友達になれそうですわね、お互いに」
川尻未歩「そうね、よろしくね!・・・そうだ、これからは、そちらにお邪魔していい?」
吉田翔子「どうぞ、龍平とも仲良くしてくだされば嬉しいわ」
川尻未歩「じゃぁ退院したら、龍平君に会いに行くとしますか」
吉田翔子「ええ、是非とも・・・それじゃぁお大事に」
未歩は躊躇いがちにスマホから寛を消去した
川尻未歩「これで良かったんだわ・・・結局」
病室に美歩の泣き声が響く
〇豪華なリビングダイニング
佐藤医師「貴女、どういうつもり?」
佐藤芙美「何の事?・・・お義母様」
佐藤医師「しらばっくれて・・・私を見習って外に出て仕事する何て言うから許可したのに・・・よくもこの家に泥を塗ってくれたわね」
佐藤医師「息子のスマホにこの写真が届いたわ・・・これでも白を切るおつもり?」
???「だから俺は反対したんだ・・・浮気なんてしやがって、俺の世間体を考えろ・・・この淫乱女」
佐藤芙美「ひ、酷い・・・そこまで」
「うるさい!口答えするな」
佐藤芙美「キャ・・・痛い」
佐藤芙美「貴方は世間体が悪いから怒ってるの?」
「当たり前だろ病院長の妻が浮気してることが世間にばれたら俺はいい笑いものだ」
佐藤芙美「いつもそう・・・今回だって私の浮気を怒っているのでなく世間体ね」
「それがどうした」
佐藤芙美「私の浮気なんて気にしてない・・・もう私を愛してくれてない訳ね」
「オイオイ結婚して3年・・・今更愛だの言う関係ではないよ」
佐藤医師「そうよ、貴女は息子の妻なのだから我慢しなきゃいけないわ」
佐藤芙美「私が貴方を愛していないことを私は怒られたかったわ」
「フン、馬鹿馬鹿しいその年で乙女チックな気持ちは気持ちが悪いぜ」
佐藤医師「で、どう決着をつけるおつもり」
佐藤芙美「分かったわ・・・出てゆきます、離婚します」
佐藤医師「あぁぁせいせいしたわ・・・気にすることはないよお前、なぁにお前の肩書でまた直ぐに再婚できるさ」
〇野球のグラウンド
川尻未歩「おはよう、翔子さん」
吉田翔子「未歩さん!!もう大丈夫なんですかお身体!?」
川尻未歩「まぁ、過労に近かっただけだから・・・こちらが龍平君?」
吉田翔子「ええ、龍平ちゃんとご挨拶しなさい未歩さんに」
吉田龍平「未歩おばさん、初めまして龍平です」
川尻未歩「お利口さんね・・・ねぇ龍平君!!なにをして遊ぼうか」
吉田龍平「そうだね、キャッチボールしようよ、おばさん」
川尻未歩「よし、やろうか!!・・・こう見えてもおばさんは高校時代野球部キャプテンだったんだぞ」
吉田龍平「わぁ~い、凄い」
川尻未歩「よし、龍平君行くわよ」
吉田龍平「OK・・・ドンドン投げて」
吉田龍平「じゃぁ、今度は僕がおばさんが投げる球を打つからね」
川尻未歩「いいわよ・・・打てるかな私のボール」
吉田龍平「やったー!」
川尻未歩「オーライ!」
吉田龍平「チェッ!!取られた」
川尻未歩「ハハハ、残念でした」
〇ダイニング(食事なし)
吉田翔子「お疲れ様です」
吉田寛「龍平は?」
吉田翔子「部屋で寝ているわ・・・疲れたんでしょ」
川尻未歩「いやーきついっすね・・・子供と遊ぶのは・・・翔子さんは凄いわ、会社の仕事と子育て」
吉田翔子「ほほほほ・・・主人が手伝ってくれますから」
川尻未歩「あっ、お熱いこと・・・ご馳走様」
「ハハハ」
吉田翔子「暑さ覚ましにジュースでも」
吉田寛「オイオイ、大人だからビール」
川尻未歩「一汗かいた後のビールは最高ね」
吉田寛「ところでお姉さまの芙美さん・・・離婚されると伺いましたが?」
川尻未歩「そう見たいね・・・私も驚いたわ、急に私の家に押しかけてこれからピエールと同棲するのでよろしくね!・・・ですもの」
吉田翔子「まぁ!!あのおしとやかな芙美さんが」
吉田寛「まぁ、だいぶ家庭の事で悩んでいるみたいな感じだったしな」
川尻未歩「そうだ、そう言えば芙美は相談に乗ってくれてありがとうと伝えてくれと言ってたっけ」
吉田翔子「そうなの?ねぇ貴方・・・何を相談されたの?」
吉田寛「ううん・・・色々とね」
吉田寛「えぇっ、社長・・・どうしてテレビに出てるんだ?」
川尻未歩「テレビ記者会見するなんて本気ね引退」
吉田寛「こうしちゃ居られない、会社に行かなくては」
川尻未歩「私も行くわ・・・翔子さんご馳走様」
吉田翔子「相変わらず忙しいのね二人共」
吉田龍平「ねぇ、お腹すいた・・・夕飯まだ?」
吉田翔子「もう出来てるわ・・・痛たた」
吉田龍平「ママ、大丈夫?」
吉田翔子「変ねぇ、最近お腹辺りが・・・今度医者で検査してもらおうかしら」
吉田龍平「ママ、ママしっかりしてママ」
〇総合病院
吉田寛「いったい何が・・・単なる過労であればいいんだが」
〇病室のベッド
吉田寛「先生、翔子に何が・・・」
佐藤医師「一週間後に手術をします」
吉田寛「病気は何なんでしょう」
佐藤医師「膵臓がんです・・・それも末期」
吉田寛「えぇっ、そんな・・・でも助かるんでしょ手術すれば」
佐藤医師「期待はしないでください」
吉田寛「そ、そんな・・・今まで元気だったのに」
佐藤医師「発見が難しいですからね、無理もありません」
佐藤医師「とにかく、医者として最善をつくします」