リリウム〜罠に嵌まった天使〜

久望 蜜

最終話 嵌められた天使(脚本)

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久望 蜜

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〇荒廃した教会
鳶坂「いよいよ、このときだ。・・・・・・この人間の殻は、もう必要ないな」
ミルヴス「さて、準備はできたか? ヒクイ」
カスアリウス「あぁ、準備万端だ・・・・・・」
カスアリウス「お前を倒す準備がな!」
リリウム「セイッ!」
ミルヴス「フッ。 そんな攻撃は、効かないといっているだろう」
リリウム「くっ」
リリウム(けど、油断しているところに、死角に潜んでいるリンドウとツキミが攻撃を仕掛ければ──)
ミルヴス「複数の天使で一斉に攻撃すれば、ダメージを与えられると思ったか?」
ドラセナ「ミルヴス様、ものかげに隠れていた小天使二人は無力化しました」
リリウム「なっ・・・・・・。ドラセナ!?」
ドラセナ「お久しぶりです、リリウム様」
リリウム「どうして、ここに!? 天界にいたんじゃ・・・・・・?」
ドラセナ「結界を通りぬけてきました。そういう繊細な力の操作が得意なんですよ、わたし」
リリウム「それに、小天使二人をどうしたと?」
ドラセナ「気絶させました。 わたしが本当の裏切りものですから」
リリウム「ドラセナ・・・・・・それは本当か?」
ドラセナ「かわいそうな、アルテミシア」
ドラセナ「信じていた先輩に信用されずに、消されてしまった! あははっ」
ドラセナ「あはははっ・・・・・・うっ!」
ミルヴス「これは・・・・・・大量の聖水! うわあぁ、身体が灼ける!」
ドラセナ「何故・・・・・・」
ドラセナ「消滅したんじゃなかったの、アルテミシア!?」
アルテミシア「あのとき、下級悪魔が監視していたっすからね。わざと一芝居打ったんすよ」
アルテミシア「この二人も、回復術で全回復させたっす」
アルテミシア「みごとに引っかかったっすね!」
ドラセナ「この、よくも・・・・・・!」
アルテミシア「それは、こっちのセリフっすよ。 よくも、やってくれたっすね!」
ドラセナ「ぐっ・・・・・・」
アルテミシア「模擬戦では、ウチに一度も勝てたことないっすよね」
ドラセナ「うるさい! 監獄に勤める天使たちの、その体育会のようなノリが嫌なのよ!」
ドラセナ「座学の成績は悪いくせに、リリウム様の後輩なだけで、上官からかわいがられて!」
アルテミシア「そ、そんなふうに思っていたんすか?」
ドラセナ「わたしが認められないのは、全部お前のせいだ!」
リリウム「それは、本心・・・・・・だけど、悪意が増幅されている」
リリウム「やったのは、あなたね? ミルヴス」
ミルヴス「そうだとしたら、何だというんだ? 全て、その天使の弱い心が招いたことではないか」
リリウム「いいえ、わたしにも責任があるわ。 ドラセナの気持ちは、よくわかる」
リリウム「同期への嫉妬、羨望・・・・・・体育会のノリに馴染めていないのも同じね」
リリウム「だから、わたしがもっと早くに気づいてあげるべきだった」
ドラセナ「リリウム様・・・・・・」
リリウム「ごめんなさい、ドラセナ」
リリウム「そして、その心を操ったあなたを許さないわよ、ミルヴス!」
ミルヴス「先ほどの不意打ちでもトドメを刺さなかったくせに、偉そうなことを!」
リリウム「ドラセナ、あなたも手伝って! しっかり挽回してちょうだい!」
ドラセナ「はい!」
ゲンティアナ・エノテラ「タアッ!」
ドラセナ「ハッ!」
アルテミシア「とりゃあっ!」
リリウム「ハアッ!」
ミルヴス「ぐっ」
カスアリウス「これで、どうだ!」
ミルヴス「がはっ。仕方ない、一度引いて──」
イリス「させない!」
ミルヴス「何っ!?」
リリウム「イリスの石が光っている・・・・・・」
イリス「今まで溜めた力を使って、動きを封じたわ。 リリウム、今よ!」
リリウム「イリス・・・・・・ありがとう。 ヒクイ、いくよ!」
カスアリウス「ああ!」
ミルヴス「何故、この俺が──」
カスアリウス「お前、侮りすぎたんだよ。俺らを」
リリウム「始末完了ね・・・・・・」
アルテミシア「やったっす!」
ドラセナ「アルテミシア・・・・・・その、ごめんなさい」
アルテミシア「いいっすよ、そんなに気にしなくても。 ウチも、いろいろと悪かったっす」
ドラセナ「ありがとう、アルテミシア・・・・・・」

〇荒廃した教会
カスアリウス「ちゃんと作戦を立てられたじゃねぇか」
リリウム「爪は甘かったけどね。 またイリスに助けてもらっちゃったし」
カスアリウス「いいじゃねぇか。そうやって成長していけば」
リリウム「うん! イリスも助けてくれて、ありがとうね。・・・・・・イリス?」
リリウム「どうしよう、返事がないよ!」
ドラセナ「おそらく今の戦いで、石になってからこれまで回復していた分の力を全て使ったのかと」
ドラセナ「また休眠状態に戻ってしまわれたようです」
ドラセナ「時間をかければ大丈夫だと思いますが、それまでこの結界は解けないかも・・・・・・」
カスアリウス「まぁ、いいじゃねぇか。 まだ悪魔の残党もいるわけだし」
リリウム「そうね。ドラセナの処分は天界に戻ってからね。できるだけ、恩情を願うから。ヒクイも」
カスアリウス「俺は結界が解けたら、天界に連れていかれる前に逃げるぞ」
リリウム「逃がさないからね!」
リリウム「・・・・・・まぁ、何ごとも絶対ということはないけども・・・・・・」
カスアリウス「お前、それ・・・・・・」
リリウム「え? 何か聞こえた?」
カスアリウス「いや・・・・・・。よし、帰るか。 まだ当分、うちにいるんだろ?」
リリウム「お世話になります!」

〇荒廃した教会
アルテミシア「・・・・・・イリス様、本当はもう眠りから覚めているっすよね?」
イリス「フフフ、気づいていた? あの堅物、恋愛なんてする機会はもうないだろうから」
イリス「もう少しだけこのままでも、バチは当たらないでしょ」
アルテミシア「まぁヒクイも先輩のことを気に入って協力してくれていたみたいだから、いいっすけど・・・・・・」
イリス「しばらく見守りましょう。結界がある限り、天界からの邪魔は入らないしね!」
アルテミシア「あーあ、先輩はみごとに罠に嵌まっていたというわけっすね」

コメント

  • 遅ればせながら完結おめでとうございます🎊
    天使の恋した相手が悪魔だったという展開にゾクゾクしたのを覚えています。ヒクイも好みのキャラでした
    どうなっちゃうのかなと思っていましたが、二人の恋が進みそうなエンドで終わってホッとしました。ヨモギも裏切ってなくて良かった笑

  • やったぜ、ヨモギ大復活!! やっぱりヨモギしか勝たん!!

    リリウムは粋な罠にはめられていたんですね、もうちょっと続きが気になる所ですが、完結おめでとうございます。楽しい時間をありがとうございました!

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