第1話 職業占い師(脚本)
〇ラブホテル
水瀬大樹の声「ハハハ」
〇ラブホテルの部屋
水瀬大樹「これ見てみて」
安藤塔子(メガネをしている)「キャハハ」
〇おしゃれなリビングダイニング
安藤塔子(メガネをしている)の声「夫が裏切ってるのも知らずに『愛してる』だなんて──」
〇ラブホテルの部屋
安藤塔子(メガネをしている)「マヌケすぎ」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬大樹の声「あいつほんと笑わせてくれるよ」
水瀬水希「彼の手をタオルできつく縛って」
〇ラブホテルの部屋
水瀬大樹の声「ん? どうした?」
安藤塔子(メガネをしている)の声「いいからいいから」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬水希「縛り終わったら、そのまま馬乗りになるの」
〇ラブホテルの部屋
水瀬大樹の声「一体、何がした──」
水瀬水希「首を絞めて」
水瀬大樹の声「うぐっ」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬水希「こう言うの」
〇ラブホテルの部屋
安藤塔子(メガネをしている)「一緒に死んで!」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬水希「もっと強く絞めて!」
水瀬大樹の声「だ・・・れか・・・」
〇ラブホテルの部屋
水瀬大樹の声「たす・・・け・・・て・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬水希「アハハハ」
〇黒
CONTROL
〇お台場
3ヶ月前
キャスターAの声「つまり完全にコントロールすると言うことですね」
〇テレビスタジオ
水瀬大樹「はい、過半数の株式を所得して経営に関与することになりますので」
キャスターA「そうやって企業価値を高めてから株式を売却することで利益を生み出すわけですか」
水瀬大樹「成功すればそうなります」
キャスターA「ところで水瀬さんは数々の成功から天才ファンドマネージャーと言われていますが」
水瀬大樹「いえ」
キャスターA「投資先を決めるノウハウのようなものはあるのでしょうか?」
水瀬大樹「そう言ったものはありませんが 強いて言うなら綿密な分析──」
水瀬大樹「そして何より決断力ですね」
〇オフィスビル前の道
占いの館「未知しるべ」
〇占いの館
客A「・・・音音(ねおん)先生 私、彼と・・・」
音音「泣かないで これから幾らでも──」
客A「付き合うことができました」
客A「彼が告白してくれたんです」
音音「キャーッ!」
音音「やった!」
客A「先生のおかげです」
音音「そんなことな・・・」
客A「先生まで泣かないで下さい」
音音「だって頑張ったの知ってるから嬉しいの・・・」
〇更衣室
真野鈴香(依子)「私の部屋まで歓喜の声が聞こえてきたよ」
音音「・・・ごめん」
真野鈴香(依子)「いいのいいの 嬉しいよね、お客さんが幸せになるって」
音音「もうすぐ着替え終わるから暇ならカフェ行かない?」
音音「奢るよ」
真野鈴香(依子)「行く行くー」
真野鈴香(依子)「あ、私も着替えなきゃ」
〇アーケード商店街
真野鈴香(依子)の声「水希はどうして占い師になろうと思ったの?」
〇テーブル席
水瀬水希(音音)「言ったことない?」
真野鈴香(依子)「うん」
水瀬水希(音音)「母が「あの子は」って言いながら私を思い通りにしようとする人だったのね」
水瀬水希(音音)「それが嫌で逃げ出したかったけど相談できる人がいなくて」
水瀬水希(音音)「そんなとき出会ったのが駅前にいた占い師さんだったの」
真野鈴香(依子)「占いで解決して貰ったんだ」
水瀬水希(音音)「全然」
真野鈴香(依子)「あれ?」
水瀬水希(音音)「だけど自分の事のように怒ったり泣いたりしてくれたから笑うことが出来るようになってね」
水瀬水希(音音)「それで私も悩んでいる人を笑わせてあげたいなって」
真野鈴香(依子)「そっか・・・それで占い師に・・・」
真野鈴香(依子)「でも、よく会社を辞められたね 問題が解決してないなら反対されたでしょ?」
水瀬水希(音音)「大樹が言ってくれたの」
水瀬水希(音音)「やりたいことをやらなきゃ後悔する 何があっても僕が守るからって」
水瀬水希(音音)「だから占い師になれたのも」
水瀬水希(音音)「初めて出来た親友とこうやってお茶できているのも全て大樹のおかげ」
真野鈴香(依子)「なるほど それが閉店までそのパソコンとにらめっこしてる理由だったんだ」
水瀬水希(音音)「ん?」
真野鈴香(依子)「知ったらみんな驚くよね」
真野鈴香(依子)「天才ファンドマネージャーの言う綿密な分析と決断は全てその妻がしているって」
水瀬水希(音音)「シーッ!」
水瀬水希(音音)「鈴香しか知らないんだから」
真野鈴香(依子)「分かってるって」
真野鈴香(依子)「でも大丈夫?」
水瀬水希(音音)「あ、ちょっと寝不足かな」
真野鈴香(依子)「そうじゃなくて」
真野鈴香(依子)「いや、それも心配だけど」
真野鈴香(依子)「私が言いたいのは不倫」
真野鈴香(依子)「だって旦那さんイケメンだし、お金あるし 女の子たちが放っておかないんじゃない?」
真野鈴香(依子)「それに男なんて不倫するために産まれてきたような生き物なんだし」
水瀬水希(音音)「何かあった?」
水瀬水希(音音)「いつもと違うから」
真野鈴香(依子)「水希には見抜かれちゃうか」
真野鈴香(依子)「谷元直也って知ってる?」
水瀬水希(音音)「分かんない」
真野鈴香(依子)「そこそこ有名な野球選手なんだけど 不倫してんのよ」
真野鈴香(依子)「今日、妻から相談があったんだ」
真野鈴香(依子)「全ての遠征先に女を囲ってるって」
真野鈴香(依子)「それで復讐したいけど如何したらいいですか?って」
水瀬水希(音音)「止めてあげた?」
真野鈴香(依子)「水希だったら止める?」
水瀬水希(音音)「だって復讐なんてしても空しいだけだし」
水瀬水希(音音)「それに不倫したとは言え一度は愛した人なんだから」
真野鈴香(依子)「優しいね」
真野鈴香(依子)「でも、それは違うよ」
真野鈴香(依子)「一度は愛したことがあるからこそ憎いの」
真野鈴香(依子)「信じていた相手だからこそ憎いの」
真野鈴香(依子)「だから私は止めなかった」
真野鈴香(依子)「まあ、復讐をした方が良いって占いで出たこともあるけどね」
真野鈴香(依子)「水希も寝不足になるくらい尽くしている旦那さんに不倫されたら考えが変わるかもだよ」
水瀬水希(音音)「・・・これは私が好きでやっていることだから」
真野鈴香(依子)「あ、ごめん こんなこと言うつもりじゃなかったのに」
水瀬水希(音音)「うううん、いいの」
〇大きい交差点
水瀬水希(音音)(今まで考えたこともなかった・・・)
大樹との出会いは当時の上司だった進藤さんの紹介だった
〇居酒屋の座敷席
私は証券会社
大樹は今のファンド会社に転職する前で投資銀行に勤めていた
進藤 燿「こいつは大学の後輩で水瀬──」
水瀬大樹「どれにしようかなぁ」
進藤 燿「おい」
水瀬大樹「うーん」
進藤 燿「水瀬!」
水瀬大樹「あ、はい」
進藤 燿「お前ずーっとメニュー見てるけどまだ決められないのか?」
水瀬大樹「全部、美味しそうなんで」
田村(旧姓)水希「メニュー貸して下さい」
田村(旧姓)水希「この店に何度も来てるんで特に美味しいの知ってるんです」
進藤 燿「エースに任せろよ」
水瀬大樹「エース?」
進藤 燿「田村はうちのエースなんだ」
田村(旧姓)水希「そんなことないです」
進藤 燿「謙遜するな」
進藤 燿「お前のリサーチ力のおかげで会社の業績はうなぎ登りな上に出資者も大喜びなんだし」
田村(旧姓)水希「お客様が喜んで下さっているなら嬉しいです」
水瀬大樹「・・・」
〇湖のある公園
1ヶ月後
水瀬大樹「水希を笑顔でいさせる自信が僕にはある」
水瀬大樹「――だから」
水瀬大樹「結婚してください」
田村(旧姓)水希「・・・はい」
田村(旧姓)水希「ずっと一緒に笑ってようね」
〇大きい交差点
水瀬水希(音音)(もし大樹が不倫していたら そのとき私はどうするんだろう・・・)
〇タワーマンション
〇シックな玄関
水瀬大樹「おかえり」
水瀬水希(音音)「・・・」
水瀬大樹「どうしたの?」
水瀬水希(音音)「え? いや・・・」
水瀬水希(音音)「あ! ここ匂いはもしかして?」
〇おしゃれなキッチン
水瀬大樹「そうだよ 今夜は水希の大好きなロールキャベツ」
水瀬水希(音音)「やったね」
水瀬水希(音音)「いつもありがと」
水瀬大樹「ありがとうはいいっこなしだよ 家事をやりたいって言ったのは僕なんだから」
水瀬水希(音音)「でも・・・」
水瀬大樹「はいはい もうすぐ出来上がるから着替えておいで」
水瀬水希(音音)「・・・うん」
水瀬大樹「あ、洗濯物だしておいて」
水瀬大樹「ご飯の後に洗濯するから」
水瀬水希(音音)の声「ありがとう」
水瀬大樹「あ、また言った」
水瀬水希(音音)「ごめんなさーい」
〇おしゃれなリビングダイニング
水瀬水希(音音)「悲しい顔してなに観てるの?」
水瀬大樹「戦力外通告の男たちだよ」
水瀬水希(音音)「何それ?」
水瀬大樹「プロ野球をクビになった選手に密着する番組でね」
水瀬大樹「苦しいときなのに夫婦がお互いを思いやっててさ」
水瀬大樹「特に夫の妻への愛が凄いんだよ」
水瀬水希(音音)「それで感動してたんだ」
水瀬大樹「ほら僕も水希を凄く愛してるから自分を被せちゃって」
水瀬水希(音音)「この夫はなんて名前?」
水瀬大樹「谷元直也」
水瀬大樹「知ってるの?」
水瀬水希(音音)「・・・今日知った」
水瀬大樹「今日?」
水瀬水希(音音)「・・・ねえ」
水瀬水希(音音)「大樹は他の女の子に目が行くことってないの?」
水瀬大樹「目が行くって?」
水瀬水希(音音)「いいなぁ、可愛いなぁ、お近づきになりたいなぁなんて──」
水瀬水希(音音)「ほら、昨日一緒にテレビに出てたアナウンサーさん綺麗だったじゃない?」
水瀬大樹「どんな顔だった?」
水瀬水希(音音)「覚えてないの?」
水瀬大樹「僕には水希しか見えないから」
水瀬水希(音音)「・・・ほんと?」
水瀬大樹「あ、疑うんだ」
水瀬水希(音音)「そうじゃないけど・・・」
水瀬水希(音音)「今週の金曜日が何の日とかって覚えてる?」
水瀬大樹「金曜日?」
水瀬大樹「・・・」
水瀬水希(音音)「忘れた?」
水瀬大樹「ごめん」
水瀬大樹「引っかかったー」
水瀬水希(音音)「え?」
水瀬大樹「これ見て」
水瀬大樹「レストランの予約完了メール」
水瀬大樹「金曜日の日付になってるでしょ?」
水瀬水希(音音)「覚えてくれたんだ」
水瀬大樹「僕が忘れる分けないでしょ」
水瀬水希(音音)「嬉しい」
水瀬大樹「じゃあ食べよっか」
水瀬水希(音音)「ハーイ」
〇お台場
〇オフィスのフロア
〇水色(ライト)
ラインのトーク画面
水瀬大樹「急用が入って金曜日の食事は無理になりました」
水瀬大樹「誘って頂いたのに申し訳ないです」
〇オフィスのフロア
〇オフィスビル前の道
〇占いの館
音音(水瀬水希)(不倫されるのは絶対に嫌だけど・・・ それでも私は大樹を許してしまうと思う)
真野鈴香(依子)「つらいー」
音音(水瀬水希)「どうしたの?」
真野鈴香(依子)「今夜、飲みにいかない?」
真野鈴香(依子)「飲まないと辛くて話せそうにないから」
音音(水瀬水希)「・・・」
真野鈴香(依子)「あ、そっか 旦那さんの仕事をしないとだよね」
音音(水瀬水希)「大丈夫」
真野鈴香(依子)「いいの?」
音音(水瀬水希)「親友が辛そうなんだもん」
真野鈴香(依子)「救われるー」
音音(水瀬水希)「あ、電話鑑定みたい」
真野鈴香(依子)「じゃあ、後でね」
オペレーターの声「音音先生、電話鑑定のお客様をお繋ぎします」
音音(水瀬水希)「はい、どうぞ」
音音(水瀬水希)「占い師の音音と申します」
私はまだ知らなかった
音音(水瀬水希)「今日はどのようなご相談でしょう?」
自分自身の手で──
???「恋の相談なんですけど」
〇黒
安藤塔子(メガネをしている)「大丈夫ですか?」
最恐の愛人を生み出してしまうことになるなんて・・・
〇占いの館
音音(水瀬水希)「勿論です 私が全力でお力になります」
こんばんは!
良いところで終わったので続きが気になります!仕事中は顔を隠した主人公というのがきもになりそうで、どのように依頼人や恋人と結びついていくのか楽しみです!
コントロールされてるかされてないか、なかなか区別つけるのも簡単でなかったりするかも! と思いました^^
愛人をコントロール!?
一体どうやってるのでしょう、気になって仕方がありません😆
次回を楽しみにしています。