チャイルドレイク

びわ子

様々な覚悟(脚本)

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〇森の中の沼
矢柄 鉄「ここか・・・」
矢柄 鉄「拳也・・・どこら辺で拾ったんや?」
拳也「えっ?そこの水の中でだよ・・・」
矢柄 鉄「ほな、そこら辺を入って探してくれや!」
拳也「えっ!?俺だけ!?」
矢柄 鉄「はよ、いけやボケ!」
拳也「・・・」
矢柄 鉄「そういや、この先コテージが ある言うとったな──」
矢柄 鉄「この後、食べ物でも探しにいくか・・・」
拳也「えっ!?」
矢柄 鉄「なんや嫌なんかい!!・・・そんな顔されたら余計行きたくなるなぁ」
拳也(このままではアヤト達に 鉢合わせしてしまう!!)
拳也(ど、どうしよう・・・)
拳也「・・・」
拳也(あの岩の下に 金が沢山あるのは知ってる・・・)
拳也(金を見つけても・・・ 俺はずっと鉄の奴隷だ・・・)
拳也(このままじゃ、何も変わらない・・・)
拳也「・・・」
  『変わらないことなんてないんだ』
  『 変えることができるんだ』
拳也(・・・やる)
拳也(──変えてやる!)
拳也「・・・」
拳也「コレは!! 見つけた!・・・見つけたよ!!」
矢柄 鉄「オッホー!でかした!拳也!! 今そっちにいく!」
拳也「この岩の下!!」
拳也「見て!金だらけだ!!」
矢柄 鉄「なんやと!!」
矢柄 鉄「おぉ、うぉぉぉぉぉぉぉ───────!!」
矢柄 鉄「大判や大判やないかい!!」
拳也「この奥、少し掘りずらいけど、 下から小判がどんだけでも出てくるよ!!」
矢柄 鉄「なんやと!おい、そこどけ! この奥やな!どれワシにさせてみい!!」
矢柄 鉄「ほんまや!でてきよる! ワシは・・・ワシは・・・億万長者やー!!」
矢柄 鉄「クックック・・・笑いが止まらん! もう『クズ鉄』なんて言わせへん・・・」
矢柄 鉄「今まで舐めてきたヤツ 札束ではっ倒したるからな!」
矢柄 鉄「ワッハッハ・・・ おい拳也!楽しいなぁ・・・!?」

〇森の中の沼
  あれ・・・おい!拳也!?どこおんねん!!
拳也(・・・今しかない!!)
拳也「お、重い!!」
拳也「うぅ・・・うお──っ!」
拳也「くらえ!!」
  矢柄 鉄『なんじゃぁぁぁぁぁぁぁ──!!
   耳が!耳がぁぁぁ──!』
拳也「いまだ!!」
拳也(急いでアヤト達の元に行かなくちゃ! おとん・・・いや・・・鉄がやってくる!)
  クソッ!あ、耳が痛いぃぃぃ────!!
  あん!?
  ──拳也!?車乗って?
矢柄 鉄「ギリッ!ギリギリギリッ・・・!!」
矢柄 鉄「クソガキィ・・・全殺しじゃぁぁ───!!」

〇黒背景
拳也「ゴホッ、ゴホッ・・・!」
拳也「ウッ!血が・・・、ハァ、ハァ・・・」
拳也「急がなきゃ・・・」

〇洋館の一室
  俺は円城寺さんに
  今まで起こったこと全て話をした
  彼女はただうなずいて一言
  『大変だったね』と呟いた──
野々原 医師「輸血開始いたしました、 バイタル全て正常値を保っています」
神野アヤト「バイタル?」
野々原 医師「バイタルとはバイタルサインの略語で、 日本語で「生命兆候」」
野々原 医師「わかりやすく言うと 『人が生きているしるし』という意味です」
野々原 医師「基本的には「脈拍」、「呼吸」、「血圧」、「体温」の4つのことを指します」
野々原 医師「ツカサさんが拒絶反応を起こさなければ、 後は「意識」が戻るのを待つだけですね」
神野アヤト「ありがとう野々原さん!」
円城寺 朝江「・・・ありがとうございます」
野々原 医師「いえいえ、 後は時間が解決するでしょう」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「あの──」
神野アヤト「野々原さん・・・ 1つ聞きたいことがあるのですが・・・」
野々原 医師「はい、どうぞ・・・」
神野アヤト「とーちーとは、お知り合いなんですか? 会った時に名前知ってたし・・・」
野々原 医師「・・・」
円城寺 朝江「ゴホッ、ゴホッ!野々原さん・・・」
野々原 医師「はい──」
野々原 医師「あれは10年以上前になりますね・・・」
野々原 医師「ツカサさんは私が大学病院で担当した最後の患者・・の付き添いとして出会いました」
神野アヤト「付き添い・・・? かーちーは入院していたのか・・・」
神野アヤト「それは、かーちー・・・ じゃなくナヲコ母さんの事ですか?」
野々原 医師「ナヲコ母さん・・・? アヤト君の母親はナヲコさんというのか?」
神野アヤト「え?はい・・・」
野々原 医師「・・・すまないアヤト君」
野々原 医師「医者には守秘義務というのがあって これ以上は答えられないんだ・・・」
神野アヤト「そんな・・・ それって髪の長い女の人ですか!?」
神野アヤト「その人は誰なんですか!?」
神野アヤト「教えてください・・・ 僕の本当の母親なんですか!?」
円城寺 朝江「・・・」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「一つだけ・・・一つだけ確かな事を・・・」
野々原 医師「君の母親ではない・・・100%ない・・・」
神野アヤト「えっ!!だったら、一体誰なんですか・・・」
円城寺 朝江「ゴホッ!この話はここまでにしなさい・・」
円城寺 朝江「それは貴方が ツカサさん本人から直接聞くべき話です」
野々原 医師「・・・」
神野アヤト「はい・・・野々原さん、すいませんでした」
野々原 医師「いいえ気にしてませんよ」
野々原 医師「さて私は検診にいくけれど アヤトくんも来るかい?」
神野アヤト「はい!是非!」
野々原 医師「では円城寺様、失礼します」
円城寺 朝江「ウゥッ!ゴホッ、ゴホッ!ハァ、ハァ・・・」
円城寺 朝江「私も・・・長くないわね──」

〇田舎の病院の病室
神野ツカサ「・・・スゥ・・・スゥ・・・」
野々原 医師「・・・サッ!ピッ!」
野々原 医師「サササッ、クルクルクルクル・・・」
野々原 医師「うん・・・熱も引いて顔色も良い 脈拍も血圧も安定している」
神野アヤト「後は意識だけ・・・」
野々原 医師「そうだね、何かあれば呼んでください・・ 私は円城寺様の所に戻りますので──」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「あの・・・ 円城寺さんの体調が悪そうでしたが──」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「円城寺様から、もし聞かれたら答えても良いと言われていたのでお話します・・・」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「アヤト君、円城寺様に輸血をお願いした時『覚悟をしている』と言ったね?」
神野アヤト「はい!!」
野々原 医師「この血液を使用するということは円城寺様の命を奪う事になると知らなかったでしょう?」
神野アヤト「そ、それはどういうことですか!?」
野々原 医師「矢張りそこまでは 理解されてなかったのですね・・・」

〇貴族の部屋
円城寺 朝江「ゴホッ!ゴホッ!!・・ヒュー、ヒュー・・・」
  円城寺様は・・・末期のガンです・・・
  今は薬で症状を緩和して少量の出血だが
  もう薬がなくなります・・・
  次に大量の出血がきたら
  血が足りないでしょう──
円城寺 朝江「ゼェ、ゼェ・・・ヒュー、ヒュー・・・」

〇田舎の病院の病室
神野アヤト「・・・そ、そんな」
野々原 医師「あなたを責めているわけではないですよ」
野々原 医師「円城寺様も 承知で譲られたのですから・・・」
野々原 医師「先程の問いは自分に対しての 問いでもあったでしょう・・」
神野アヤト「・・・」
野々原 医師「あなたと一緒で覚悟を決められたのです」
野々原 医師「あなたが生きることを決めたように」
野々原 医師「自分は人を救って死ぬ事を」
神野アヤト「僕は・・・僕は・・・」
神野アヤト「──────」
神野アヤト「・・・ありがとうございます」
野々原 医師「ありがとうか・・・ 私なら、すいませんと謝っていただろう──」
野々原 医師「覚悟を決めているから 前に進む言葉で返したのか・・・」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「私も覚悟を決めなくては・・・」
  アヤト──!!おじさ──ん!!いるか──!!
神野アヤト「この声は拳也!?」

〇結婚式場の入口
拳也「アヤト!」
神野アヤト「拳也!!どうしたんだ!」
拳也「俺・・・俺、変わりたいんだ!」
拳也「だから・・・逃げてきた・・・」
神野アヤト「拳也・・・」
拳也「それより!もうすぐしたらアイツが! ・・・鉄がやって来る!!」
拳也「俺達、殺されるかもしれない・・・」
野々原 医師「アヤト君・・・その子は?」
拳也「・・・」
神野アヤト「俺の・・・俺の友達です!!」
拳也「アヤト・・・」
野々原 医師「とにかく危険が迫っているのですね! 私は円城寺様の所に向かいます!!」
拳也「アヤト・・・お前の親父さんは?」
  俺は拳也にこのコテージで起きた事を伝え
  拳也は鉄が迫っている事を簡単に話した
拳也「今なら車がある! 親父さんを乗せて逃げよう!」
神野アヤト「まてまて!とーちーは俺一人では動かせない!拳也は外を見張っててくれ!!」
神野アヤト「すぐに戻ってくるから!」
拳也「はやくしろよ!!」

〇田舎の病院の病室
神野アヤト「野々原さん!?・・・」
野々原 医師「よいしょっと・・・これで移動完了です」
円城寺 朝江「ゴホッ・・・ありがとう野々原さん」
神野アヤト「円城寺さん・・・」
円城寺 朝江「そんな顔しないのアヤト君!!」
円城寺 朝江「さぁ、急いで逃げる準備をなさい!!」
円城寺 朝江「お話しされた男が迫ってきてるのでしょう」
神野アヤト「円城寺さん達はどうするんですか?」
円城寺 朝江「私の体力は、それほど残ってないでしょう」
円城寺 朝江「最後はここで人生を終えようと思います──」
円城寺 朝江「野々原さんも一緒に いってもらっても良いのですよ?」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「何を言われます野々原様、 私は最後まで医師として・・・」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「1人の男性として貴女の側にいます!!」
野々原 医師「円城寺・・・ いや朝江さんに人生を捧げます!!」
「・・・」
神野アヤト「・・・」
円城寺 朝江「アヤト君・・・」
円城寺 朝江「この部屋には不法侵入者から 身を守るパニックルームという 隠し部屋があるわ」
円城寺 朝江「だからそんなに心配しないで・・・」
神野アヤト「円城寺さん・・・」
野々原 医師「ツカサさんが意識を取り戻すのは もう間も無くでしょう」
野々原 医師「野々原が宜しく言ってたとお伝えください」
神野アヤト「野々原さん・・・」
円城寺 朝江「さぁ、お行きなさい」
神野アヤト「ウッ、ウッ、グスッ、ヒック、ヒック・・・」
神野アヤト「ありがとうございました」
円城寺 朝江「・・・ゴホッ」
野々原 医師「大丈夫ですか?あさ・・・朝江さん」
円城寺 朝江「はい・・・」
円城寺 朝江「素直ないい子でしたね・・・」
野々原 医師「えぇ・・・」
「・・・」

〇結婚式場の入口
神野アヤト「待たせた!!」
拳也「お、おう!こっちはまだ大丈夫だ!」
拳也「親父さんは気を失ってるのか?」
神野アヤト「あぁ、もうすぐしたら目を覚ますだろうって」
拳也「よし!わかったとりあえず 次のコテージにでも向かおう!」

〇お化け屋敷
「よいしょー!!」
拳也「重たいなぁー、よし!移動するぞ!!」
神野アヤト「おい・・拳也?この車誰が運転するんだ?」
拳也「誰って?俺に決まってるじゃないか!」
拳也「・・・ん!?」
拳也「ヒッ!?あれは!!」
拳也「やばい!やばい!やばい!やばい!!」
  キュルルル・・・ガコッ!ガコン!!
神野アヤト「拳也何してんだ!!」
拳也「焦るとエンストしてしまうんだよ!!」
神野アヤト「はやくしろよ!近づいてきてるぞ!」
  キュルル・・・ガコッ!ガコン!!
拳也「だから焦らすなって!!」
神野アヤト「やばい!!やばい!!」
  矢柄 鉄『け──ん──や──く──ん』
拳也「ヒッ!!」
拳也「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!」
神野アヤト「大丈夫、まだ距離はある!落ちつけ!!」
拳也「うおぉ──────────!! 動けぇ──────────────!!」
  キュルル!ガコッ!ガコッ!ガコン!!
神野アヤト「あぁ──!!」
  矢柄 鉄『みぃ──つけたぁ──』

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コメント

  • いや、鉄こわいこわいこわい!!😂
    にーげーてー!!

  • 子供たちの成長が感じられる回でした。サバイバルという極限状態になっても、人の温かさが人を動かすんだなと。
    アヤトの周りの人達が皆温かくて本当に良かった!
    それにしても、鉄が怖すぎる……😱
    続きも楽しみにしています😊

  • 鉄の執念がこれでもかと表されていて恐ろしかったです。
    トロッコ問題の結果、覚悟を持って奪った命、強い2人の絆…
    この回はまさに最高でした!

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