チャイルドレイク

びわ子

カーペ・ディエム(脚本)

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〇山道
神野ツカサ「いやー、さっきの魚美味しかったなー」
神野アヤト「俺、外来魚初めて食べたよ!」
神野アヤト「もうちょっとでコテージにつくのかな? 道が歩きやすくて助かるね」
神野ツカサ「コテージにつながる道が そのまま滑り落ちたのかな?」
神野アヤト「これなら早く着きそうだ!」
神野アヤト「足の方はどう?」
神野ツカサ「血が出るのも少し治まってきたかな」
神野アヤト「うん・・・」

〇森の中
神野ツカサ「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
神野アヤト「とーちー息荒くない?大丈夫?」
神野ツカサ「大丈夫、大丈夫、魚食べたからなー、 美味しかったよなー、魚・・・」
神野アヤト「あぁ・・・うん・・・」
神野アヤト(その話さっきもしただろ・・・まったく)
神野アヤト「あっ!見て!」
神野アヤト「あの木の間から電気の様な 灯りが見えるよ!」
神野アヤト「ほら、あそこ!コテージだ!」
神野ツカサ「・・・」
神野アヤト「ねぇ・・・とーちー聞いてる?」
神野ツカサ「あぁ、聞いてるよ・・・ 美味かったよな──あの魚──」
神野アヤト「とーちー、さっきから同じ事を 何回も何言ってんだよ!!」
神野ツカサ「あぁ、そうか・・・ すまん、ちょっとな・・・さぁ、行こう」
神野アヤト「ほんと大丈夫なの?」
神野アヤト「フゥ、フゥ・・・」
神野ツカサ「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
神野ツカサ「アヤト・・・ 悪いけど少し休憩してから行くよ・・・」
神野アヤト「え!?休憩? さっきの魚、食べた時にしたじゃんか」
神野ツカサ「ちょっとだけ・・・ ちょっとだけだから・・・」
神野アヤト「じゃあ俺、コテージの様子みてくるよ」
神野ツカサ「あぁ・・・すまない・・・気をつけてな」
神野アヤト「・・・」

〇お化け屋敷
神野アヤト(全種類コテージの形が違うって聞いたけど、二階建てのコテージがあるなんて)
神野アヤト(電気がついてる!!誰かいるんだ・・・)
神野アヤト(用心のために一度、 とーちーの所へ戻ろう・・・)

〇森の中
神野アヤト「とーちー!!コテージ発見したよ! 二階建ての!誰かいるみたいだ!」
神野アヤト「とーちー・・・!?」
神野アヤト「とーちー・・・ってば!!」
神野アヤト「起きてよ!とーちー!」
神野ツカサ「・・・ハァ、ハァ」
神野アヤト(暗くてよくわからなかったが、 顔が異常に白いし、体が震えている!)
神野アヤト(おまけに息も荒い・・・さっきからの会話が変なのも意識が朦朧としていたから!?)
神野アヤト「どうしよう、どうしよう!!」
神野アヤト(とーちーなら、こんな時どうする? とーちーなら・・・)
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「とーちーは、 どんな時も前に進んでた・・・」
神野アヤト「俺も前に進む!!」
神野アヤト「とーちー待っててね、 俺コテージに行ってくる・・・」
神野ツカサ「・・・ウウッ・・・ハァ、ハア・・・」

〇お化け屋敷
神野アヤト(近くにきてわかったが、このコテージは明らかに他とは雰囲気が違う・・・)
神野アヤト(普通なら電気を節約するのに、関係ないかの様に全部屋ライトが点いている・・・)
神野アヤト「まるで灯台のようだ・・・」
???「君・・・!?」
神野アヤト「だ、誰!?」
野々原 「驚かしてすまないね・・・ 君、1人?どこから来たんだい?」
神野アヤト(見た感じ悪そうな人に見えない・・・ 頼っていいんだろうか・・・)
神野アヤト(いいや、今は頼るしかないだろ俺!!)
神野アヤト「あっ・・・あの!!」
神野アヤト「とーちーが倒れて目を覚さないんです!! 助けてください!!」
野々原 「落ち着いて、私の名前は野々原といいます 君の名前は?」
神野アヤト「神野アヤトっていいます・・・」
野々原 「アヤト君、とーちーっていうのは、 誰かのあだ名か何かかな?」
神野アヤト「あっ・・・、 あのとーちーは父親のあだ名です・・・」
野々原 「お父さんはどこにいるのかな? ここから近い所かな?」
神野アヤト「そこの見える大きな木の近くです! 来てください!」
野々原 「わかりました。ではコテージから見える様に木の下で少し待っててください」
野々原 「では私は、人を運ぶ為に 車椅子を取りに行ってまいりますので」
神野アヤト「ありがとうございます!」
神野アヤト(・・・あれ!?)
神野アヤト(野々原さん足が悪いのかな? 片足をひきずって歩いている・・・)
神野アヤト(車椅子も万が一の自分用なのかな?)
神野アヤト「・・・」

〇森の中
神野ツカサ「ハァ、ハァ・・・ウ・・・ウゥ・・・」
神野アヤト「とーちー! もうすぐ、助けに来てくれるから!!」
神野ツカサ「ハァ、ハァ・・・ウゥ・・・」
野々原 「お待たせしました・・・ ごめんね、足が悪いモノで・・・!?」
野々原 「お父さん、私の声が聞こえますか? もしもーし・・・!?」
神野ツカサ「・・・ハァ、ハァ」
野々原 「ん!?んんっ!?彼は!!」
野々原 「神野ツカサさん!?」
神野アヤト「えっ?とーちーのことを知ってるの?」
野々原 「ええ、まぁ・・・ それより、かなり具合が悪いみたいです」
野々原 「ここでは暗くてよくわからないので コテージに行きましょう」
野々原 「この車椅子に乗せて お父さんを一緒に運びましょう!」
神野アヤト「は、はい!!」

〇田舎の病院の病室
神野ツカサ「フゥ・・フゥ・・フゥ・・フゥ・・・」
野々原 医師「応急処置ですが手と脚の傷は縫いました 出血はこれで大丈夫でしょう」
神野アヤト「野々原さん、お医者さんだったんだ!」
野々原 医師「はい。 今はこのコテージにいらっしゃる方の 専属医師として働いております」
神野ツカサ「ウゥ・・・ハッ、ハッ・・・」
野々原 医師「アヤトくん・・・ ツカサさんの病状は芳しくないです」
野々原 医師「出血性ショックの症状として 皮膚の色が白く、冷や汗が出て」
野々原 医師「脈拍も呼吸が速くなり、 血圧の低下を確認しました」
野々原 医師「また、意識もぼんやりした状態から 昏睡状態になってきてまして・・・」
野々原 医師「このままでは”生命の危険”になります」
神野アヤト「・・・!?」
神野アヤト「生命の危険・・・ つまり死ぬってこと!?」
神野アヤト「・・・先生」
神野アヤト「何でもします!」
神野アヤト「血が足らないのなら僕のを使って下さい!」
野々原 医師「アヤトくん・・・ 確かに輸血はしたいのですが・・・」
野々原 医師「原則、 親子間の輸血は禁止されているのです」
神野アヤト「なんでなんですか!?」
野々原 医師「GVHDの発症予防の為です」
神野アヤト「G・・・v・・・何ですって?」
野々原 医師「簡単に説明します」
野々原 医師「普通、患者さんに輸血した時、輸血した血液の中のリンパ球は攻撃され駆逐されます」
野々原 医師「しかし親子ではリンパ球の型が似てるため、異物だと認識をせずに排除をしない」
野々原 医師「すると・・・輸血した血液のほうの リンパ球が増殖してしまい」
野々原 医師「体の組織全部を 異物と判断し攻撃し始める」
野々原 医師「それにより致死率が高い合併症が 発生することをGVHDと言います」
神野アヤト「それなら・・・どうすればいいんですか?」
野々原 医師「私の血液でよければ差し出したいのですが 困ったことに・・・」
野々原 医師「血液型検査をした結果ツカサさんは 『A型のRh(−)』でした」
神野アヤト「Rh(−) だとダメなの?」
野々原 医師「Rh(−) の人はRh(−) でしか 輸血が出来なく、数も少ないのです」
野々原 医師「今はドナーが見つかるまで ツカサさんの体力を信じて待つしかない」
神野アヤト「そ・・・」
神野アヤト「そんな──」
神野アヤト「とーちー、まだ死ぬ時じゃないだろ!」
神野アヤト「さんざん生きることの大切さを 話しておいて勝手に死ぬのかよ!」
神野ツカサ「今、頑張って生きろよ!」
神野アヤト「とーちぃぃぃぃぃ────!!」
野々原 医師「・・・」
神野アヤト「なぁ、とーちー・・・」
神野アヤト「起きて・・・起きてよ!!」
神野アヤト「いつもの様にバカ言ってよ!」
神野アヤト「かーちーとマツリは、どうすんだよ!」
神野アヤト「答えてくれよ!」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「とーちぃぃぃぃぃ──!!」
神野アヤト「グスッ!ヒック!」
野々原 医師「アヤトくん── 私についてきてくれませんか?」
野々原 医師「会わせたい人がいます──」
神野アヤト「会わせたい人・・・!?」

〇洋館の一室
野々原 医師「円城寺様、お連れいたしました」
円城寺 朝江「ありがとうございます、先生」
円城寺 朝江「初めまして 私の名前は円城寺 朝江といいます」
円城寺 朝江「・・・ゴホッ」
神野アヤト「こんにちは・・・神野アヤトです・・・」
円城寺 朝江「立ち話も何だし、紅茶でもいかがかしら? さぁ、座って、座って」
神野アヤト「あの・・・なんで呼ばれたんでしょうか?」
円城寺 朝江「・・・ゴホッ、ゴホッ、失礼──」
円城寺 朝江「お父さんのこと助けたい?」
神野アヤト「もちろんです!!」
円城寺 朝江「素直で良いわね・・・じゃあ──」
円城寺 朝江「私の問いに納得がいく答えをくれれば 助けてあげてもいいわよ」
神野アヤト「えっ!?それはどういうこと?」
野々原 医師「・・・」
野々原 医師「円城寺様は自身が使用されている 輸血パックをストックされています」
野々原 医師「血液型もRh(−)で同じです。ツカサさんに使用しても大丈夫だと確認しました」
野々原 医師「しかし、それは円城寺様の大切なモノ ・・・それでもやりますか?」
神野アヤト「・・・はい!やります!やらせて下さい!」
野々原 医師「・・・」
円城寺 朝江「では・・・いいかしら?」
神野アヤト「はい!!」
円城寺 朝江「あなたは線路の側で働いています」
円城寺 朝江「遠くからブレーキが効かないトロッコが 猛スピードで走ってきました」
円城寺 朝江「進む先には、5人の作業員が働いており」
円城寺 朝江「進行方向を変える レバーの前に立つのはアヤトくん1人」
円城寺 朝江「レバーを引くとレールが 移動し5人を救えますが」
円城寺 朝江「移動先にいる 1人の作業員が犠牲になってしまいます」
円城寺 朝江「さて・・・アヤトくんは」
円城寺 朝江「ゴホッ、ゴホッ・・・」
円城寺 朝江「1人と5人、どちらの命を選びますか?」
神野アヤト「・・・」
野々原 医師(この答えは2つ・・・)
野々原 医師(①自分が行動を起こして1人を犠牲にする)
野々原 医師(②自分は行動せず 5人は犠牲になるのどちらかだ・・・)
円城寺 朝江「そうそう、レバーの操作以外は出来ないから作業員を避難させることは出来ないわよ」
円城寺 朝江「だからといって、 レバーを引いた責任も問われないからね」
神野アヤト「・・・」
円城寺 朝江「さぁ、トロッコは迫っているわ!!」
円城寺 朝江「決断を!!」
神野アヤト「・・・僕は──」
神野アヤト「僕は、レバーを引きます!!」
円城寺 朝江「まぁ、それは何故?」
神野アヤト「とーち・・・じゃなく父親が言ってました」
神野アヤト「どんなに悪人でも 命だけは簡単に奪ってはいけない」
神野アヤト「人の命はそれ程、大事なんだと・・・」
円城寺 朝江「・・・」
神野アヤト「この問題に正解があるか解りません・・・」
神野アヤト「それは、人間の感情が人それぞれ違うから」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「だから人間の感情をなくして考えました」
神野アヤト「神様の前ではみな平等であり 地位や名誉も関係ない」
神野アヤト「命は、人によって重さや価値もなく1つ」
神野アヤト「寿命の長さは違うけど 同じモノだと考えたら・・・」
神野アヤト「命を1つ犠牲にして5つ生かす方が、 未来の為にはいいと思うんです・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「・・・でも、本当の答えはそれじゃない」
神野アヤト「たぶん、この問題の本当の意図は・・・」
神野アヤト「自分のしたことに、 責任を取らなくてはならないか」
神野アヤト「『覚悟』が、あるかだと思います!!」
神野アヤト「さっき言った様に 全ての人の心が同じではないように」
神野アヤト「どの人がどの様な行動をしても どれも正解なんだと思いますが・・・」
神野アヤト「僕は1人を犠牲にして・・・」
神野アヤト「その罪を背負って生きることを選びます!!」
「・・・」
円城寺 朝江「アヤトくん・・・」
円城寺 朝江「素晴らしい答えだったわ」
円城寺 朝江「ゴホッ・・・」
円城寺 朝江「この問題は正解がないからと言って 考えなくて良いわけではないことよね」
円城寺 朝江「大事なのはちゃんと 自分で考えて結論をだし責任を取ること」
円城寺 朝江「それが一番、後悔しない生き方よ」
円城寺 朝江「──覚悟ができてるのね」
神野アヤト「はい!!」
円城寺 朝江「・・・ゴホッ、ゴホッ!」
円城寺 朝江「私の血液をあなた達に 使用してもらえると嬉しいわ」
野々原 医師「円城寺様──」
神野アヤト「ありがとうございます!」
円城寺 朝江「じゃあ先生、後は頼みましたよ」
円城寺 朝江「ゴホッ、ゴホッ・・・」
野々原 医師「はい!必ず救って見せます!! では──」
円城寺 朝江「後は先生に任せたらいいから アヤトくんも少しお休みなさい・・・」
神野アヤト「はい・・・」
神野アヤト(さっきから咳をされてるが 大丈夫だろうか・・・)

〇地下室
拳也「た、ただいま・・・」
  カチャ、カチャ、ガチャ!
  キュッ、キュッ!
拳也「あれ?おとん?・・・」
矢柄 鉄「おう拳也、帰ってきたか!」
拳也「何してるの?」
矢柄 鉄「あぁ、ワシの車を修理してたんや やっと完成したわ!!」
矢柄 鉄「見てみぃコレ」
矢柄 鉄「世紀末仕様や!! すごいやろ!?運転してみたいやろ?」
拳也「あ、あぁ・・・すごい・・・」
矢柄 鉄「あー、喉が渇いたわ あ!?お前水持ってるやんけ、飲ませろや」
拳也「あっ!それはアカン!」
矢柄 鉄「何がアカンじゃ! お前のモンは俺のモンじゃ!!」
矢柄 鉄「ウ、ウゲェェェ────!!」
矢柄 鉄「なんやコレ塩水か!?」
矢柄 鉄「なめとんのか!このクソガキがー!!」
拳也「ウッ・・・だからアカンっていったのに」
矢柄 鉄「屁理屈こねるな! もう一発くらいたいんか!!」
拳也「それは奪ってきたんです・・・ コレと一緒に・・・」
矢柄 鉄「おい!おい!金やないかい!!」
矢柄 鉄「拳也──、お前も悪いやっちゃなー、ワザと嫌なことさせて後でええモンだすなんて」
矢柄 鉄「その年で飴と鞭を使いよるか」
矢柄 鉄「で?コレどうしたんや」
拳也「足刺した家族が 倒れてたから奪ってきました・・・」
矢柄 鉄「ほぅ・・・」
矢柄 鉄「死んどったんか?」
拳也「いや、わかりません・・・」
拳也「なんかスライムみたいなのが近くにいたから近付くのやめました・・・」
矢柄 鉄「スライム・・・あの化物か・・・ ほな死んどるな・・・」
矢柄 鉄「わかった・・・ほな出発するぞ!!」
拳也「え!?どこに?」
矢柄 鉄「決まっとるやないか! その金があったとこにいくんや!!」
矢柄 鉄「匂う!匂うで!!まだまだ、あるはずや!!」
矢柄 鉄「拳也!お前運転せい!! 何回かした事あるやろ?」
拳也「でも・・・ これオートマじゃなくミッション・・・」
矢柄 鉄「口ごたえするな! こんなもん5分で運転出来る様になれ!!」
矢柄 鉄「さぁ、いくぞ!!」

次のエピソード:様々な覚悟

コメント

  • 私のとーが…!
    円城寺さんは、クイズと自分の境遇をダブらせていたのでしょうか?優しいけど、悲しすぎる!
    そして、子供にマニュアルは厳しいよ矢柄!
    私なら道中、3回はエンストする自信あります。

  • アヤトその歳で覚悟決まりすぎやぁ…

    鉄もなかなかしぶとい…スライムみたいに塩水で撃退できればよかったのに(無茶)

  • 難しい問題に対して逃げることなく 責任を負う覚悟を示したアヤト…この困難の中で成長したんですね😭
    たくましく見えます😭
    世紀末ヒャッハーな矢柄が迫り…野々村さんはとーちーのことを知ってる?…いろいろ気になる展開です!

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