マイティキャット

射貫 心蔵

マイティキャット(脚本)

マイティキャット

射貫 心蔵

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マイティキャット
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〇空
  脱走だァ!!

〇怪しい研究所
  ソッポが逃げたぞぉ!!

〇通学路
エージェント「ニャンコやニャンコ、どこ行った?」

〇川に架かる橋
エージェント「ニャ~ン? ニャ~ン?」

〇開けた交差点
「ニャ~ン?」
「ニャ~ン?」
二言みこと「なんだか騒がしいなぁ」
  ニャ~ン
二言みこと「かわいい!」
二言みこと「どこから来たの?」
ソッポ「ミィ」
二言みこと「そっかそっか」
二言みこと「じゃあねネコちゃん!」

〇ゆるやかな坂道

〇市街地の交差点

〇綺麗な一戸建て
「・・・・・・」
二言みこと「ゴメンね、入れてあげたいけど ウチにはもうネコがいるの」

〇魔法陣
  ペッポっていう可愛げのないのが
ペッポ「何見てンだよ?」

〇綺麗な一戸建て
二言みこと「だからここでお別れ」
二言みこと「じゃあね!」

〇シックな玄関
二言みこと「ただい--」
ソッポ「ミャア!」
  ドタドタドタドタ!!
あまり「ネコォ!!」
二言みこと(さっそく厄介なのが・・・・・・)
ペッポ「さらってきたんか?」
二言みこと「何を人聞きの悪い」
二言みこと「ついてきたのよ」
あまり「かぁいい!」
ペッポ「おいお前、この家に住みたきゃ 俺様を兄として崇めるのだな」
ソッポ「ニャ~ン♪」
ペッポ「ふふ、なかなか見所のある奴」
お母さん「さっきから騒がしいわね みこと、帰ったのならサッサと--」
お母さん「どうしたのこのネコ?」
ペッポ「さらってきたんだって」
二言みこと「ついてきたのよ」
お母さん「まさか飼うつもりじゃないでしょうね?」
あまり「え? いいじゃん、飼おうよお母さん」
お母さん「バカいわないで ペッポだけで手一杯だっていうのに」
ペッポ「ふはははは! どんなもんだい!!」
お母さん「褒めてないわよ」
お母さん「かわいそうだけど返してらっしゃい」
ソッポ「ミィ」
お母さん「つぶらな瞳で見つめたって ダメなものはダメですからね!」
二言みこと「ほーら、いわんこっちゃない」
お父さん「ウヒー! 父が帰ったぞぃ!!」
お父さん「どうしたみこと? 玄関先で突っ立っちゃって」
ソッポ「ニャン」
お父さん「ペッポじゃないね。どこの子だい?」
二言みこと「知らないわ 帰り道、ずっとついてきたのよ」
あまり「ねぇお父さん この子もウチで飼っちゃおうよ!」
お母さん「まーたこの子はホントに!」
お母さん「ウチにはそんな余裕ありません!!」
お父さん「聞き捨てなりませんな」
お父さん「するとニャンですかい 私にゃネコを飼う甲斐性がニャイと?」
二言みこと(あ、マズイ。今日は相当キテるわ)
お母さん「ネコなんて一匹いれば充分でしょう」
ペッポ「ダディ、マミィ、子供の前だ もう少し穏便に」
お父さん「何をいう」
お父さん「私は器の広い男!」
お父さん「ネコの一匹や十匹ドンとこいってんだ!!」
あまり「本当!?」
お母さん「やめなさい、あまりが本気にするでしょう?」
お父さん「僕だって本気だもんね~♪ ウヒヒヒヒ!」
あまり「お父さん!?」
ペッポ(これ絶対明日覚えてないだろ)
お母さん「仕方がない」
お母さん「今日だけですからね」
あまり「ワーイ! ありがとうお母さん!!」
ペッポ「おめでとう新入り! 歓迎するぜ!!」
ソッポ「ニャ~ン!」
お母さん「みこと お父さんを部屋に入れてやんなさい」
二言みこと「はーい」
二言みこと「あまり、アンタも手伝うのよ!」
あまり「イヤンなっちゃうなァ!」
ペッポ「こうはなりたくないねぇ」

〇綺麗な一戸建て
  おやすみー!
  ニャーン!

〇綺麗な一戸建て

〇綺麗な一戸建て
  おはよー!
  ふにゃ~ん♪

〇おしゃれなリビングダイニング
ペッポ「いいか新入り?」
  コレが俺の
  コレがお前のだ
あまり「ペッポずるい」
二言みこと「イジワルしないで 半分こすればいいじゃない」
ペッポ「そうはいくか」
ペッポ「上下関係はハッキリしておかなくちゃ」
ペッポ「なぁ、そうだよなぁ?」
ソッポ「ニャン♪」
二言みこと「いいよ無理しないで 私のわけてあげるから」
あまり「私のも!」
ソッポ「ミャア」
ペッポ「くっ、ズルいぞ! 親分を差し置いて!!」
お母さん「親分は子分の面倒を見るものよ」
お父さん「ねぇ母さん、あのネコどうしたの?」
お母さん「どうしたのかしらね」
お母さん「いいことみこと? アナタが連れてきたんだから アナタが責任をもって処理しなさい」
お母さん「ご飯を食べたらスグ! いいわね?」
二言みこと「わ、分かってるわよ」
あまり「ねぇ、もうちょっと後でもいいでしょう?」
あまり「せっかく仲良くなったんだもん! もっと遊びたい」
お母さん「いけません」
お母さん「一緒にいればいるほど 別れるのが辛くなるんだから」
お父さん「まぁまぁ母さん」
お父さん「たまには普通の動物と触れあうのも いい経験だよ」
ペッポ「まるで俺が異常な動物みたいな言い方だな」
二言みこと「アンタみたいなお喋り、普通とは言えないわ」
ペッポ「勝手だねぇ人間って奴ァ」
ペッポ「人類平等を謳いながら 他人と違う部分があれば すぐに色眼鏡をかけやがる」
ペッポ「世界は広いんだ 人語を解するネコがいたって 不思議じゃないぜ」
二言みこと「喋る喋らないの問題じゃないの 口数が多いっていってるの!」
お母さん「二人とも 口ゲンカしないで食べちゃいなさい!」
お父さん「まぁ何にしてもだ」
お父さん「一、二時間置いてもバチは当たらないよ」
お母さん(お父さん、あまりには甘いんだから)
あまり「やりィ!」
二言みこと(あーヤダヤダ、妹びいき)
あまり「いけない、もうこんな時間!」
あまり「早く食べなきゃ メタルウィングがはじまっちゃう!」
二言みこと「メタルウィング?」
あまり「お姉ちゃん知らないの!?」

〇惑星
  世界の平和を守るために悪と戦う
  三人組のヒーローのことだよ!!

〇おしゃれなリビングダイニング
あまり「とってもカッコいいんだ!」
二言みこと「特撮の話か」
ペッポ「くっ、いかん!」
ペッポ「あまり、もうはじまっちゃうよ!」
二言みこと「ペッポも観てるの?」
あまり「かくなる上は--」
  ヒョイパク! ヒョイパク!
あまり「ゲップ! ごちそうさまァ!!」
ペッポ「新入り、お前も来い! 至高の時間がはじまるぞ!!」
ソッポ「ミャア」
二言みこと「さてと、私も行くかな」
お母さん「みこと、くどいようだけど--」
二言みこと「分かってるわよ、うるさいなぁ」
二言みこと「番組が終わったら捨てに行きます」
二言みこと「ごちそうさま」

〇一階の廊下
二言みこと(はぁ、憂鬱)

〇部屋の前
  憎からぬ相手を捨てるって、抵抗あるなァ

〇二人部屋
あまり「いいぞ、やれーッ!!」
二言みこと「・・・・・・」

〇岩山
メタルウィング「はぁ、はぁ、なんて強さだ!」
怪人「たった一人で 私とここまで戦えたことを褒めてやる」
怪人「だが、これでキサマもおしまいだ!!」
怪人「究極奥義、爆裂拳!!」
  うわぁぁあああ!!

〇高速道路

〇コックピット
メタルウィング「死ぬなよレッド!」
メタルウィング「今いくでヤンス!!」
  絶体絶命のレッドの危機に
  グリーンとパープルは間に合うのか?

〇岩山
怪人「私の勝ちだな、レッド」
  粉々に消し飛んだレッドの運命やいかに!?

〇古代文字
  To Be Continued・・・

〇二人部屋
二言みこと(結構面白いな)
あまり「まただわ いっつも気になる所で終わるんだから」
ペッポ「くそぉ TVに入ってレッドを助けに行きたいぜ!」
ソッポ「ニャア」
ソッポ「シャァァアアア!!!」

〇綺麗な一戸建て
  わわ! なんだ? 地震か!?

〇二人部屋
二言みこと「何、このバチバチ!?」
あまり「怖いよお姉ちゃん!」
ソッポ「シャァァアアア!!!」
ペッポ「おい、そう興奮するなよ。娯楽番組だ」
ソッポ「ミャア」

〇綺麗な一戸建て
  ア、アレ? おさまったぞ

〇二人部屋
二言みこと「あまり、もう大丈夫だよ」
ペッポ「あー怖くなかった!」
ペッポ「お前はどうだ、ビビったか?」
ソッポ「ニャア」
ペッポ「ふん、ダラシのない奴」
ペッポ「俺から離れるなよ?」
二言みこと「さて 番組が終わったことだし、そろそろ--」
あまり「お姉ちゃん、何言ってるの? まだ戦いははじまったばかりだよ」
ペッポ「みことよ、朝のヒーロータイムは--」

〇綺麗な一戸建て
  三本立て!?
  このあと、大きな揺れが
  起こったり起こらなかったり

〇空
  ジー、ワワワワ・・・・・・

〇川沿いの原っぱ
あまり「メタルウィングがいる限り 悪は絶対に栄えない!」
あまり「悪党め、成敗してくれる!」
ペッポ「今朝の放送を覚えていないのか?」
ペッポ「私の爆裂拳に キサマは手も足も出なかったではないか!!」
ペッポ「木っ端微塵にしてくれるわ!!!!」
ソッポ「ニャーン♪」
二言みこと(結局お昼過ぎてしまった)
二言みこと(この子人懐っこいから 私たちが引き上げれば必ず追ってくるわ)
二言みこと(走って逃げても追いつかれるし どうすれば・・・・・・)
二言みこと(あぁ、嫌だな)
二言みこと(なんでこんなことで 悩まなくちゃいけないんだろう?)
二言みこと(いっそのこと、内緒で飼うっていうのは?)
  ・・・・・・
二言みこと(無理ね。あまりもペッポも口が軽いもの)

〇土手
エージェント「おい見ろ!」
エージェント「あの川沿いにいるの、ソッポじゃないか!?」
エージェント「どれどれ?」

〇川沿いの原っぱ
  ちがう、そっちじゃない!

〇川沿いの原っぱ
  ホントだ!

〇土手
エージェント「あんにゃろう ちゃっかり人間とツルみやがって!」
エージェント「隣の女の子、結構かわいいじゃんか!」
「・・・・・・」
エージェント「行くか、茶々入れに」
エージェント「よしきた!」

〇川沿いの原っぱ
  お嬢ちゃん
エージェント「ヒーローごっこかい?」
エージェント「オジサンたちも混ぜてくれないか?」
二言みこと「どうしたの?」
あまり「いいよ!」
あまり「私、メタルウィングね!」
ペッポ「俺、敵幹部!」
エージェント「メタルウィングか、TV観てるよ」
エージェント「アレかっこいいんだよな!」
エージェント「ま、我々はもっとカッコいいけどね」
ペッポ「アンタら冗談は顔だけにしなよ?」
ペッポ「そのイデタチはヒーローというより 諜報員か世界征服を企む悪の秘密結社だ」
エージェント「いや、喋るネコも大概だろ」
エージェント「誰の眷属だ? 魔女か、死神か」
二言みこと「ペッポ、今のはアンタが悪いわ!」
二言みこと「ホホホ、すみません。ウチのネコが」
エージェント「いえ、いいんです 私もネコは大好きですから!」
エージェント「よぅソッポ、探したぜ」
ソッポ「ニャーン」
二言みこと「知り合い?」
エージェント「ソッポはウチのネコでねぇ 夕べから見つからなくて困ってたんですよ」
エージェント「アナタのような優しいお嬢さんに 保護してもらえてよかった」
二言みこと「いえ、こちらこそ助かりました」
二言みこと(よかった、本当に)
あまり「ねぇ、メタルウィングごっこは!?」
エージェント「あぁ、ゴメンゴメン!」
エージェント「で、我々はなんの役をすればいい?」
ペッポ「俺の手下に決まってるだろう?」
エージェント「でも、メタルウィングは三人いるんだぜ?」
エージェント「三人が協力して敵幹部を倒した方が ドラマチックじゃないか」
ペッポ「三人がかりで動物虐待しようっての?」
ペッポ「ヒーローの所業とは思えんぜ」
エージェント「口数の減らないネコだな」
エージェント「幹部なら器の大きい所を見せてくれよ!」
二言みこと(ネコと大人が同レベルで張り合っている)
ペッポ「OKわかった ヒーロー役はオタクらに譲るよ」
ペッポ「だがコッチも助っ人を呼ばせてもらう」
二言みこと「私はゴメンだからね!」
ペッポ「みことじゃない」
ペッポ「出番だぞ、新入り!!」
ソッポ「ニャッ!?」
二言みこと「ちょっとペッポ、やめなさい 人様のネコよ?」
エージェント「気にしないでください」
エージェント「おいソッポ ちょっとお灸を据えさせてもらうぞ!」
エージェント「さぁリーダー 悪党どもをやっつけましょう!」
あまり「よーし、やるぞォ!!」
ペッポ「ふん、愚かな人間どもめ」
ペッポ「ネコの実力を見せてやろうぜ!」
ソッポ「ニャーン」
あまり「そいや!」
ソッポ「ニャ~ゴ!」
エージェント「ていや!」
エージェント「キェェエエエエ!!!」
  シュン!
  シュビビ!
「・・・・・・」
エージェント「食らえっ!」
ソッポ「ニャッ!!」
  スーッ!
エージェント「上か!!」
エージェント「そりゃ!」

〇空

〇川沿いの原っぱ
あまり「あわわわわ!」
ペッポ「タ、タンマ!」
ペッポ「お、おい! アンタらやりすぎだぞ!!」
エージェント「いやぁゴメンゴメン」
怪人「つい力が入りすぎちゃって」
ペッポ「で、出たァ!!」
あまり「本物の怪人だ!!」
二言みこと「ちょちょちょ、なんですか?」
二言みこと「ウ、ウチの家族に手出しはさせませんよ!?」
ペッポ「みこと」
あまり「お姉ちゃん」
怪人「ま、待ってくれ!」
怪人「本当に怖がらせるつもりはなかったんだ!」
怪人「我々は生まれついての異形の者」
怪人「先天性の病気か、突然変異かはわからない」
怪人「姿形が異常なので 普段は人間の姿を借りて暮らしているのです」
怪人「これは我々の処世術です 人間は普異形の者を見ると 怪人として忌み嫌いますからね」
ペッポ「・・・・・・」
怪人「ほらソッポ、お前も姿をお見せしろ!」
怪人「無礼をお許し下さい コイツもネコたちから迫害されて 寂しかったのです」
怪人「ニャン」
怪人「その点、TVのヒーロー とりわけメタルウィングはよかった」

〇岩山
  同じ異形でも
  彼らは世のため人のために戦い
  人々から称賛を集めている
  我々も努力次第で
  キチンと認めてもらうことができるのだと
  身をもって教えてくれたのです

〇川沿いの原っぱ
怪人「束の間でも あなた方と触れあえて楽しかった」
怪人「それでは」
  おい新入り!
ペッポ「また来いや」
あまり「次も皆で遊ぼうね!」
怪人「ニャン♪」
「・・・・・・ありがとう」

〇空
  リーン、コロコロコロ・・・・・・

〇土手
あまり「お母さん ネコちゃんの本当の姿を見てたら どうなっただろうね?」
二言みこと「泡を吹いて腰抜かすんじゃない?」
ペッポ「彼らの気持ち、少しわかる気がする」
ペッポ「俺も言葉が話せることで ネコ仲間から避けられてきたからな」
二言みこと「いつになくセンチじゃないの」
ペッポ「いや、借りは返したさ たっぷり利子をつけてな」
二言みこと「アンタも彼らの真摯さを見習うべきね」
ペッポ「いったな?」
「ふ、はははは!」
  怪人は「怪しい人」と書くけども
  心は至極まっとうなのです

コメント

  • 悪者が一人も出てこないのんびりした世界観に和みました。河原でくつろぐゴリラとクマにもほっこり。ニャーンとかミィだけで周囲の優しい気持ちを引き寄せるソッポ はいろんな意味でマイティキャットですね。

  • ペッポの存在感!?
    ヒト語を話し、達観したと思えば小狡い発言をしていて、作中ずっとツッコミたくなる存在ですね。作品は、キャラクターからストーリー展開まで全て素晴らしいのに、記憶から印象から全てペッポが持っていっていますねww

  • 迷いネコのお話かと思って読んでいたら、まったく違う展開。読んで思ったのは、逆にすべて同じの人間を含む動物もいないってこと。違っていても分かり合える世界だとよいな。

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