冷たい五月

yui

第一話(脚本)

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〇病室のベッド
  ベッドに横たわった女の細い首に
  怜香の両手が食い込んでいる。
怜香「・・・早く・・・」
怜香「早く死んでよ」
怜香「・・・・・・お母さん」

〇水色(ディープ)
  『冷たい五月』第一話

〇高級マンションの一室
  暗い部屋の中。
  怜香は家主を待っていた。
  その手には、拳銃。
  サイレンサー加工済みだ。
  拳銃の色は、闇よりもなお暗い。
怜香「・・・・・・」
怜香(そろそろ帰ってくるはず)
  男の行動パターンは調査済みだった。
  扉が開く音がした。
  怜香は息を圧し殺す。
怜香「・・・・・・」
  拳銃を胸元に構える。
男「電気点かねえな」
男「電球切れたか」
男「くそ、ついてねえな」
  暗がりの中、進む男。
怜香「・・・・・・」
  暗い部屋に一瞬、閃光が走る。
  額に一発。
  男は声を出す間もなく崩れ落ちた。
怜香(・・・・・・)
怜香(何があったかも分からないでしょう)
  怜香はうつ伏せに倒れた男を見下ろした。
怜香(あなたに恨みはないのだけれど)
怜香(仕事なのよ)
怜香(自分の不運を呪うことね)
  暗闇に慣れた怜香の目には
  男から流れ出すどす黒い血が見えた。
  男の腹に拳銃を置く。
  血を踏まないよう、男を跨いで部屋を出た。

〇シックなカフェ
  カフェ「月の世界」
春奈「いらっしゃい」
  コーヒーの芳醇な香り。
春奈「いつものね?」
怜香「お願いします」
  少し視線が泳いでいる怜香。
春奈「今日もいるわよ、彼」
春奈「さっきお手洗いに立ったけど、」
春奈「そろそろ戻ってくるんじゃないかしら?」
怜香「別に、そんな」
春奈「あなたのことずっと待ってたのよ」
春奈「一途な子じゃない」
怜香「いや、そういうのは、」
怜香「私・・・」
春奈「美人は余裕ねえ」
唯斗「あっ!!」
唯斗「怜香さん!!」
唯斗「今日のお仕事はどうでしたか?」
怜香「え?」
唯斗「いつもより来るのが遅かったから、」
唯斗「もしかしたら忙しかったのかな、なんて」
怜香「ああ。そうね。まあまあだった」
唯斗「そっかあ。まあまあかあ」
怜香(男を撃ち殺した)
怜香(額に一発)
怜香(多分彼は自分が死んだことも分からないでしょう)
怜香(なんて、言えないわね)
唯斗「お疲れだったらマッサージとかしますよ」
唯斗「俺、得意なんです!!」
春奈「ふふ」
唯斗「──あ、そうだ」
唯斗「れ、怜香さん」
唯斗「あの~今日伝えたいことがあって」

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コメント

  • 美人でクールな殺し屋は絵になるし、どことなく影があるところもまた魅力的なんでしょうね。唯斗くんの恋心はどうなるのか、母親を本当に殺めてしまうのか。読者の気を引くストーリー展開が巧みですね。

  • こんにちは!
    母親の殺しをなぜわざわざ引き受けたのかとてもきになりました

  • 怜香がなぜ殺し屋という道を歩んでいるのか、彼女の母親と何があったのか、とても気になりますね。今後のストーリーで明かされていくのでしょうか、楽しみにになります

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