お婆ちゃんと一緒に

神社巡り

エピソード1(脚本)

お婆ちゃんと一緒に

神社巡り

今すぐ読む

お婆ちゃんと一緒に
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇渋谷のスクランブル交差点
八重子「誰だよ!! お前・・・!!」
「黙ってんじゃねえよ・・・」
八重子「いてこますぞ!この野郎!!」
  私は顔に似合わず気性が荒い・・・触ったモノを傷つけるジャックナイフの様な性格だった・・・
着ぐるみ「・・・・・・・・・」
八重子「黙ってないで何とか言えってんだ!! この野郎・・・」
  私は見た目は真面に見えるが俗にいうレールから外れた人間だ・・・生きる為の汚い事は何でもやってきた・・・
着ぐるみ「・・・・・・・・・」
八重子「そんな可愛い顔したって駄目だぞ・・・お上が許したって私が許さねぇ・・・」
  俗にいう孤児で身寄りも居ない・・・迷惑をかける人間も居ないので遠慮は無い・・・
知恵「あのぉ・・・」
八重子「何だよ!! お前・・・!!」
  なので労わらなければならないお年寄りにも容赦はない・・・
知恵「駅に行きたいのですが道に迷ってしまって・・・」
八重子「馬鹿じゃねえの・・・直ぐそこだろ!! 目ん玉付いてんのか?」
知恵「す、すみません・・・」
  私は残酷だ・・・どんなに弱い人間にも容赦はない・・・
八重子「これから訳があって駅に行かなきゃだなぁ~ 駅はこっちだったよなぁ~」
知恵「・・・・・・・・・」
  何故か駅に行こうとしている私の後を老婆がついてくるが、そんなのはお構いなしだった・・・
八重子「あ~あここを曲がれば良いんだっけなぁ~」
知恵「・・・・・・・・・」
八重子「あっ!ここは滑りそうだから気をつけなきゃな!!」
知恵「・・・・・・・・・」
八重子「駅まで後300メートルくらいだからゆっくり行こうかなぁ~」
知恵「・・・・・・・・・」

〇渋谷駅前
  何とか駅に着いたが私は自分の用をすっかり忘れてしまった・・・用が無くなったのでそのまま帰る事にした・・・
知恵「ありがとうございました・・・」
八重子「何を言ってやがんだ・・・!! 私は用があって駅に来ただけだ・・・!!」
  婆さんは深々とお辞儀をすると無いも言わずその場を去った・・・私の言い訳は空しくこだました・・・
八重子「チッ・・・勘違いしてんじゃねえよ・・・」
???「よう!八重子さんじゃねえか?」
八重子「誰だ!? おまえ・・・?」
シンヤ「な、なんだと・・・俺を覚えてないとでも・・・!?」
八重子「全然、わかんねぇわぁ~ 誰だっけ!?」
シンヤ「シンヤだよ!! ホストのシンヤだ・・・!!」
八重子「あぁ・・・居たな・・・(そんな奴・・・)」
シンヤ「この間はうちの店の若い奴らが世話になったな・・・キッチリお礼はさせてもらうからな!!」
八重子「ほぅ・・・どんなお礼だよ!!」
シンヤ「さぁな・・・木島さんが出てきたからな楽しみに待ってろや!!」
八重子「木島・・・ほぅ・・・おもしろい・・・」
  木島と私とは因縁があった・・・何より木島には借りを返さなくてはならない・・・
知恵「あのぉ・・・」
八重子「何だよ!!(ん?さっきの婆さんじゃないか・・・?)」
知恵「駅に行きたいのですが道に迷ってしまって・・・」
八重子「・・・・・・・・・」
  この婆さんはボケているのだろうか・・・?
  私は急に気分が落ち込んだ・・・
八重子「婆さんはどっから来たんだ・・・?」
知恵「う、う~ん・・・わかりません・・・」
八重子「家族は居るのかい・・・?」
知恵「息子・・・息子がいますよ!!」
八重子「その息子は何処にいるんだい・・・?」
知恵「う、う~ん・・・・・・・・・・・・」
八重子「婆さん! 私に付いてきな!!」

〇駅のホーム
  婆さんに駅から何処に行こうとしてるのか聞くと「札幌」と言った・・・何しに行くのか聞くと「家に帰るんです」と言った・・・
  どう見ても観光で遠出をしてきた身なりではない・・・その辺に散歩に出かけたような普段着だ・・・
  そして、ここから札幌まで電車で行くと8時間は掛かる・・・婆さんはそれを理解しているのだろうか?
八重子「婆さん・・・ここから札幌までは遠いぞ・・・」
知恵「ええ・・・ここに来るまで長旅でしたものね・・・」
  婆さんはまるで私と一緒にここに来たかの様な口ぶりだった・・・
  記憶が途切れ途切れで誰かと間違えているのだろうか?
???「やっと見つけたぞ!!」
木島「借りを返して貰いに来たぜ!!」
八重子「木島・・・!? チッ・・・マズいな・・・!!」
木島「八重子・・・そんなババア連れて何やってんだよ!?」
八重子「お前には関係ねえよ・・・あっちに行きやがれ!!」
  婆さんを連れて揉め事は起こしたくは無かった・・・
木島「関係なくねえよ・・・俺には用があんだよ!!」
八重子「婆さん行くぞ!!」
  私は婆さんの手を取り出発間際の電車に飛び乗った!!
木島「あっ!ま、待て・・・」

〇新幹線の座席
八重子「ほら・・・婆さん、弁当だ・・・これでも食いやがれ!!」
知恵「ああ・・・すまないですね・・・」
  いったい、この婆さんはどうして札幌に行こうとしてるのか?過去に札幌で暮らしていた事があるのか?
  今はどんな暮らしをしているのだろうか?
  身寄りは居るのだろうか?
  考えるだけきりがなく疑問ばかりが浮かんでくる・・・しかし、その質問の殆どをまともに答える事ができないだろう・・・
八重子「婆さん・・・旨いか・・・? もっと食いやがれ!!」
知恵「はいはい・・・わかりましたよ・・・でもそんなに焦って食べさせなくても・・・」
八重子「べらんめえ!! こちとら江戸っ子なんだよ!!」
知恵「あははは・・・」
  その時の婆さんの様子にはボケた素振りは見受けられなかった・・・
知恵「以前もこんな事ありましたよね・・・?」
  やっぱり私の事を誰かと勘違いしている・・・
知恵「ほら・・・選んでくれた弁当を美味しいから早く食べろ、食べろって・・・」
八重子「・・・・・・・・・」
知恵「あの時はお互いに、まだ10代でした・・・」
  私はまだ10代だよ!!と不躾な突っ込みは入れなかった・・・
知恵「懐かしいですね・・・」
  婆さんは青春時代を懐かしんでいた・・・きっと自分が一番輝いていた時代なんだろう・・・
  私は何と答えたらよいのかわからなかった・・・
南「あ、あのぉ・・・桐島のお婆ちゃん!?」
知恵「はて・・・?」
八重子「お前、誰だよ!!」
南「お、お孫さん!?」
八重子「孫じゃねえよ!! シバくぞこの野郎・・・」
南「ど、どちら様ですか・・・」
八重子「お前こそ誰だよ!?」
南「私は老人ホーム春風の介護職員で南です・・・」
南「桐島のお婆ちゃんを施設から連れ出したんですか!?」
八重子「連れ出してねえよ!! 何で介護職員のあんたがここに居るんだよ!? 婆さんを探しに来たのか!?」
南「私は偶々、休暇を貰って旅行に・・・」
八重子「そしたらホームに居る筈の婆さんが電車に乗ってて驚いたと・・・」
南「じゃあ、何で桐島のお婆ちゃんがここに?これ函館まで行きますよね!?」
  どうやら婆さんは老人ホームから抜け出して来た様だ・・・
八重子「おい・・・南・・・婆さんの実家は札幌か?」
南「違いますよ・・・」
  家に帰るって・・・何だ・・・?
  大昔に住んでいたのだろうか?
八重子「家族はどこに居るんだよ!!」
南「家族はいませんよ・・・旦那さんが亡くなって身寄りがないはずです・・・」
八重子「・・・・・・・・・」
  嫌な事を聞いてしまった・・・
  婆さんは家族もおらず老人ホームで孤独に過ごしているのだ・・・
  いったい何を希望にして過ごしていたのだろう・・・
  ボケてるとはいえ抜け出して来たのだ・・・ホームに希望は無かったのではないか?
八重子「南・・・婆さんの事を詳しく教えてくれ・・・」
南「は、はい・・・って言うかあなたが誰なのかも教えてください!!」

〇新幹線の座席
  私は今までの経緯を南に話した・・・
南「えっ! 13才なんですか・・・13才でその太々しさ・・・」
八重子「うるせーよ! 生きてく為には図太くならなきゃいけなかったんだよ!!」
  基本、南は良い奴だった・・・学校にも行っていない社会からはみ出し者の私を偏見の目では見なかった・・・
  そして婆さんが逃げ出して大騒ぎになっているであろう老人ホームにも連絡はしないでくれていた・・・
南「それでこれからどうするんですか・・・?」
八重子「とりあえず婆さんが行きたがっている札幌に行ってみるよ・・・」
南「あなたがそこまでする必要は何もありませんよね!?」
八重子「何かなぁ・・・ほっとけねえんだよ・・・」
南「荒々しい言葉遣いと真逆で良い人なんですね!! それに考え方も大人びてるし・・・」
八重子「うるせえよ!! ほっとけ!!」
  南は自分が知ってる婆さんの事を教えてくれた・・・
  婆さんが老人ホーム入って3年・・・いつも1人ぼっちでとても幸せには見えなかったそうだ・・・
  旦那に先立たれてひとり身になり自ら老人ホームに入ることを選択していた・・・家族もいないので誰も面会などに来る事も無く・・
  老人ホームではいつもどこか遠くを見ながら黄昏ていた・・・ただ、私には気になる事が一つあった・・・
  婆さんに家族の存在を聞いた時、息子がいると言っていた・・・あれは嘘だったのか・・・?
南「ホームに来る前の事は詳しくは知りません・・・桐島のおばあちゃんはあまり自分の事を話さなかったし・・・」
八重子「南・・・この婆さんの事はしばらく私に預けちゃくれねえかい・・・?」
南「わかりました・・・あなたにだったら任せても良いかも・・・極道の妻みたいな貫禄あるし・・・」
八重子「誰が極道の妻だよ!! 黙れ!!」
南「あははは・・・」
  南は私に任せておけば安心と言わんばかりに急にバカンスモードになり青森で降りていった・・・

〇新幹線の座席
八重子「婆さん・・・もう直ぐ函館だぞ・・・そこで乗り換えだ・・・」
知恵「えっ、もう函館ですか・・・?」
  婆さんの口ぶりは、まるでこの長旅を楽しんでいるかの様だった・・・
???「あの、すみません・・・」
車掌「あなたがこのお婆さんを老人ホームから連れ出したんじゃないかと通報があったのですが・・・」
八重子「チッ・・・(ヤバい・・・)」
八重子「え~なんの話しかなぁ~?」
  通報したのは南ではない・・・きっと南と私の話を聞いて先に降りた他の乗客だろう・・・
八重子「私はお婆ちゃんと旅行で札幌に行くんだよ・・・」
車掌「そうですか・・・ お婆ちゃん!!この娘はあなたのお孫さんで間違いありませんか!?」
  ヤバい・・・婆さんがまともに受け答えできる筈がない!!
  きっとバレてしまう・・・
知恵「はい・・・間違いなく私の孫ですが・・・どなたがそんないい加減な事を?」
  婆さんはどこまでボケているんだろう!?
知恵「私たちは旅行で札幌に行くんです!! 孫と2人で楽しみにしていた旅行なのに水を差すような真似は辞めて貰いたいわね!!」
車掌「あっ!これは失礼いたしました・・・」
  車掌は逃げるように帰っていった・・・
  婆さんは何事も無かったかのようにニコニコと笑っていた・・・

〇路面電車のホーム
  札幌に着くと婆さんは辺りの景色が別物に感じたのかキョロキョロしていた・・・
  婆さんがここに居たのはどのくらい前なのかはわからないが時の移り変わりで様変わりしてることだろう・・・
知恵「まったくわからないわ・・・」
八重子「婆さんの記憶にある住所を教えてくれ!? 地名でも良い・・・」
  私は婆さんの微かな記憶を辿る事にした・・・その場所へ行けば何か手掛かりが見つかるかも知れない・・・
知恵「月寒・・・つきさむと言ったかしら・・・そこに住んでいたわ・・・」
八重子「わかった・・・そこに行ってみよう・・・」
  婆さんが何故そこへ行きたがっているのかは私にはわからない・・・過去に暮らしていた地にどんな思い入れがあるのだろうか?
  途切れ途切れの記憶の中で良い思い出が溢れ出しているのだろうか?
  婆さんは今侘しく過ぎていく毎日を日々送っている・・・そこが心を満たしてくれる思い出の場所であって欲しいと私は願った・・・

〇住宅街
知恵「確かこの辺だったような・・・?」
八重子「間違いないか?」
知恵「景色はすっかり変わってるけど・・・ここだと思うわ・・・」
  婆さんの記憶では以前ここで暮らしていたらしい・・・しかし景色もすっかり様変わりして住んでいた家も無くなっていた・・・
知恵「家はもう無くなっちゃたのね・・・」
八重子「気を落とすなよ・・・婆さん・・・本当に昔の家へ帰るつもりじゃ無かったんだろ・・・」
  私は薄々気が付いていた・・・家へ帰ると言ったのは過去の楽しかった場所に帰りたかったのだと・・・
  しかし時代も様変わりし婆さんの居場所はここには無い・・・結局ここにきても楽しかった思い出を振り返る事しかできないのだ・・
上田「知恵さん!? 知恵さんじゃないかい?」
知恵「上田さん!? 上田さんかい?」
上田「すっかり変わってしまってわからなかったよ・・・もう40年くらい経つかい・・・?」
知恵「ああ・・・」
  婆さんは何故か少し悲しげだった・・・ここには楽しかった思い出がいっぱい詰まっているのではないのか?
上田「あんた達が息子さんを無くして、ここを出て行ってからそのくらいかぁ・・・もうここには帰って来ないと思ってたよ・・・」
  やはり婆さんには息子がいた・・・しかもここで亡くしていた・・・
八重子「詳しい話を聞かせてくれよ・・・爺さん・・・」
上田「おっ!お孫さんかなぁ・・・? 可愛いねぇ~」
  いつもなら「孫じゃねえよ!」と啖呵を切るのだが話が面倒になるのでやめた・・・
上田「お婆ちゃんは昔この辺に住んでおってな・・・事故で一人息子を亡くして内地の方に引っ越して行ったんじゃ・・・」
  無粋な爺さんだ・・・不幸事を大っぴらに話してはいけないだろうに・・・ 
  しかし、この爺さんのおかげで詳細はわかった・・・
  婆さん夫婦は交通事故で息子を亡くしていた・・・目を離した隙に車道に飛び出し事故に巻き込まれていた・・・
  そして婆さんたちは事故に合わせた責任は自分達にあったのではないかという疑念と・・・
  息子と暮らした楽しかった思い出を忘れる為にこの地を後にする・・・
  婆さんが求めていたものは息子を無くす前の楽しかった思いでと息子に対する懺悔だった・・・
八重子「婆さん・・・息子さんのお墓はどこにあるんだい?」
知恵「私たちと一緒に本州へ渡ったので今は東京です・・・」
八重子「じゃあ、帰ったら行ってみよう・・・」
知恵「はい・・・」

〇旅館の和室
  遅くなったので札幌で1泊することにした・・・婆さんはさっきとは裏腹に楽しそうに燥いでいた・・・
知恵「こんな宿に泊まるなんて何年ぶりですかね・・・」
  婆さんはやはり私を誰かと勘違いしている・・・
八重子「そんな事より飯が来る前にさっさと風呂に入って来いよ・・・!!」
知恵「はいはい・・・わかりましたよ・・・お父さん・・・」
八重子「(お父さん!? お父さんって亡くなった旦那の事だよな・・・? 私・・・女で13才なんだけど・・・)」
  私は珍しく慌てていた・・・どこをどうしたらそんな勘違いをするのだろうか・・・?
  しかも、あの婆さん急にまともになったりもするし・・・ぼけ老人ってそんなものなんだろうか・・・?
知恵「あははは・・・」
  私は上手い事、狐に化かされている様な気分だった・・・
八重子「早く入ってきなさーい!!」

〇墓石
  東京に戻ると婆さんとの約束どおり息子の墓参りに来ていた・・・
  婆さんは何も言わず涙を流しながら、ひたすら墓前を拝んでいた・・・
  婆さんは今回の出来事で希望は見えたのだろうか?
八重子「婆さん・・・あんたこれからどうすんだい?」
知恵「ホームに戻りますよ・・・もう思い残すことは何もない・・・」
八重子「本当に後悔はもう何もないのかい?」
知恵「ええ・・・あなたという人に出逢えて本当に良かったです・・・親切な人っているんですね・・・」
知恵「お迎え前に神様がご褒美をくれたのかしら・・・」
八重子「辛気臭いこと言ってんじゃねえよ!!」
八重子「あのなぁ・・・婆さん・・・私も身寄りが居ないんだよ・・・」
八重子「赤ん坊の頃・・・捨てられちまってな・・・施設で暮らしていたが逃げ出して今じゃこんなだ・・・」
八重子「他人が想像できないくらい酷い人生を過ごしてきたが何とか1人で生きている・・・」
八重子「汚い事にも手を染めてるが住むところだってちゃんとある・・・ 私と一緒に暮らさないかい?」
知恵「な、なんで・・・赤の他人ですよ!?」
八重子「何かなぁ・・・ほっとけねえんだよ・・・」
知恵「ありがとうございます・・・」
  その言葉を最後に婆さんは口を噤んだ・・・私が何を言ったって最後は婆さんが決断をするのだ・・・
???「よう!!やっと見つけたぜー!!」
木島「借りを返して貰いに来たぜ!!」
八重子「おい! 無粋な奴だな・・・こんなところまで来るんじゃないよ!!」
木島「お前が全然、借りを返さねえからだろ!!」
八重子「わかったよ・・・」
八重子「ほらよ・・・」
木島「おっ・・・まいどあり~」

〇高級マンションの一室
  結局あれからどうなったのかというと・・・
八重子「婆さん・・・今から出かけてくるからな!!」
知恵「はいはい・・・今日も遅いんですか?」
八重子「ああ・・・」
  婆さんと暮らす事となった・・・老人ホームの方は南がキッチリと話をつけてくれた・・・
南「八重子さん・・・今日も遅くなるんですか?」
  南は婆さんの面倒を見貰うのとちょうど人手が欲しかったのもあって、老人ホームを辞めて貰い私が雇用した・・・
八重子「あのなぁ・・・生きてくって事は大変なんだよ!!」
南「でも八重子さんが幼くしてベンチャー企業の経営者だったなんて驚きです・・・」
八重子「年なんて関係ねえよ!! どれだけ世間を知って己を磨いていけるかだろ!!」
南「はいはい・・・わかってますよ・・・八重子さんは何か違うと思ってましたから・・・」
八重子「チッ・・・私はもう行くからな!!」
八重子「あっ!! 婆さん今夜もあれ作っておいて!!」
知恵「はいはい・・・里芋の煮っころがしですね・・・」
八重子「うん!」
  私は婆さんの手料理にいつも心を癒されるようになっていた・・・
  END

コメント

  • 八重子の今までの13年間を振り返っただけで読み応えのある壮大な物語になりそう。彼女を色眼鏡で見ずに信用してくれた南さんもなかなかの人物ですね。最後はちゃっかり雇用されてるし。

  • 人間の温かみを感じるお話でした。最初は痴呆のおばあさんを交番に預けてと、いう流れになるんだと思い、仕方ないこと。悲しいけど現実と思いましたが、想像つかない展開でした。

  • 読み終わった後、すぐに球体の淵が左右からすごい速さである一点目掛けて進み最後にすべてがつながる様子をイメージしました。人間の本能に問いかけてくれるようなお話でした。

成分キーワード

ページTOPへ