第四話 匂わせメール(脚本)
〇豪華なリビングダイニング
佐藤芙美「ハイ、どちら様?・・・あぁ、吉田専務さんですか・・・ヒック、開いてるわどうぞお入りになって!!」
吉田寛「お久し・・・どうされたんですか?昼間からそんなに酔われて」
佐藤芙美「酔ってなんかいません・・・ヒック、貴方もどう?飲めるんでしょ」
吉田寛「私は仕事中ですから・・・でも大丈夫ですか?」
佐藤芙美「勿論よ・・・でも叔父に隠し子がいたとはねぇ・・・驚いたわヒック」
吉田寛「はぁ、私も佐藤医師に告げられて驚きました・・・母は何も言いませんでしたから」
佐藤芙美「で、今日は何の用?」
吉田寛「ハイ、遺伝子検査のお礼と私の専務取締役就任の御挨拶をと思いまして」
佐藤芙美「ありがとう・・・生憎義母は仕事で病院なの、帰ったら伝えておくわ」
吉田寛「ありがとうございます」
佐藤芙美「でも義母にしてみたら息子の競争相手が増えたんで吉田さんにはいい感じを持ってないわ」
吉田寛「えぇ、でもご主人は病院勤めでしたよね」
佐藤芙美「そうだけど、五幸物産の社長の方がステータスがありますもの」
吉田寛「はぁ」
佐藤芙美「まぁ、尤も主人にしてみれば若い看護婦と遊べる今の地位がいいでしょうけど」
吉田寛「いや、素敵な奥様を差し置いて、看護婦とそんなことは、なさらないのでは?」
佐藤芙美「男なんてそんな物じゃないのかしら?現に吉田さんだって未歩とあんなにラブラブだったのに年下の翔子さんとご結婚されたじゃない」
吉田寛「いや、それには訳が・・・義母の佐藤医師に聞いてもらえれば分かりますけど、実は美歩の中絶男は私なんです・・・」
佐藤芙美「話が長くなりそうね・・・悪いけど寝室から酒を持って来てくれない?」
吉田寛「分かりました」
〇貴族の部屋
吉田寛(えぇ~と、酒はどこかな・・・てか分かる訳ないよな他人の家のゴージャスな寝室のどこに酒があるか)
吉田寛「へぇー、お姉さんは美大を主席で卒業しただけあって上手いよな・・・ひょっとしたらデッサンもいけるんじゃないか」
吉田寛「あっ、奥さん・・・ごめんなさい酒の場所分からなくて」
芙美は入ってくるなり寛に抱きつき強引にキスをしてきた
吉田寛「お、奥さん・・・まずいですよ、落ち着いてくだ・・・ムムッ・・・はぁはぁ!!」
佐藤芙美「未歩は過去に私の夫を寝取ったの、だから仕返しをしてやるわ」
吉田寛「いや、私は未歩と既に別れてますし」
佐藤芙美「でも未歩は吉田君を思ってるじゃないの・・・復讐してやるわ」
寛は、必死になって芙美を引き離し落ち着かせようとした
佐藤芙美「っわぁ~」
吉田寛「兎に角落ち着いて・・・訳を」
佐藤芙美「ご、ごめんなさいね・・・私とした事が・・・忘れて頂戴」
吉田寛「取り敢えず居間へ戻りましょう」
〇豪華なリビングダイニング
吉田寛「ハイ、紅茶。・・・飲んで気分を沈めましょ」
佐藤芙美「ありがとう・・・あのさっきの件、誰にも・・・」
吉田寛「当然ですよ・・・お互いに忘れましょ」
佐藤芙美「ありがとう・・・未歩には勿体無い人ね吉田君って」
吉田寛「だから未歩とはもう別れて今は翔子と息子の龍平の三人で暮らしてます」
佐藤芙美「そ、そうだったわね」
佐藤芙美「お子様・・・龍平君・・・お元気?」
吉田寛「ハイ、お陰様で・・・やんちゃ坊主で家内の翔子はてんてこ舞いです」
佐藤芙美「良いわねぇ・・・子供がいる家庭」
吉田寛「良かったら、胸にしまってあるしこりを吐き出してみませんか?」
佐藤芙美「で、でも・・・」
吉田寛「いつまでも一人で抱え込んでいると心が病んでしまいますよ」
佐藤芙美「そ、そうね・・・実は私、36歳なのよ」
吉田寛「へぇーまだ25歳とばかり思ってました・・・スタイルもいけてるし」
佐藤芙美「吉田君は口がお上手ね・・・でもそう言ってもらえると嬉しいわ・・・出来れば主人も」
吉田寛「きっと御主人も、心の中でそう思ってますよ・・・男って中々口に出して言えない動物ですから」
佐藤芙美「そうならいいんだけど・・・先日なんか『もうお前のこと、女として見れねぇ』なんて言うんですのよ」
吉田寛「そうですか、お辛かったでしょう? 先日、お会いした感じは優しそうな紳士でしたが見掛けによりませんね」
佐藤芙美「外面は凄くいいですのよ、うちの主人、だから・・・新人の看護婦さんは騙されてしまうのよ」
吉田寛「ご主人が看護婦さんと浮氣でも?」
佐藤芙美「ある時なんて家に包丁を持って『別れろ』なんて押しかけられた事も」
佐藤芙美「そんなこんなで私も子供がほしいし私から誘うことも・・・でも全然相手にしてくれなくて」
佐藤芙美「女としてバカにされてるみたいで悔しいし、義母なんかも専業主婦なんだからどうして子作りしないのか?って言って来るし」
吉田寛「お辛かったでしょう」
佐藤芙美「だから気分転換にこれから社会に出ようと思ってもどうしていいかわからないことだらけで」
吉田寛「確か奥様は美大出身でしたよね」
佐藤芙美「そう・・・主席で卒業したわ」
吉田寛「最近描かれたんですか?」
佐藤芙美「えぇ!!何処からその絵を・・・そう気晴らしにね・・・でも専攻はデザイン科だったから風景画は下手よ」
吉田寛「そんな・・・素晴らしい・・・それに素敵なファッションセンスがありますよね」
佐藤芙美「ありがとう・・・褒めてくれて」
吉田寛「良かったら五幸物産でデザイナーをしてみませんか?」
佐藤芙美「でも、未経験だし・・・」
吉田寛「大丈夫です、奥様のデザインセンスでパリコレ進出を成功させましょう」
佐藤芙美「すっごーい!! 五幸がパリへ・・・知らなかった」
吉田寛「成功させて妹の未歩さんを見返してやりませんか?」
佐藤芙美「でも・・・吉田さんに助けてもらえれば嬉しいな」
吉田寛「勿論責任者として出来る限りお手伝いします」
佐藤芙美「主人が何というか・・・」
吉田寛「御主人も家で閉じこもっている奥様より元気な奥様を見れば浮気もしませんよ」
佐藤芙美「分かったわ・・・吉田君って説得が上手ね」
〇ラブホテル
吉田寛(やれやれ、デザイナーが見つかって一安心・・・だけど奥様のセンスは凄いな)
川尻未歩「よっ、吉田専務、遅くまでご苦労様です」
吉田寛((´;ω;`)ウッ酒臭い・・・二人共酔っ払いやがって)
ピエール「こんばんは!お噂はかねがね川尻専務から」
吉田寛「あれ?この方は?」
川尻未歩「ピエール、今度私のデザイナーとなる予定なの」
ピエール「ピエールです」
吉田寛「吉田です・・・よろしく」
川尻未歩「吉田・・・もう一軒行くから付き合えよな」
未歩はそう言うと、酔っぱらって躓きそうになり寛に抱きついてきた
吉田寛「大丈夫ですか?・・・もう家に帰られた方が」
川尻未歩(しめた!・・・寛のYシャツに口紅をつけてやったわ)
川尻未歩「おぉ悪いな社長お気に入りの専務に」
吉田寛「構いませんけど・・・肩を貸しますよ」
ピエール「そうだ!!・・・記念に三人で写真を撮りませんか?」
ピエール「ハイ、チーズ」
川尻未歩「しょうがないね・・・専務殿の仰せに従って帰るか・・・じゃぁな専務」
ピエール「今度二人で飲みましょう吉田専務」
ピエール「何処に送るんですか?」
川尻未歩「吉田のところにな・・・チョットいたずら」
ピエール「ラブホテルをバックに吉田さんと川尻さんが写ってる写真と「また今度ここで過ごしたいな寛と」って何考えて?」
川尻未歩「フフフ面白いだろ・・・いたずら」