9話【小夏を護れ】(脚本)
〇住宅街
ルプ「いやぁ!面白い展開になってきたでございまするなぁ!」
クロ「もうすこし隠れて見ていよう!」
ハル「でもあのメス・・・どっかで見たような」
ハル「まぁいいっか!」
〇住宅街
山都大輝「あの・・・好きって?俺の事が?」
風間小夏「は・・・はい!」
山都大輝「またまたぁ!」
山都大輝「あ!アレだろ?俺が寂しい思いしてるからって気を遣ってくれてんだろ?」
山都大輝「小夏ちゃんは優しいから!」
風間小夏「ち、違います!本当の本当に山都さんの事が好きなんです!」
山都大輝「えっ?本当に?」
風間小夏「だからそうだって言ってるじゃないですか!」
風間小夏「何度も・・・言わせないでくださいよ!恥ずかしいんですから・・・」
山都大輝「でも・・・なんで?俺なんかを?」
風間小夏「自分でも分からないんですけど」
風間小夏「なんか・・・急に山都さんの顔がまともに見れなくなっちゃって・・・」
山都大輝「え?」
風間小夏「なんか・・・その・・・なんて言ったら・・」
風間小夏「そう!鐘の音鳴ったんです!鐘の鐘の音!」
山都大輝「鐘?除夜の鐘的な?」
風間小夏「違います!なんで除夜の鐘が鳴るんですか!」
風間小夏「あれです!結婚式とかで鳴るあれ!」
山都大輝「ああ!コレ?」
風間小夏「そう!これです!」
山都大輝「でもさ・・・鐘が鳴ったらどうなるの?」
風間小夏「あれ?知らないんですか?」
風間小夏「運命の人と出会うと、鐘の音が鳴るんです」
山都大輝「俺って運命の人なの?」
風間小夏「いや、その、だから・・・」
山都大輝(あ、そっか!小夏ちゃん、今、必死に言葉で伝えてくれようとしてんだな)
山都大輝(こういう時はアレだ!男がリードしなきゃな)
山都大輝「すげぇ嬉しいよ!ありがとう小夏ちゃん」
風間小夏「いや・・・そんな」
山都大輝「まさか小夏ちゃんから、そんな事言ってもらえるなんて、思ってもなかったからさ」
山都大輝「嬉しいよ!」
風間小夏「あの・・・山都さん?」
山都大輝「ん?」
風間小夏「山都さんの答えを・・・聞かせてもらえませんか?」
風間小夏「私と・・・その・・・付き合ってくれませんか?」
山都大輝「もちろんOKさせてもらうよ!当たり前じゃん」
風間小夏「え?本当に?」
山都大輝「ああ!俺の方からもお願いするよ!」
大輝は小夏の両肩に手のひらをそっと置き─
山都大輝「小夏ちゃん!」
風間小夏「は・・・はい!」
山都大輝「俺と・・・付き合ってくれるかな?」
風間小夏「うわぁぁぁぁぁん」
山都大輝「いや!何で?何で泣くの?」
風間小夏「私が一方的に好きなだけだって思ってたから」
風間小夏「嬉しくって・・・つい」
山都大輝「いやぁ・・・実はさ」
山都大輝「俺も・・・小夏ちゃんの事・・・」
山都大輝「その・・・好き・・・だったんだよね」
風間小夏「え?ホントに?」
山都大輝「う、うん・・・実はそうなんだ!」
風間小夏「うわぁぁぁぁん」
山都大輝「だから何で泣くのよ!」
風間小夏「だって嬉しいから!わぁぁぁぁん!」
山都大輝「・・・・・」
山都大輝(まぁ、可愛いからいいっか)
〇住宅街
クロ「なんか知らんが、小夏が泣いている!」
ハル「ヤマトのヤツ!メスを泣かせるなんて!」
ルプ「小夏氏を護るでございまする!」
〇住宅街
クロ「かかれー!」
山都大輝「え?」
クロの合図とともに、3匹が一斉に大輝に向かっていく!
山都大輝「何でお前らがこんな所に!」
ハル「うるせー!んな事ぁ、どうだって良いんだよ!バカやろーが!」
山都大輝「え?何怒ってんの?お前」
ハル「メスを泣かせるとは、オスのかざかみにもおけねぇ奴だ!お前は!」
山都大輝「いって!」
ルプ「みそこなったでありますよ!ヤマト氏!」
山都大輝「だからやめろ!お前ら!」
クロ「お前は小夏に欲情していたはずだろ!」
クロ「なんでこんな事をするんだ!このっ!」
山都大輝「だから誤解だって!お前らの勘違いなんだって!」
クロ「言い訳無用!」
山都大輝「痛いからやめて!お願い!マジでやめて!」
風間小夏「・・・・・・」
山都大輝「小夏ちゃん!助けて!」
風間小夏「・・・・・・」
山都大輝「え?小夏ちゃん?ねぇ?聞いてる?」
風間小夏「・・・・・・」
クロ「ヤマトが泣かせるから!ホラみろ!放心状態になっているじゃないか!」
山都大輝「え?あれ俺のせいなの?まじで?」
風間小夏「猫ちゃんが・・・」
風間小夏「喋ってる・・・」
クロ「・・・・・・」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「ん?」
クロ「ん?ん?」
山都大輝「今なんて言った?」
山都大輝「ごめん。聞き間違いだと思うからさ、もう一回言ってくんないかな?」
風間小夏「今・・・猫ちゃん・・・」
風間小夏「喋りましたよね?みんな!」
山都大輝「聞き間違いじゃなかったァァァァ」
山都大輝「おい!クロ!話が違うじゃねぇかよ!おい!」
クロ「いや、俺に言われても・・・」
山都大輝「後天的に猫の言葉を理解できるようになった事例は無いって言ってたろーが!」
クロ「聞いた事がないといっただけで、絶対に有り得ないとは──」
山都大輝「屁理屈言ってんじゃねーよ!」
山都大輝「いや、まだ決めつけるには早いな!」
山都大輝「小夏ちゃん!」
風間小夏「は・・・はい」
山都大輝「こいつなんて言ってるか分かる?」
山都大輝「ホラ!クロ!なんか喋れ!」
クロ「ヤマトは馬鹿だ!」
山都大輝「おい!」
風間小夏「ヤマトは馬鹿だ!」
山都大輝(一言一句違わない!山都じゃなくヤマトってカタカナな部分まで同じじゃん!)
山都大輝(いやいや、偶然な可能性もある)
山都大輝「ホラ!クロ!なんか喋れ!」
クロ「ヤマトは小夏に欲情している」
山都大輝「コラ!それは言っちゃ──」
風間小夏「え?欲情してるんですか?」
風間小夏「やだもう!恥ずかしい!」
山都大輝(本当に理解できてる)
山都大輝(でも小夏ちゃんの口から『欲情』って──)
山都大輝「いてぇな!何すんだ!」
クロ「いま、よこしまな思いを感じた!」
山都大輝(勘がいいな!クソ猫!)
〇住宅街
風間小夏「でも山都さん!」
山都大輝「ん?なんか怒ってる?」
風間小夏「やっぱり猫ちゃんの言葉──」
風間小夏「理解できてたんじゃないですか!」
山都大輝「あ、いや、それは・・・」
山都大輝「言っても信じてもらえないって──」
風間小夏「嘘つき!山都さんの嘘つき!」
山都大輝「いやだから──」
風間小夏「猫ちゃん!やっちゃえ!」
山都大輝「え?」
風間小夏「山都さんを懲らしめちゃえ!」
山都大輝「ちょ!小夏ちゃ──」
クロ「みんな!行くぞ!」
ルプ「小夏氏から許しを得たでございまする!」
ハル「やっちまえ!いくぞ!」
山都大輝「やめて!マジでやめて」
山都大輝「小夏ちゃん!助けて!」
風間小夏「ふんっ!嘘つきは許しません」
山都大輝「頼むから!ね?ね?」
山都大輝「謝るからさ!お願い!」
風間小夏「はいっ!猫ちゃん!もうおしまい!」
クロ「大丈夫なのか?まだまだやれるぞ?」
山都大輝「お前なぁ・・・」
風間小夏「だって山都さんはもう私の彼氏なんだから」
風間小夏「ここでおしまい!これ以上やると可哀想だもん!」
山都大輝「いやぁ、女神様だよ!小夏ちゃん!」
風間小夏「今日から・・・」
風間小夏「よろしくお願いします!」
山都大輝「こちらこそよろしく!小夏ちゃん!」