bilincat−バイリンキャット−

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8話【好きって言うだけなのに】(脚本)

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〇スーパーの店内
山都大輝「小夏ちゃん!おつかれ!」
風間小夏「あ・・・」
山都大輝「昨日はありが──」
風間小夏「すいません!」
山都大輝「ちょ!小夏ちゃん!」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「俺・・・なんかしたかな?」

〇備品倉庫
風間小夏(あーもう!どうしよ・・・)
風間小夏(山都さんの顔・・・まともに見れない)
風間小夏(何て声かけたらいいか分からなかったから、ついバックルームに逃げてきちゃったけど)
風間小夏(でものままじゃ・・・)

〇スーパーの店内
店長「山都くん!ちょっといいかな?」
山都大輝「はい!店長!どうかしましたか?」
店長「最近客足も回復してきたろ?」
山都大輝「ああそうですね!確かに」
店長「でね!午後から一気に客も増えてくると思うからさ」
店長「早めに風間さんと休憩に行ってきてくれないかな?」
山都大輝「小夏ちゃんと・・・ですか」
店長「ん?どうかしたかな?」
山都大輝「いや!なんでもないです!」
山都大輝「わかりました!小夏ちゃんに声かけてから、休憩行かせてもらいます!」
店長「ああ!頼んだよ!」
店長「風間さんはバックルームに居たから、声かけてあげてね」
山都大輝「はい!わかりました!」
山都大輝「・・・・・・」
山都大輝「なんだか小夏ちゃんに声かけ辛いんだよな」

〇備品倉庫
山都大輝「小夏ちゃん・・・いる?」
風間小夏「あっ!山都さん・・・」
山都大輝「店長がさ!夕方から客が増えてくるだろうから、早めに休憩に行ってくれってさ!」
山都大輝「それを伝えにきたんだ」
風間小夏「あ・・・ありがとうございます」
山都大輝「じゃあそういう事だから!」
風間小夏「あ!待ってください」
山都大輝「ん?どうかした?」
風間小夏「あの・・・よかったら」
風間小夏「お昼・・・外に食べに行きませんか?」
山都大輝「外に・・・」
風間小夏「嫌・・・ですか?」
山都大輝「ううん!嫌じゃ無いよ!行こうよ!」
風間小夏(よかったなぁ・・・)
風間小夏「じゃあ、私がお気に入りの店行きませんか?」
山都大輝「小夏ちゃんのオススメの店?いいね!行こう!行こう!」

〇店の入口
風間小夏「こ、ここです・・・」
山都大輝「キャラウェイ?」
風間小夏「スパイスのキャラウェイシードを使ったお料理が自慢のお店なんですよ」
山都大輝「へぇ!楽しみだなぁ」
風間小夏「早速入りましょ!」
山都大輝「ああ!そうだね」

〇カフェのレジ
カフェ店員「いらっしゃいませ!」
カフェ店員「二名さまですか?」
風間小夏「はい・・・」
カフェ店員「お席にご案内いたします!どうぞ!」

〇テーブル席
カフェ店員「ご注文がお決まりになりましたら、そちらのボタンを押してください!すぐに参りますので」
山都大輝「はい!ありがとうございます!」
山都大輝「いい雰囲気のカフェだね」
風間小夏「私のお気に入りなんです」
山都大輝「さっそく注文しちゃおっか!」
山都大輝「なんかオススメとかあったりする?」
風間小夏「このライ麦ワッフルとか、キャラウェイステーキとかオススメですよ」
山都大輝「俺、こういうカフェとか慣れてないからさ、小夏ちゃんに任せるよ」
風間小夏「はい!分かりました!」

〇スーパーマーケット
山都大輝「いやぁ!美味かった!クセになるね!キャラウェイシードって!」
風間小夏(あーあ、あんまり山都さんの話聞けなかったなぁ)
風間小夏(ずっと猫ちゃんの話ばっかなんだもん)
風間小夏(もっと率先して話聞くべきだったなぁ)
山都大輝「小夏ちゃん?どうかした?」
風間小夏「あ、いや、何でもないです」
風間小夏「喜んでもらってよかったです」
山都大輝「さ!休憩時間ももう終わりだから、午後から仕事がんばろう!」
風間小夏「はい!」

〇スーパーマーケット
山都大輝「はぁ──疲れたぁ・・・」
風間小夏「ホントですね。あんなにお客さんが多くなるなんて・・・」
山都大輝「まぁでも、なんとか乗り切ったって感じだね」
風間小夏「そうですね」
山都大輝「なら小夏ちゃん!また明日ね!おつかれ!」
風間小夏「あ・・・」
風間小夏「・・・・・・」
山都大輝「ん?なんか言った?」
風間小夏「いえ!何でもないです!お疲れ様でした!」
山都大輝「うん!おつかれ!また明日ね!」
風間小夏「・・・・・・」
風間小夏「はぁ・・・」
風間小夏「こういう時なんて言ったらいいの?」
風間小夏「好きって言うだけなのに・・・」
風間小夏「伝えた方が分からない・・・」
風間小夏「・・・・・・」

〇スーパーの店内
風間小夏「はぁ・・・どうしたら伝えられるんだろ」
店長「あら?風間さん?まだ帰ってなかったの?」
風間小夏「あ・・・店長・・・」
店長「なんだか浮かない顔してるね?」
店長「何か悩み事かな?」
風間小夏「ちょっと・・・」
店長「話くらい聞くよ?事務所においでよ」

〇応接室
店長「さぁ!お茶でも飲んで!」
風間小夏「ありがとうございます・・・」
風間小夏「・・・・・・」
店長「もしかして、恋の悩み?」
風間小夏「なんで分かるんですか?」
店長「あははは!やっぱりね!」
風間小夏「実は・・・そうで・・・」
店長「この店の人?」
風間小夏「あの・・・実は山都さんを・・・」
店長「ああ山都くんね!」
店長「彼はとっつきにくくて悲観的な所があるけど」
店長「根は真面目で優しいヤツだからね!」
風間小夏「でも・・・どうやって気持ちを伝えたらいいのか、分からなくって・・・」
店長「素直に伝えてみたら?『好きです』って」
風間小夏「でも・・・私が一方的に好きなだけかも・・」
店長「でも恋ってそういうもんじゃないかな?」
風間小夏「え?」
店長「だってさ、相手が絶対に自分のことを好きって分かりきってる恋なんて」
店長「なんかワクワクしないだろ?」
風間小夏「それはそうかもですけど・・・」
店長「実はね!ここだけの話なんだけど」
風間小夏「なんですか?」
店長「俺の奥さんなんだけど」
店長「大学で知り合って結婚したんだけどね」
店長「俺、プロポーズ8回目でOKもらったんだよ?」
風間小夏「8回目?そんなに?」
店長「ああ!何度も何度も断られたよ」

〇川沿いの公園
若かりし頃の店長「結婚してください!」
のちに店長の奥さんになる人「死ね」

〇大学の広場
若かりし頃の店長「結婚してください!」
のちに店長の奥さんになる人「消えろ」

〇イルミネーションのある通り
若かりし頃の店長「結婚してください!」
のちに店長の奥さんになる人「臭い」

〇海水浴場
若かりし頃の店長「結婚してください!」
のちに店長の奥さんになる人「キモい」

〇応接室
風間小夏「なんで諦めなかったんですか?」
店長「そりゃ好きだからだよ!それ以外にない!」
風間小夏「そんなに好きだったんですか?」
店長「ああ!」
店長「この人と一生一緒に居たい!」
店長「生涯を共にしたいって思ってたからね」
店長「たぶん1回目のプロポーズで諦めていたら」
店長「俺はずっと後悔していたと思うよ」
風間小夏「・・・・・・」
店長「だからさ!風間さんも気持ちを伝える前から諦めちゃダメだよ!」
店長「ダメだった時の事なんて考えちゃダメだ」
店長「私は山都さんと絶対に付き合う!」
店長「っていう強い気持ちを持つ事!」
店長「それが今の風間さんがやるべき事だと思うなぁ」
風間小夏「なんか私・・・」
風間小夏「店長の言葉で勇気出てきました!」
風間小夏「山都さんに、私の気持ち伝えてきます!」
風間小夏「ありがとうございました!」
店長「若いっていいなぁ」
  店長はそういうと、財布から一枚の写真を取り出す
店長「なぁ?ひとみ」

〇郊外の道路
山都大輝「よし!カリカリも3匹分買ったし!」
山都大輝「トイレと砂も、もうワンセット買った!」
山都大輝「コレで一応必要な物は揃ったな!」
クロ「ホラな?言っただろ?」
ハル「なんだ!ヤマトのヤツ!意外に楽しそうじゃねぇか!」
ルプ「可愛い飼い主様でございまするな」

〇住宅街
「山都さぁぁぁん!」
山都大輝「え?なに?」
  背後から自分の名前を呼ぶ女性の声が聞こえ
  大輝は後ろを振り向く
山都大輝「小夏ちゃん?どうしたの?」
風間小夏「はぁ・・・はぁ・・・」
風間小夏「ちょっと・・・聞いてもらいたい話があるんです」
山都大輝「あ・・・ああ・・・」
山都大輝「ちょっと場所変えてもいいかな?」
山都大輝「ちょっと今は──」
風間小夏「今聞いて欲しいんです!」
山都大輝「今?ああ・・・わかった・・・」
山都大輝(どうしたんだろ?いつになく真剣な表情してるけど・・・)
風間小夏「私・・・」
山都大輝「・・・・・・」
風間小夏「好きなんです!」
山都大輝「好き?」
風間小夏「山都さんの事が好きなんです!」
山都大輝「え?」

次のエピソード:9話【小夏を護れ】

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