怪人二重面相

あずま

読切(脚本)

怪人二重面相

あずま

今すぐ読む

怪人二重面相
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
ヒロキ「今日放課後なにしてる? 暇だったらカラオケ行こうぜ」
ユウマ「わりぃ 今日バイトあるんだ」
ヒロキ「そっか ってかアスカと上手くいってる??」
ユウマ「ああ、おかげさまでな 昨日もデートしてきたよ」
ヒロキ「仲がよさそうで良かったよ」
ユウマ「それより この間言ってた女の子はどうなった?」
ヒロキ「んー、俺には合わなかったな」
ユウマ「それ毎回言ってんじゃん」
ヒロキ「ハハッ じゃあまた今度カラオケ行こうぜ」
ユウマ「そうだな!」

〇開けた交差点
ユウマ「今日もバイト疲れたぁ」
ユウマ「ん?なんだ」
怪人「グワルルゥゥゥ」
ユウマ「な、なんだよお前」
  ゆうまは全力で逃げるも
  一瞬で追いつかれる
怪人「ガワラァァ」
  怪人は静かに森の中に入っていく

〇教室
ヒロキ「ユウマの奴 学校来るの遅いな」
アスカ「うん いつもはこの時間には来てるのに」
  チャイムが鳴り
  先生が入ってくる
高橋先生「今日はみんなに悲しい お知らせがあります」
高橋先生「昨日の夜 ユウマ君が怪人によって殺害されました」
ヒロキ「え、うそだろ」
アスカ「ユウマ君が・・・」
高橋先生「大事なクラスメイトが 居なくなるのはとても寂しいです」
高橋先生「ただ、これ以上被害がないように する為にも夜間の外出は控えてください」

〇教室
ヒロキ「ユウマを殺した怪人だけは 絶対に許さない 出会ったらぶっ殺してやる」
アスカ「私も許せない」
アスカ「でもなんでユウマ君が 狙われたんだろう」
ヒロキ「それは知らないけど 怪人って意識がないらしいよ」
アスカ「そうなの? じゃあユウマ君の運が悪かっただけ ってこと?」
ヒロキ「それは分からない」
アスカ「ユウマ君に罪はないのに・・・ 許せない」
ヒロキ「許せないよな 俺が越してきて初めてできた友達だったのに」
アスカ「確かにそうだったね」
アスカ「私たちで怪人の正体を 突き止めない?」
ヒロキ「それいいな 怪人の正体暴いてやろう」
アスカ「まずは聞き込みからだね」

〇教室
「先生ー!」
高橋先生「お、2人ともどうした」
アスカ「実は私たちで 怪人の正体を突き止めようって 思ってるんです」
アスカ「なので聞き込みをしてて なんでもいいので教えてほしいんです」
ヒロキ「お願いします」
高橋先生「そうだよな 君たち2人が 特にユウマと仲が良かったもんな」
高橋先生「今回の怪人は3年前から出現し始めた ダーマという怪人の仕業って 言われてるよ」
ヒロキ「ダーマ・・・」
高橋先生「もっと教えてあげたいんだけど 僕が知ってるのはこれだけなんだ」
高橋先生「他の事を知りたいだったら この事件を担当してる北署の浜野さんに 聞くと教えてくれると思うよ」
アスカ「わかりました! ありがとうございます」
高橋先生「2人とも怪人探しはいいけど くれぐれも気をつけてね」
「はい!」

〇警察署の入口
アスカ「ここが北警察署か 初めてきた」
ヒロキ「早速浜野さんに話を聞いてみよう」

〇警察署のロビー
「すいません!」
  北浦が振り向く
ヒロキ「小林ユウマ君の事件の事で浜野さんに お会いしたいんですけど」
北浦「あのダーマの事件か」
ヒロキ「そうです! ダーマのやつです」
北浦「君たちみたいな 子供にはまだ早いよ」
ヒロキ「そんな・・・ けど小林君は僕たちの大事な友達 だったんです」
北浦「ここは友達ごっこを する場所じゃないんだよ」
ヒロキ「・・・・・・」
北浦「その事件に関しては 北署でも力が入ってる事件だから 安心してほしい」
  後ろで女の人が通り過ぎる
???「ん?ヒロキくん?」
ヒロキ「あ、リカさん お久しぶりです」
北浦「浜野さん この子達とお知り合いで?」
浜野「うん 2年前の事件の時にちょっとね」
アスカ「ヒロキ 浜野さんと知り合いなら 早く言ってよ」
ヒロキ「リカさんが浜野さんだとは 思わなかったんだ」
浜野「確か あの時もダーマの事件だったような・・」
ヒロキ「リカさん 今回の事件について教えてくれませんか? 大事な友達だったんです」
浜野「・・・いいわよ その代わり他言無用でお願いね」
「ありがとうございます!」
浜野「ここだと周りの目があるから 場所変えましょ」

〇シックなカフェ
  とあるカフェ
浜野「怪人はダーマって名前ってことは 知ってるんだっけ?」
ヒロキ「はい 名前だけは知ってます」
浜野「その怪人は3年前くらいから 突如現れたの」
浜野「怪人が動き出すのは夜で 普通の人が眠りにつく頃に 行動を始めるのよ」
浜野「ダーマは他の怪人と違って 女性の方が狙われやすいのと 被害がこの町だけなのよ」
アスカ「それはおかしい事なんですか?」
浜野「昔ヒロキ君には話したことあるけど 怪人って意識がないのよね」
ヒロキ「はい 聞いたことあります」
浜野「だから女性の方が被害多いのは 偶然かもしれないけど この町だけって言うのが普通の怪人とは 違うところなのよ」
ヒロキ「怪人って縄張りとかは ないんですか?」
浜野「意識が無くコミュニケーションが 取れないから縄張りとかは無いのよ」
浜野「だから怪人同士がバッタリ合うと 怪人同士で戦うことになるから たまに怪人の死体が発見されることも あるのよね」
ヒロキ「そうだったんですね」
浜野「ただダーマはまだ他の怪人と 比べても情報が少ないから 私たちも今力入れてる怪人なのよ」
ヒロキ「そうなんですね 教えて頂いてありがとうございます」
浜野「いいのよ」
  浜野は時計を確認する
浜野「あら、いけない もうこんな時間だわ 明日朝早いからもう帰るわね」
「ありがとうございました」

〇川に架かる橋
アスカ「色々収穫あったね」
ヒロキ「うん だけど警察でさえ手こずってる怪人なんだね」
アスカ「明日学校休みだけど 聞き込みする?」
ヒロキ「俺はするつもりだけど アスカはどうする?」
アスカ「じゃあ私も手伝うよ」

〇公園の砂場
  ー深夜1時ー
ダーマ「グワルルルゥゥ」
  ダーマは獲物を探すように
  ゆっくり歩いている
  公園のベンチで寝ているおじさんが
  目を覚ます
おじさん「腹減った」
  怪人に気づく
おじさん「あれ、なんや」
おじさん「腹減りすぎて 遂に幻覚でも見えてきたか」
  また横になって眠りだす

〇テラス席
  ヒロキはカフェの前で立っている
アスカ「お待たせ!」
ヒロキ「お、おう」
アスカ「どこに聞き込みにいくの?」
ヒロキ「それが昨日考えたんだけど 決まってないんだよね」
ヒロキ「ダーマの目撃情報があったところには 行ってみようと思ってるけど」
アスカ「じゃあまずそこ行ってみようよ」

〇公園の砂場
ヒロキ「この辺りって 聞いたんだけど 俺の家の近くじゃん」
アスカ「誰もいないね」
  おじさんが目を覚ます
おじさん「もう朝か」
  ヒロキがそれに気づく
ヒロキ「あの すいません」
おじさん「ん?なんだ? 飯でも買ってくれるのか?」
ヒロキ「いや、そんなんじゃないんですけど」
ヒロキ「この辺りで怪人見てないですか?」
おじさん「カイジンってなんだ?」
アスカ「人間の形をした化け物みたいな」
おじさん「あ、それだったら ちょうど昨日見たぞ」
アスカ「え、ほんとですか?」
おじさん「ああ、ただならぬ雰囲気を 感じたな」
ヒロキ「おじさんありがとう 良かったらこれあげるよ」
  コンビニのおにぎりを
  渡す
おじさん「おお、ありがとな またいつでも来いよ」

〇住宅街
ヒロキ「あのおじさん以外 特に情報無しか」
アスカ「警察が手こずるくらいだから 簡単には見つからないよ」
ヒロキ「まぁそれもそうだな ユウマの為に一刻も早く見つけたいけど 仕方ないな」
アスカ「うん、そうだね」
ヒロキ「明日はどうする?」
アスカ「ごめん 親と買い物行く予定あるんだ」
ヒロキ「そっか なら俺1人で頑張ってみるよ」
アスカ「ごめんね 頑張って!」

〇公園の砂場
  おじさんはずっと起きている
おじさん「明日もおにぎり貰うべ」
  トン、トン
  と足音がする
おじさん「(きた!寝たふり寝たふり)」
  ダーマはおじさんの方を向く
  おじさんの方へ
  歩いてくる
おじさん「(やばい・・・こっちきてる)」
  ダーマが立ち止まる
  違う方向へ歩いて去っていく
おじさん「(良かった、死ぬかと思った)」
おじさん「これで明日もおにぎり・・・」
おじさん「いや、もっと美味いもの食べたいな」
  おじさんが立ち上がり
  ダーマが去っていった方へ歩きだす
おじさん「(これバレたら死ぬな)」
  ダーマの50m後ろ辺りを
  ずっと付いて行く

〇線路沿いの道
  ダーマに着いていくおじさん
おじさん「(ん?あいつどこ入ってんだ)」
  ダーマが家の敷地に入って行き
  そのまま玄関扉を開けて
  家の中に入っていく
おじさん「(ここがコイツのアジトか) (これは今朝のお兄ちゃんに報告だ)」
  おじさんは上機嫌で
  公園に戻っていく

〇公園の砂場
  次の日
  おじさんは寝ている
ヒロキ「さすがに起こすのは悪いな」
  ヒロキは
  その場を立ち去ろうとする
おじさん「おい、お兄ちゃん ちょっとまってくれよ」
ヒロキ「あ、おじさん 起きてたんだ」
おじさん「ちょっと寝不足でな」
ヒロキ「それでどうしたの??」
おじさん「昨日の夜 また怪人が現れたんだよ」
ヒロキ「え、それでどうなったの?」
おじさん「怪人の後を付けていったさ」
ヒロキ「え!? じゃあ怪人はどこに?」
おじさん「あー腹減った」
ヒロキ「今日は買ってきてないや」
おじさん「それじゃあ 教えられないな」
ヒロキ「仕方ないな コンビニ行きます?」
おじさん「いや、牛丼が食べたい」
ヒロキ「・・・」

〇ファストフード店の席
おじさん「あー食った食った」
ヒロキ「それで教えてくださいよ」
おじさん「分かった分かった 付いてこい」

〇線路沿いの道
おじさん「ここだよ」
ヒロキ「なにふざけた事 言ってるんですか」
おじさん「いや、ほんとだって」
ヒロキ「そんなわけない だってここ」
ヒロキ「おれんちじゃん・・・」
  ヒロキは頭が痛くなり
  その場に倒れこむ
おじさん「お、おい 大丈夫か?」
おじさん「お、俺しーらね」
  おじさんはその場を立ち去る
  10分後
ヒロキ「なんだったんだ 今のは」
ヒロキ「(そんな事より俺の家に怪人が?)」
ヒロキ「(まぁそんなわけない・・・よな)」
  ヒロキは家の中に入る

〇男の子の一人部屋
ヒロキ「これで良しと」
  部屋にカメラを取り付ける
ヒロキ「(まぁ念のため・・・)」

〇男の子の一人部屋
  午前1時
  ヒロキは寝ている
  急に咳き込みだす
ダーマ「ガルゥゥ」
  玄関の方へ向かう

〇男の子の一人部屋
  次の日
  ヒロキは昨日セットした
  カメラを確認する
  自分が怪人になった姿が
  目に映る
ヒロキ「え・・・・・・」
お母さん「ヒロキー 学校遅れるわよー!」
ヒロキ「あ、うん 今行く」
  ヒロキの足取りが重い

〇教室
アスカ「ヒロキまだ来てないのか」
  アスカの携帯にメッセージが来る
アスカ「(あ、ヒロキからだ)」
  「ごめん、けじめつけるよ」
アスカ「(ん?どういうこと?)」
  先生が入ってくると同時に
  アスカは教室を出る
高橋先生「お、おい 学校始まるぞ」

〇公園の砂場
「おじさん!」
おじさん「ん?この間の姉ちゃんか どうした?」
アスカ「昨日なにかあった?」
  おじさんはアスカに
  昨日の事を説明する
アスカ「え、そんな事が」
おじさん「教えたからおにぎり欲しい」
  アスカは走ってその場を去る
おじさん「・・・」

〇屋上の隅
ヒロキ「俺がユウマを殺したのか・・・」
  ヒロキは思い出す

〇教室
ヒロキ「ユウマを殺した怪人だけは 絶対に許さない 出会ったらぶっ殺してやる」
アスカ「私も許せない」

〇屋上の隅
ヒロキ「ここで俺がケジメをつける」
「ちょっと何してるのよ」
ヒロキ「アスカ どうしてここに」
アスカ「昔、私たちが付き合ってた時に 位置情報のアプリ登録したじゃん」
ヒロキ「ああ、そうだっけな」
ヒロキ「けど俺はしっかりケジメを付けるよ」
アスカ「何よ 自分が怪人だからって」
ヒロキ「なんでそれを?」
アスカ「さっきおじさんの所で 聞いた」
ヒロキ「そっか って事だから俺けじめ付けるよ」
アスカ「そんなのおかしいよ ユウマ君の分まで生きてよ」
ヒロキ「いや、俺はもうダメなんだ」
ヒロキ「夜になって怪人になると また誰か関係のない人を殺してしまうかも しれない」
  ヒロキは手すりの方へ近づく
アスカ「なにしてるの!」
ヒロキ「ありがとう ずっと好きだった」
  ヒロキは手すりのから飛び降りる
アスカ「ヒロキ!」

〇空
ヒロキ「(俺知らない間にユウマに嫉妬してたのかもしれないな・・・ごめんな人としても親友としても)」

コメント

  • 真相が分かってからタイトルを見て、「だから二十じゃなくて二重なんだ〜っ」と感心しました。ヒロキがどういう経緯でダーマになってしまったのか、とても興味があります。公園のおじさんがなんでホームレスになったかは・・・興味ないです。

  • おじさんの行動とか言動結構好きwww
    いやー(*^^*)正体が誰なのか考えながら読むのって楽しいわ笑
    やっぱ、アズマさんの作る物語好きー"(∩>ω<∩)"

  • 自覚のない殺人犯がごく身近な人を傷つけてしまったという流れ、本当に切なくて、加害者被害者どちらにも同情してしまいます。公園のおじさんが彼の家だと差し出した瞬間、流れが一気に変わって、その後どんどん深みを感じました。

成分キーワード

ページTOPへ