〇綺麗な一人部屋
おばあちゃん「そうなんだ──そうじゃ～ それなんじゃよ～」
おばあちゃん「それな──じゃないんじゃ！ ないんじゃんじゃ～よ～」
おばあちゃん「じゃいじゃ～い・・・（やばっ ばいば～い──なんじゃよ～」

〇田舎の総合病院
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おばあちゃん・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)（そっか・・・やっぱりそうなんだ──）
滝澤海斗(たきざわ かいと)（あれは・・・ おばあちゃんじゃない・・・）
滝澤海斗(たきざわ かいと)（って事はやっぱり・・・）

〇海岸線の道路
　　前から違和感はあったんだ
　　体調が悪かったのに
　　急に元気になって・・・
　　最初はすごく嬉しかった。
　　おばあちゃん元気になったんだって──
　　でも、ある時から気付かない振りをしてた
　　そんな事あるわけないって思いたかった
　　そうしないとおばあちゃんは、もうこの世にいないって事になってしまうから
　　でも、もう無理だ──・・・
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おばあちゃんはもうこの世に居ない」
　　でも何で僕に内緒なの・・・？
　　ななちゃんのお父さんの配慮なのかな・・・
　　そんな配慮いらない・・・
　　──とは言えない・・・か
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
　　僕は、いつの間にか
　　家族がいなくなってたんだね・・・
　　僕は・・・もう１人なんだ──

〇学校脇の道
　　僕は、おばあちゃんに喜んで欲しくて
　　描いてたのに・・・
　　僕の絵を好きって言ってくれた
　　おばあちゃん──
　　僕の漫画を面白いって
　　言ってくれたおばあちゃん
　　僕の漫画で、おばあちゃんを幸せにしたかった──
　　おばあちゃんがいなくなったら何の為に描けばいいんだよ・・・
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇ゆるやかな坂道
滝澤海斗(たきざわ かいと)「もう漫画なんて どうでもよくなっちゃったなぁ・・・」

〇雑誌編集部
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「アイ食べのような・・・いいえ。 それ以上の作品になると思います」
編集長「滝澤先生・・・あなたには才能がある」
編集長「期待していますよ」

〇ゆるやかな坂道
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇本屋
神道七海(しんどう ななみ)「あっ、海斗！ほらっ！」
神道七海(しんどう ななみ)「ちゃんと載ってるよぉ～」
神道七海(しんどう ななみ)「漫画家デビューおめでとう」

〇通学路
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇アパートのダイニング
おばあちゃん「かいちゃんは絵がうまいねぇ～」
おばあちゃん「かいちゃんの漫画は面白いねぇ～」
おばあちゃん「かいちゃんは将来漫画を描くお仕事が似合うんじゃないかね」

〇古いアパート
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うぅ・・・」
通りすがりの人「おいおいっ、すごいなこの車」
通りすがりの人「DIYでつくったんだろ？」
通りすがりの人「まぁね」
通りすがりの人「プラモデル歴30年にもなると、これくらいの技術は勝手に身に付くらしい」
通りすがりの人「へぇ～、俺もプラモデルやっとけば 良かったなぁ～」
通りすがりの人「今からでも遅くはないさ！ 30年頑張ってみなよ」
通りすがりの人「今から30年か・・・買った方が早そうだ」
通りすがりの人「だがしかし、これ見てみ」
通りすがりの人「うわ～っ！たっけぇー！」
通りすがりの人「事故車でこれだぜ？」
通りすがりの人「これなら30年プラモつくってDIY出来るようになった方がいいな」
通りすがりの人「だろ？じゃあ明日、 プラモデル買いに行こうぜー！」
通りすがりの人「うん！行こう行こう！」
滝澤海斗(たきざわ かいと)（車もDIY出来るんだ── ってそんな事どうでもいいけど・・・）

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「よしっ」
　　カキカキカキカキ
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おばあちゃん・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おかえり──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おばあ・・・ちゃ・・・ん」

〇黒
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・んっ？」

〇殺風景な部屋
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あぁ──夢・・・見れたんだ」
サクラ「もぉー！何バカな事してんのよ！」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「サクラ・・・」
サクラ「事情は分からないでもないけど── 薬の飲み過ぎはダメよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そ・・・そうだよね・・・」
サクラ「で、これからどうするの？」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「おばあちゃんに会いに行く」
サクラ「やっぱりそうだよね～」
サクラ「でもどうするの？おばあちゃん世界樹の木の下にいるんでしょ？」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん」
サクラ「世界樹までどうやって行くの？」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ？ワープして行こうと思ってたけど」
サクラ「それが出来ないんだな～」
サクラ「最初に私のとこに来ちゃったから」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そんなシステムになってるんだ・・・」
サクラ「最初におばあちゃんに会えれば 良かったんだけどね──」
サクラ「海斗の中に迷いがあったんだろうな」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「何でもお見通しだね」
サクラ「君がつくったキャラだから」
滝澤海斗(たきざわ かいと)（何だか救われるよ・・・）

〇諜報機関
　　少し前──
パソコンのプロ「海斗君、気付いたみたいだね」
パソコンのプロ「しばらく見張ってみます」
「ああ、よろしく頼む」

〇海岸線の道路
滝澤海斗(たきざわ かいと)「──」

〇ゆるやかな坂道
滝澤海斗(たきざわ かいと)「──・・・」

〇古いアパート
パソコンのプロ「嫌な予感がするな・・・」

〇諜報機関
パソコンのプロ「心配ですね・・・お嬢様に様子を見に行ってもらった方がいいかもしれませんね」
「そうだな」
パソコンのプロ「海斗君・・・」

〇車内
神道七海(しんどう ななみ)「シゲちゃん急いで！」
運転手のシゲちゃん「へいっ！」
運転手のシゲちゃん（・・・ん？なんだあれは・・・）
運転手のシゲちゃん（ただのDIYファミリアか・・・）

〇古いアパートの一室
神道七海(しんどう ななみ)「海斗!!」
神道七海(しんどう ななみ)「寝てる・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「えっ・・・」
運転手のシゲちゃん「睡眠薬で眠ってるみたいですね・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「もぉ・・・何してんのよ・・・」
運転手のシゲちゃん「お嬢様、これを」
神道七海(しんどう ななみ)「これは・・・おばあちゃん・・・ どういう事・・・？」
運転手のシゲちゃん「海斗君のおばあさんは亡くなってます」
運転手のシゲちゃん「夢の中で会いたかったんでしょうか」
神道七海(しんどう ななみ)「はぁ？私知らないんだけど!!」
運転手のシゲちゃん「それは・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「もしかしてパパが隠してたの？」
運転手のシゲちゃん「いえ、オヤジではありません」
運転手のシゲちゃん「現場の判断です」
神道七海(しんどう ななみ)「なにそれ！意味分かんない！」
　　ペラっ
神道七海(しんどう ななみ)「・・・ってこれ何？」
運転手のシゲちゃん「ん？」
神道七海(しんどう ななみ)「漫画の中に海斗がいるんだけど」
運転手のシゲちゃん「これは・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「えっ？シゲちゃん見てよ！ここ！」
運転手のシゲちゃん「ん？」
運転手のシゲちゃん「なるほど」
神道七海(しんどう ななみ)「漫画が描き換えられてる・・・？」
運転手のシゲちゃん「海斗君は夢の中でキャラと会話出来ますからね」
運転手のシゲちゃん「締め切りも近いですから──」
運転手のシゲちゃん「漫画の世界に入って追い込みかけてるんでしょう」
神道七海(しんどう ななみ)「えっ？さっきから何言ってるの？」
運転手のシゲちゃん（あれ？お嬢様って 何も知らなかったっけ・・・）

〇古いアパートの一室
　　シゲちゃんは
　　海斗の能力について説明をした
神道七海(しんどう ななみ)「えぅ？海斗ってすごくない？」
運転手のシゲちゃん「そうなんです」
神道七海(しんどう ななみ)「って事は今、完成させる為に 頑張ってるんだね～」
神道七海(しんどう ななみ)「じゃあ、応援しなくちゃ！」
運転手のシゲちゃん「お供しますよ」

〇殺風景な部屋
サクラ「出口はここなんだけど・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「こいつを倒さないと出られないんだよね・・・」
デーモン小黒「ガルルルルゥ」