12.一件落着だぜ!(脚本)
〇小さい会議室
功刀絢花「これを見てください」
〇エレベーターの中
功刀絢花「優一さんの会社の エレベータ内の防犯カメラ映像です」
功刀絢花「真梨香さんが乗ってきました」
功刀絢花「手には大きな袋と・・・」
功刀絢花「ドローンを持っています」
真梨香「・・・」
〇エレベーターの中
功刀絢花「それが、帰りの映像では」
功刀絢花「ドローンを持っていません」
功刀絢花「袋も畳んでポケットに入れたのでしょう」
真梨香「・・・」
〇小さい会議室
功刀絢花「どうですか?」
功刀絢花「これでも言い逃れますか?」
真梨香「言い逃れもなにも私は仕事であの会社に 出入りしていただけ」
真梨香「帰りはドローンを 別の人に持って行ってもらったの」
功刀絢花「被害者の爪の間からはビニールの欠片と 蛍光塗料が検出されました」
真梨香「・・・」
功刀絢花「真梨香さんの家にある塗料などを調べれば 同じ成分が見つかるはずです」
真梨香「いくら状況証拠を重ねても 私が犯人だと断定はできないんじゃない?」
真梨香「同じ塗料を使ってる人は 日本中にいくらでもいるでしょ」
功刀絢花「これでも言い逃れますか」
功刀絢花「じゃあ、決定的なのに行きましょう!」
真梨香「えっ?」
功刀絢花「昨夜、SNSを調べたり ネットで呼びかけたりして」
功刀絢花「先日の花火大会の写真や動画を徹底的に 探しました」
柊木正道「ウチの職員も総動員でな!」
功刀絢花「そして、見つかったのがこの動画です」
〇体育館の屋上
???「・・・」
真梨香「・・・」
〇小さい会議室
功刀絢花「どうですか?」
功刀絢花「これでも言い逃れますか?」
柊木正道「撮影者は花火を撮ろうとしたんだろうが」
柊木正道「屋上で作業をする真梨香さんの姿が はっきり映り込んでいるな」
真梨香「そんな・・・」
功刀絢花「花火を撮影していた人は無数にいます」
功刀絢花「この写真には、ビルの屋上に 存在しないはずの手すりが写っていました」
柊木正道「もう言い逃れはできないな」
柊木正道「家宅捜索すれば、犯行を裏付ける証拠が さらに出てくるはずだ」
真梨香「・・・」
愛那「・・・どうして優一を殺したの?」
愛那「不倫とは言え あの人を好きだったんじゃないの?」
〇小さい会議室
真梨香「優一さんは・・・」
真梨香「優一は・・・」
真梨香「私には優一しかいなかったのに」
愛那「は?」
真梨香「私と優一は同じ施設で育ったんです」
真梨香「私たち親がいなくて・・・」
真梨香「お互い寂しかったからかな 小さい頃にふざけて結婚の約束もしました」
真梨香「でも、優一は・・・」
真梨香「中学生のときに里親に引き取られて・・・」
愛那「・・・」
真梨香「私たちがどんなに望んでも」
真梨香「一緒にいさせてもらえなかった」
真梨香「いつか再開できる日を信じて生きてきた」
真梨香「そして、本当に再会できた・・・」
真梨香「すごく嬉しかった」
真梨香「それなのに!」
功刀絢花「彼には愛那さんという妻がいた・・・」
真梨香「そうです」
真梨香「愛那さんは私から優一を奪った!!」
愛那「小さいころの婚約なんて遊びでしょ」
真梨香「でも、私にはそれだけが 生きるよりどころだったのに・・・」
功刀絢花「それで?」
優一「もう二度と会えないと思ってた」
優一「会えて嬉しいよ」
真梨香「優一はそう言ってくれました」
功刀絢花「・・・」
真梨香「それから ときどき二人で会うようになって」
優一「やっぱり真梨香といるのが一番落ち着くよ」
優一「お互いに子どものころから知ってるし」
優一「子どもが欲しいとも言われないしな」
優一「だって、俺たちに子育てなんて無理だろ」
優一「親の愛情も知らないのに・・・」
真梨香「今までの時間を埋め合わせるように 私たちは幸せな時間を過ごしていたんです」
真梨香「なのに!」
〇ラブホテルの部屋
優一「ごめん」
真梨香「えっ?」
優一「会うのは今日で最後にしよう」
優一「仕事ではときどき顔を合わせるかも しれないけど」
優一「個人的な付き合いはもうやめよう」
真梨香「どうして?」
優一「これ以上は愛那を裏切れない」
優一「それに真梨香にも良くないと思う・・・」
真梨香「だって、結婚するって約束でしょ?」
優一「無理だよ」
優一「再開するのが遅すぎたんだ」
真梨香「・・・」
優一「悪いのは全部俺だよ・・・」
優一「憎んでくれてもいい」
真梨香「・・・」
真梨香「いや・・・」
真梨香「離れたくない」
真梨香「結婚はあきらめてもいい」
真梨香「だから、このまま」
優一「ダメだよ、これで終わりだ」
優一「分かってくれ、俺だってさ・・・」
真梨香「そんなの許さない!」
真梨香「この関係を奥さんに言いつける!」
優一「それも覚悟してる」
真梨香「職場にも写真をばら撒いてやる」
優一「は? 写真?」
真梨香「動画もあるの!」
優一「よせよ、そんなこと」
優一「君の仕事にだって影響が出るぞ」
真梨香「かまわない」
真梨香「優一と一緒に落ちるところまで落ちる」
真梨香「そうしたら、また 二人で支え合って生きられる」
優一「そういうやつだったんだな、真梨香って」
優一「無理だよ、もう」
優一「なおさら無理だ」
優一「君とでは、もう この先のことを考えられない」
〇小さい会議室
真梨香「だから殺してやったの・・・」
真梨香「自分のものにならないのなら」
真梨香「誰のものにもさせない」
愛那「・・・」
愛那「そんな理由で・・・」
功刀絢花「それで、満足できたのか?」
功刀絢花「ずっと会いたかった相手が死んで」
功刀絢花「もう永遠に会えないんだぞ!」
真梨香「・・・」
功刀絢花「お前のせいで、優一は死んだ」
功刀絢花「彼の愛した人も不幸になった」
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