怪人にあった、怖い話

シタゴコロ

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〇アパートのダイニング
  事故物件──それは、前の住人が何らかの要因で、家の中で亡くなったという物件。
  時にそれは、住む内に異変が起きるという──
???「うぅ・・・う、う・・・」
  でっ・・・出たぁ〜!!

〇地球
  太陽系惑星、地球──

〇二階建てアパート
  ──の、日本の住宅地の一室。
  彼らは、ここで日々慎ましく暮らしていた

〇アパートのダイニング
アマル星人「ここ事故物件って聞いたけど、何も起きてないし、住み心地いいし、いい場所だよね〜」
ウンリュウ星人「左様。初めはどうなるかと危惧致したが、つつがなく過ごせ、至極満足ですぞ」
コスメティック星人「@#/&_'♪€%°+=:^〜・・・/♪」
アマル星人「・・・Wi-Fi?それでスマホが使える?そうなんだ」
アマル星人「あ〜ぁ、あとは地球防衛隊達に勝つ方法さえ分かればいいんだけどなぁ・・・」
「──ハァ・・・」

〇落下する隕石
  地球防衛隊──それは、外惑星から来た異星人、通称『怪人』を偵察、監視、ならびに駆除する部隊である。
  全世界に数万人いるとみられ、特に能力に秀でた者は、個別の色彩の戦闘服を着用し、『色付き』と呼ばれている。

〇アパートのダイニング
アマル星人「でもさぁ、いくら治安のためって言っても、異星人なら見境なく攻撃っていうのは、やめてほしいよね〜」
コスメティック星人「・・・@☆€#*=:〆^〜○×・・・」
アマル星人「えっ、ご近所さんに疑われているの、僕ら? 地域活動にも参加しているのに・・・」
ウンリュウ星人「これは、拙僧らの思い至らぬ何某かが、障りとなるやもしれぬな・・・」

〇黒
  チキュウ・・・ボウエイ・・・タイ──
  あの人が行った場所──

〇アパートのダイニング
アマル星人(何か声が聞こえて、目ぇ覚めちゃった・・・)
「う、うぅぅぅ・・・」
アマル星人「な、何だ!?今の声・・・」
ウンリュウ星人「こ、アマル星人殿・・・ か、厠に共に連れ立ってくれぬか? 何やら怖気が・・・」
アマル星人「普通に出てきてよ、ウンリュウ星人さん! 本当の幽霊かと思ったよ、一瞬!」
コスメティック星人「((((;゚Д゚)))))))」
アマル星人「コスメティック星人さん、言葉じゃなくて顔文字になってるから!」
アマル星人「あ〜、も〜っ!しょうがないなぁ〜! 一緒に行くから、ちょっと落ち着いて!!」

〇アパートのダイニング
  ・・・う、うぅ・・・う・・・
アマル星人「も〜っ! 今度は誰!?」
ウンリュウ星人「・・・拙僧ではござらん」
コスメティック星人「(-.-;)y-~~~」
アマル星人「・・・えっ? じゃあ誰が──」

〇アパートのダイニング
???「うぅ・・・う、う・・・」

〇アパートのダイニング
「でっ・・・」
「出たぁ〜!!」

〇玄関内
アマル星人「かっ、勝手に住んですみません! 今すぐ出て行きます!」
ウンリュウ星人「こっ、アマル星人殿! 拙僧も共に、お連れ下され!」
コスメティック星人「ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3」
  ち、ちょっと待って下さい!

〇アパートのダイニング
女性幽霊「おっ、驚かしてしまってすみません。 あなた方の姿につい、驚いてしまって・・・」
アマル星人「・・・あの、さっきゾンビ姿で出てきた方、ですか? なんか、先程と様子がちがいますけど・・・」
女性幽霊「・・・すみません。 私、人前に出るのが久しぶりで・・・ 姿を表すの、失敗しました・・・」
アマル星人「・・・ま、まぁ、誰でも失敗はありますよ。 ・・・化て出たことがないので、多分ですが」

〇アパートのダイニング
  ※コスメティック星人とウンリュウ星人が怖がったため、居間に明かりを付けて話すことにした
アマル星人「・・・それで、僕らに聞きたいことって?」
女性幽霊「・・・地球防衛隊員の今坂 明について、ご存じですか?」
アマル星人「・・・ええ、知ってます。 何度か直接、戦ったこともありますから」

〇ブリーフィングルーム
  今坂 明。地球防衛隊きってのエースストライカーで、25にして『色付き』の戦闘員。
  入隊時から、華々しい戦闘経歴の持ち主
  今は瀬潟 志郎と、河井 伊那の2人とチームを組み、任務にあたっている。

〇アパートのダイニング
女性幽霊「・・・彼、私について、何か言ったこと、ありましたか?」
アマル星人「・・・いえ、僕らは怪人ですから。 あなたが誰なのかも分からないので、多分聞いたことはないかと」
女性幽霊「・・・そう、ですよね。 やっぱり、言うはずありませんよね。 付き合っていたはずの、私のことなんて」
アマル星人「──え? 付き合っていた「はず」? ・・・どう言うことですか?」
女性幽霊「・・・捨てられたんです、私。 地球防衛隊に入隊が決まって、すぐ」

〇アパートのダイニング
  私と彼は大学生の時から同棲して、「いつか地球防衛隊に入れたら、結婚しよう」と約束していたんです。
  彼の両親は入隊に反対したらしく、住む所の無い彼に頼まれて、一緒に暮らすことになったのがきっかけでした。
  ご存じの通り、地球防衛隊入隊は狭き門です
  何度も試験を受けて落ち込む彼に寄り添い、共に入隊に向けて、努力し続けました。
  そして5年目にして、試験に合格!
  私と彼は、それまで努力し続けてきた日々が報われて、幸せでした。

〇黒
  ・・・今思えば、私の幸せはそこまででした

〇アパートのダイニング
  彼の入隊が決まり、隊員寮に入るために引っ越してから、連絡が取れなくなりました。
  電話もメールも返らず、気付けば5年経ったある日、ニュースで知ることになりました

〇黒
  彼が私以外の人と、結婚したことを・・・

〇アパートのダイニング
女性幽霊「・・・それからは、あまり覚えてません。 気付けば幽霊になっていて、こちらに来た方々を驚かせていたようです・・・」
女性幽霊「・・・馬鹿ですよね。 いくら何でも、5年経って連絡が来ないのはおかしいって気付くはずなのに・・・」

〇アパートのダイニング
アマル星人「・・・いえ、あなたは何も悪くないですよ」
ウンリュウ星人「・・・うむ、拙僧も右に同じく」
コスメティック星人「@#/&_☆€%*×:〆|\・・・/」
アマル星人「あ〜、彼もそうだ!って言ってます」
アマル星人「って言うか、そいつクズですよ、クズ! キング・オブ・クズの殿堂入りですよ!」
ウンリュウ星人「うむ、拙僧からも申し上げるが、其奴には地獄の沙汰を告げるべきかと」
コスメティック星人「\\\٩(๑`^´๑)۶////」
アマル星人「こうなったら、アイツが反省するまで恐怖を味合わせましょう!」

〇アパートのダイニング
女性幽霊「あの・・・お気持ちはありがたいのですが、どうやって・・・」

〇アパートのダイニング
アマル星人「僕らに任せて下さい!」

〇二階建てアパート
瀬潟 志郎「ここか? 怪人が出現したというポイントは」
河井 伊那「・・・なんか、夜の住居って気味が悪いですよね〜」
河井 伊那「どうしたんですか、先輩? なんだか浮かない顔、してますけど・・・」
今坂 明「・・・い、いや、何でもないよ」
瀬潟 志郎「2人とも、気を引き締めていくぞ!」
今坂 明(・・・まさか、な)

〇アパートの玄関前
ウンリュウ星人「はっはっはっはー! よく来たな、隊員ども! ここで決着をつけようではないかー!」
  ちょっとウンリュウ星人さん、棒読み過ぎ!
  気付かれたらどうするの!
ウンリュウ星人「う、うむ、すまぬ。 演劇の嗜みがなきゆえ」
  とりあえず、ポイントBまで引き寄せてよ〜本当に!
ウンリュウ星人「う、うむ。 相分かった」

〇黒背景
アマル星人「さ〜て、僕も用意しますか」

〇アパートの玄関前
瀬潟 志郎「くそっ! 待て、怪人め!」
ウンリュウ星人「待てと言われて、待つ愚か者が何処にいる? 捕まえると申すなら、見事に召し捕らえよ!」

〇アパートの玄関前
今坂 明(──間違いない。 やっぱりここは・・・)
河井 伊那「・・・先輩? さっきから変ですよ。 どうしたんですか?」
今坂 明「あ・・・いや、その・・・」

〇黒
  おやぁ、おふたりさん。
  怪人は1人だけだと、思ったのぉ?

〇アパートの玄関前
河井 伊那「ま、まさか、2体目の怪人!? 報告にはなかったはず──」
アマル星人「おやぁ、「報告にはない」からいないと? ちょっと短絡的じゃないかなぁ、君」
河井 伊那「──なんですって?」
アマル星人(よし、かかった!)
アマル星人「だ・か・ら、短絡的なおバカさん、って言ったんだよぉ、半人前の隊員さん」
河井 伊那「──その口、二度と開かないようにしてあげる」
アマル星人「できるものなら、ねぇ?」
河井 伊那「逃がすか!!」
今坂 明「あっ、おい、河井! 勝手に動くな!」
今坂 明(──さっきから、怪人達の動きがおかしい まるで、俺たちを分断するような・・・)

〇黒背景
「アマル、アイツ、キヅイタ」
「さすが『色付き』といったところか。 気づいたところで、もう遅いけどね」
「他の隊員は引き付けておくから、あとは頼んだよ ──コスメティック星人さん」
コスメティック星人「モチ、ロン。 ニンム、タッセイ。スル、100%」

〇黒
  ・・・ねぇ、どうして、帰ってきて、くれなかったの?
今坂 明「──! その、声、は・・・」
  私、ずっと、ずーっと、待ってたんだよ?
  待って、待って、待って、待ちくたびれて

〇黒
???「こんな、すがたに、なったのに」
  う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

〇アパートの玄関前
今坂 明「ゆ、許してくれぇ! 俺が悪かった!! まさか、君が死ぬなんて思わなかったんだ! 本当にすまない! この通りだ!!」
瀬潟 志郎「お、おい、今坂。 どうしたんだよ、お前? 何があった?」
河井 伊那「すみません、見失いました。 ・・・今坂先輩?」
瀬潟 志郎「河井、今坂の様子がおかしい。 一度撤退するぞ」
河井 伊那「えっ? でも怪人は──」
瀬潟 志郎「その怪人のせいで、こいつがおかしくなったんだよ! 悔しいのは分かるが、今はこいつを回収するのを手伝え!」
河井 伊那「はっ、はい!」

〇アパートのダイニング
  一夜が明けた、翌朝──
アマル星人「いや〜、傑作だったね〜。 アイツの泣いて謝る姿!」
ウンリュウ星人「全く、常日頃の威勢は何処へ、という有り様でござったなぁ」
コスメティック星人「♪(v^_^)v」

〇ブリーフィングルーム
  あのあと今坂は防衛隊本部に回収され、精神状態の悪化により、しばらく療養するとニュースに流れた。
  ──表向きには。
  多分原因を調べる中で、付き合っていた彼女を捨てたことも知られたと思うけど・・・
  今坂がその後どうなるかは、正直分からない
  ただ、今までのようにはいかないと思う。
  ──仕事でも、私生活でも

〇アパートのダイニング
アマル星人「それにしても、コスメティック星人さんの『幻影投射』、すごい迫力だったね」
ウンリュウ星人「うむ。 拙僧も、正面よりの面通しは、御免被る程であった」
コスメティック星人「@#/&_$%#*+=:〆^\〜-/」
アマル星人「えっ、あれで序の口? もっとすごいのが、できるの? ──とりあえず、今は見せてもらわなくていいかな・・・」

〇アパートの玄関前
  そう、あの時の今坂が見ていたのは
  彼女その人ではなく、
  彼女の姿になりすました、コスメティック星人さんだった
  ちなみに、彼女の姿そのものになるよりも、言葉を発する方が難しかったらしい・・・

〇アパートのダイニング
アマル星人「・・・これで、少しでも彼女が浮かばれるといいけど」
ウンリュウ星人「・・・至極無念ではござるが、成仏の可否は拙僧らの裁量ではござらぬからな」
コスメティック星人「(´・ω・`)」
アマル星人「まぁ、気持ちに区切りは、付けられたんじゃないかな、きっと」
  異星人である僕らは、どうすれば成仏できるかなんて分からない。
  だから、彼女が安らかに眠れることを、切に願うだけだ
  次こそ、幸せになってね

〇アパートのダイニング
  その日の夜
女性幽霊「・・・あの〜、すみません。 まだ私、どうにも成仏できないようで・・・」

〇アパートのダイニング
「ウソでしょ!?」
コスメティック星人「Σ(゚д゚lll)」

コメント

  • コスメティック星人の絵文字が最高にかわいい。モチ、ロン、カタコトの日本語も愛らしい。一人称が拙僧のウンリュウ星人もいい味出してます。この3人で地球漫遊珍道中シリーズを作ってほしい。

  • 怪人さんたちが慌て怯える幽霊という存在。その様子が楽しすぎます!実際に出くわしたらどっちが怖いのでしょうかねw いろんな意味で、コスメティック星人さんが好きになりました!

  • 3人?の怪人たちにとても親近感がわきました。彼女の身の上話をきき、どうか成仏させてあげようと頑張った彼らが素敵で、とくにコスメティックさんが彼女の身代わりになって元カレに訴えたところは感動的でした。

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