怪人は怪異に勝るのか!?俺は今日から怪人公務員

ゾーMASA

読切(脚本)

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〇法廷
裁判長「被告人影山和樹を連続殺人の罪により、 死刑とする」
影山和樹「(クソッ!どうしてこうなった!!)」
影山和樹「(たまたま殺人現場に出くわしただけなのに!!)」
影山和樹「(殺人の容疑で逮捕され、しかも他の連続殺人の容疑も掛けられて・・・)」
  こうして俺影山和樹は、連続殺人事件の犯人として、たった今死刑判決を受けた。
影山和樹「俺は殺人など犯していない。 俺は無実だ!!」

〇殺風景な部屋
  そして、遂にその日が来た。
刑務官「何か言い残すことはないか?」
影山和樹「俺は無実だ!! 殺人などしていない!!」
刑務官「そうか。では、死刑執行!!」
  俺は絞首刑に処され・・・、
  死んだ。

〇実験ルーム
影山和樹「(んん・・・なんだ・・・頭がぼんやりする、俺は寝てたのか・・・?)」
夜三(やみ)課長「目覚めたようだね」
影山和樹「!!  あなたは誰ですか?ここはどこで・・・ えっ!?俺確か死刑になって・・・」
夜三(やみ)課長「少し落ち着き給えよ」
影山和樹「・・・」
夜三(やみ)課長「私は夜三という。 さて、まず鏡で君自身を見給え」
  夜三という男は、俺に鏡を見るよう促した。
影山和樹「!!!!、なんだこれ!!」
  鏡に映っていたのは、ドクロのような顔したまるで化け物という容貌の『何か』だった。
夜三(やみ)課長「おめでとう! 君は今日から怪人『スカルファイター』として生まれ変わったんだ」
スカルファイター「何が・・・一体どうなってんだ!!」
夜三(やみ)課長「君は死刑が執行され死んだ後、怪人に改造されたんだ」
夜三(やみ)課長「我々『怪異鎮圧課』によってね」
スカルファイター「・・・全く理解出来ないのですが?」
夜三(やみ)課長「宜しい。では場所を移そう。付いて来給え」

〇ブリーフィングルーム
夜三(やみ)課長「我々『怪異鎮圧課』は、国家の秘密組織にあたる機関だ」
夜三(やみ)課長「仕事の内容は、所謂超常現象を排除・殲滅すること」
夜三(やみ)課長「一応、国家機関に所属しているので君達怪人も国家公務員という扱いになる」
夜三(やみ)課長「なので、君は今日から『怪人公務員』ね。 宜しく頼むよ」
スカルファイター「はぁ・・・」
  全てが突然の出来事過ぎて、頭で処理しきれないでいた。
スカルファイター「あの、何故俺は怪人に改造されたんですか?」
夜三(やみ)課長「怪人になれるのは、死刑囚だけだからだよ」
夜三(やみ)課長「そして死刑執行された人間の内、適任の人物であれば怪人に改造する」
夜三(やみ)課長「君は選ばれたんだ」
スカルファイター「・・・喜んでいいのか分かりません」
夜三(やみ)課長「ハハハ あ、そうそう君に紹介したい人がいるんだ」
スカルファイター「紹介ですか?」
夜三(やみ)課長「入り給え」
かげ美「はい、失礼します」
夜三(やみ)課長「紹介しよう。 君の業務サポート担当の『かげ美』君だ」
かげ美「スカルファイターさん、初めまして。 かげ美です。 宜しくお願いしますね」
スカルファイター「え?影が・・・喋ってる!?」
夜三(やみ)課長「かげ美君は、『影』の怪人なんだ」
夜三(やみ)課長「実体が無いから、どんな所にも潜入できる」
かげ美「私、他の影に入り込む事ができるので、敵に気付かれず味方のサポートも出来るんです」
スカルファイター「な、なるほど・・・」
夜三(やみ)課長「今後彼女と一緒に業務遂行にあたってもらうよ」
スカルファイター「あの、さっき話していた超常現象っていうのは具体的にどういう?」
夜三(やみ)課長「やればわかるさ。 では、早速仕事に取り掛かってもらおうか」
スカルファイター「えっ!?もうですか!?」
夜三(やみ)課長「うちは常に人手不足だからね。 新人でも即戦力だよ」
夜三(やみ)課長「業務内容はかげ美君に伝えてあるから、詳細は彼女に聞いてね」
スカルファイター「ま、マジっすか!?」
かげ美「さあ、スカルさん。説明は道中でしますので、出発しますよ」

〇寂れた一室
  初めての仕事は『怨霊退治』だった。
スカルファイター「(なるほど、仕事ってこういうことなのね)」
かげ美「この部屋には、悪い怨霊が憑りついているそうです」
スカルファイター「怨霊なんて、本当に退治出来るんですか?」
かげ美「もちろん。そのために私たちが居るんです」
かげ美「あ、来ますよ!」
怨霊「ああ・・・あああ・・・」
スカルファイター「で、出た!!」
かげ美「さあ、先ほど話した通りに対処して下さい!」
スカルファイター「は、はい!」
スカルファイター「くらえ!『スカルセイバー!!』」
怨霊「があああああ!!」
スカルファイター「た、退治できた?」
かげ美「やりましたね。これで任務完了です。 さあ、次の現場に行きますよ」
スカルファイター「意外と忙しいな」

〇密林の中
スカルファイター「クソッ、なんでこんな沢山いるんだよ!!」
UMA「ギィィィィィィ!!」
  俺達は最近未確認生物により、家畜や人が襲われている現場に来ていた。
スカルファイター「到着早々、こいつらに襲われるとは・・・」
スカルファイター「(しかもこの数、百体以上はいるんじゃないか!?)」
  かげ美さんはこの不利な状況を察し、応援を呼びに現場を離れていた。
スカルファイター「(私が戻るまで時間を稼いでって、彼女は言ってたけれど・・・)」
UMA「ギィガァァァァァァ!!」
スカルファイター「うわっ、危なっ!!」
スカルファイター「ヤバい、こいつら以外に侮れないぞ」
UMA「ギィィィィィィ」
スカルファイター「クソっ、くらえ!! 「スカルビーム!!」 「スカルバズーカ!!」」
UMA「ギャアアアアアア!!」
  俺は必殺技とも言える
  「スカルビーム」「スカルバズーカ」を放った。だが──、
UMA「ギィィィィィィ!!」
スカルファイター「ダメだ、これじゃキリがない!!」
  状況を打開できずにいたその時──、
UMA「ゲギャ!?!?」
スカルファイター「!!──なんだ!?」
  UMAの群れの中心から爆発が起こった。
シザーキング「ウハハハッ、何だウジャウジャ居やがんじゃねーか!!」
UMA「ギィ!?」
ソードマスター「フン、他愛ない」
スカルファイター「(な!?誰!?っていうか、怪人!?)」
かげ美「スカルさん、大丈夫ですか? お待たせしました!! 助っ人を読んできましたよ!!」
スカルファイター「か、かげ美さん!助かった!」
  俺の目の前に現れた二人の怪人は、鎮圧課の怪人『シザーキング』と『ソードマスター』。
  かげ美さんが加勢を依頼し、駆けつけてくれた先輩怪人だった。
かげ美「さ、スカルさん。 あの生物はお二人に任せて、私達はあの山の頂上に向かいますよ」
スカルファイター「えっ、山の頂上ですか?」
かげ美「そこにあの生物を発生させた元凶があるそうです。それを排除しに行きます」
スカルファイター「わ、分かりました。 でも、ここは先輩達だけで大丈夫ですか?」
かげ美「大丈夫ですよ。あの二人は『プロ』なので。 さあ、早く行きますよ」

〇岩山
スカルファイター「ここに、その元凶があるんですね?」
かげ美「はい、そのように聞いてます」
  あたりを見回していたその時──
  上空に光り輝く物体が現れた!
スカルファイター「何だこれ!?しかもデカい!? もしかしてUFO!?」
かげ美「危ないっ!!」
スカルファイター「あっ!!」
スカルファイター「わ、わ、わ!?体が浮いて、吸い寄せられる!?」
かげ美「スカルさーーん!!」
  俺の体は光る物体の中に吸い込まれてしまった。

〇研究装置
スカルファイター「(ん、んん・・・)」
スカルファイター「(はっ!!なんだここは?)」
スカルファイター「(ぐっ!?体が動かない!!)」
  俺は機械のような物の中に閉じ込められていた。
地球外生命体「・・・」
スカルファイター「(!!、なんだこいつ!?)」
  得体の知れない『何か』が俺を見ていた。
地球外生命体「〇△×※■◇」
スカルファイター「(??、何か喋てるようだが、何を言っているか全然わからん)」
地球外生命体「『オマエ、迎エニキタ』」
スカルファイター「(!!なんだ!?頭の中から声が聞こえる!?)」
地球外生命体「『オマエノ頭ノ中ニ、話カケテイル』」
  頭の中でなら会話による意思疎通ができるようだ。
スカルファイター「『お前たちは何者だ?俺をどうするつもりだ?』」
地球外生命体「『我々ハ、オマエノ創造主ダ』」
スカルファイター「『!?俺の創造主?どういう意味だ?』」
地球外生命体「『オマエハ、我々ガ作ッタ存在』」
スカルファイター「(いやいや、俺は元人間だぞ。今は怪人になっているが・・・)」
地球外生命体「『オマエ体ノ故障ヒドイ。星ニ連ツレ帰リ、元ニ戻ス』」
スカルファイター「(なっ、星!?てっ、ことはこいつら地球外生命体だな!体を元に戻すって、人間体に戻すってことか?)」
  その時である──!!
  大きな爆発音が聞こえ、部屋が揺れた。
地球外生命体「『!?』」
スカルファイター「(あ、宇宙人が消えた・・・)」
「ふう、ようやく居なくなりましたね」
スカルファイター「(この聞き覚えのある声は、まさか!?)」
かげ美「大丈夫ですか、スカルさん?」
スカルファイター「かげ美さん! 今までどこにいたんですか?」
かげ美「スカルさんの影に入り込んで、この中に入った時に他の影に移って、潜んでいました」
スカルファイター「そうだったんですね。 取り合ず、助けて下さい。動けないんです!」
かげ美「ちょっと待って下さいね。とうっ!」
  かげ美さんの掛け声と共に、俺を拘束していた物がバラバラに砕けた。
スカルファイター「やった、動ける!」
かげ美「さあ、スカルさん逃げますよ」
スカルファイター「はい!有難う、かげ美さん」
スカルファイター「あと、さっきの爆発なんだけどあれは?」
かげ美「シザーさんとソードさんが、このUFOの中で大暴れしてるようですね」
スカルファイター「えっ?先輩達なの、あれ?」
かげ美「そんなことより、さっさと逃げますよ! さあ、こっちです」
スカルファイター「あっ、はい!」

〇岩山
スカルファイター「ハァハァハァ、 何とか脱出できた・・・」
かげ美「私が居なければ、スカルさんは謎の星に連れ去られていましたよ。感謝して下さいね」
スカルファイター「はい。有難う御座います、かげ美さん!」
  その時である!!
  巨大な爆発音と共に、上空に浮いていた光る物体が吹き飛んだ。
スカルファイター「おおっ!?」
かげ美「シザーさん達も派手にやりましたね。 まあ、これで任務完了です」
スカルファイター「えっ、本当ですか!?」
かげ美「はい。これで今回の任務、無事完了です」
かげ美「では、本部に戻りましょうか」
スカルファイター「(あの宇宙人、結局何者だったのだろう・・・)」

〇ブリーフィングルーム
夜三(やみ)課長「二人とも、任務ご苦労さんだったね」
スカルファイター「いやー、怪人でなければ死んでましたよ」
夜三(やみ)課長「だろうね。 だから、この手の任務は怪人が一番適任なんだ」
夜三(やみ)課長「本来だた死を待つのみの死刑囚を怪人として再利用し、危険な任務に対応させる」
夜三(やみ)課長「警察などの「正義」の味方に被害は出ず、例え死んでもそれは『怪人』という悪者だけ」
夜三(やみ)課長「それがこの国の考えなのさ」
スカルファイター「・・・なるほど」
夜三(やみ)課長「さて、今日の任務は終了だ。休んで構わないよ」
スカルファイター「はい・・・。あの、課長」
夜三(やみ)課長「ん?何だね?」
スカルファイター「いや、やっぱりいいです。では、失礼します」
夜三(やみ)課長「・・・」
かげ美「彼、気づいているのでしょうか?」
夜三(やみ)課長「さあ、どうかな?」
かげ美「可哀そうなスカルさん。 まさか、自分を陥れた真犯人が目の前にいるだなんて思いもよらないでしょうね」
夜三(やみ)課長「そうだね」
夜三(やみ)課長「だがそれは彼を怪人として、こちらに手に入れるためには、仕方なかったことだからね」
かげ美「ええ。 それに、今回の件で確証が取れましたし」
夜三(やみ)課長「ああ、これで彼が地球外生命体と地球人のハイブリットであることが確実になった」
かげ美「彼を怪人にしたのは、あの宇宙人達の動向を探るためですか?」
夜三(やみ)課長「それもあるが、彼は地球外生命体の遺伝子を持った怪人だ」
夜三(やみ)課長「上手く利用できれば、あの目障りな宇宙人共を排除し、何よりその先の目的にも利用できるだろう?」
かげ美「なるほど、流石ですね」
夜三(やみ)課長「ふふっ、彼には早く一人前の怪人になってもらわないとね」
夜三(やみ)課長「そうしたら、彼の名前をスカル(髑髏)から『ヘル(地獄)ファイター』に格上げかな」
かげ美「ええ、そうなってもらいましょう。 我ら悪魔の為に、ね」
夜三(やみ)課長「フフフ」
魔王「ファッハハハハ──」

〇空
スカルファイター「(今日もいい天気だな)」
スカルファイター「(俺はこれで良かったのだろうか・・・)」
スカルファイター「(結局俺を死刑にした事件の真犯人は分かっていない)」
スカルファイター「(できるなら俺の手で犯人を見つけて、そして・・・)」
スカルファイター「復讐、か・・・」
スカルファイター「(それは俺が本当にしたいことなのか?)」
かげ美「スカルさん、何やってるんですか。 次の現場に急ぎますよ!」
スカルファイター「あ、はい。スミマセン、かげ美さん」
かげ美「今日も頑張って下さいね。 スカルさんには期待しているんですから!」
スカルファイター「ハハハ、有難う御座います!」
  こうしてスカルファイターは真実を知らないまま、第二の人生、いや「怪人生」を生きて行く。その先は天国か地獄か─。
  
  『完』

コメント

  • ラストは衝撃でした。スカルファイターのスケジュールが過密で、ブラック企業も真っ青な過重労働の職場だな、と思ったら違う意味でブラックな組織だったんですね。夜三課長は闇課長だったのか〜。進むも地獄退くも地獄なら、知らぬが仏で生きるしかないんですね。

  • 自分を陥れた真犯人の思惑通り怪人として、うまれかわった。知らないまま過ごしていく方が幸せなのかも?死人となってしまった彼にとっては

  • 冒頭の文章がストーリーを読んでいくための導きのようでした。騙されていることを知らないで一生過ごすことは、場合によっては悪くないとまで思わされました。

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