エンジェル

神社巡り

エピソード1(脚本)

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〇モヤイ像
魔物A「あのぉ~お忙しいところ申し訳ございません・・・」
会社員B「・・・・・・・・・」
魔物A「駅にはどのように行ったら宜しいのでしょうか?」
会社員B「うわぁーー-----------!!」
  まただ・・・また誰も話を聞いてくれない・・・私は何か気に障ることを言ったのだろうか・・・?
  私に何か悪い部分があるならば、それを直すつもりは充分にある・・・しかし何も言わずに逃げ出されては改善のしようもない・・・
  私はあのおっさんの恐れ慄く顔を思い浮かべ、どこが悪かったのか回想した・・・
  しかし、どんなに回想を繰り返しても悪かった部分は見当たらない・・・まだまだ自分が未熟だという事か・・・
  私は気を取り直し別の人間に駅を尋ねる事にした・・・
魔物A「あのぉ~お忙しいところ申し訳ございません・・・」
会社員C「・・・・・・・・・」
  また、さっきと同じだ・・・と私は落胆しかけた・・・
会社員C「きみぃ・・・それは良くできた着ぐるみかね・・・?」
魔物A「何をおっしゃっておられるのですか? 私は着ぐるみではありませんよ・・・オーガです・・・」
会社員C「ほ、ほんものぉ~?」
魔物A「はい、本物です・・・本物のオーガです・・・」
会社員C「その大きな体も本物なの・・・」
  このおっさんは自分も体が大きい事を棚に上げて何を言っているのだろうか?
  しかし会話にはなっているので少し安堵した・・・
魔物A「はい、触って見ますか?」
会社員C「どれどれ・・・」
  おっさんは私の体を触り始めた・・・かなり気色が悪かった・・・
会社員C「おお・・・本物だぁ・・・どっから来たの・・・?魔界・・・?」
  おっさんは不躾に失礼なことを言った・・・
魔物A「埼玉ですよ・・・群馬よりの埼玉です・・・」
会社員C「ハハハハハ・・・埼玉って・・・そんな恰好なのに・・・?」
  おっさんは失礼極まりなかった・・・私が怒らないと高を括っているのだろうか?
魔物A「ちょっと失礼ではありませんか? 私たちは初対面ですよ・・・」
会社員C「怒った~!!食べられる~!!」
  おっさんは逃げて行った・・・結局、さっきと同じ結果だった・・・

〇住宅街の公園
  だいたい食べられる~ってなんだ?
  私は美食家だ・・・おっさんなんて食べる訳がない・・・
  そもそも人間を食べるって・・・頭がおかしい・・・あのおっさんは可哀そうな人なんだなぁ~と思うことにした・・・
  途方に暮れて彷徨う事50分・・・私は光を感じた・・・
天使「驚いたか? 私は天使だ・・・不遇な目に逢ってるそなたを助けに来たぞ・・・」
  恥ずかしい人が現れた・・・私はとても可哀そうに思った・・・光って見えたのは自分でライトを照らしている・・・
魔物A「あのぉ~あなた・・・結構なお歳を召していらっしゃいますよね・・・」
  その年齢でそのふざけた格好は恥ずかしくは無いのだろうか?
天使「良くわかったな・・・!! 私は生を受けて3058年だ・・・」
魔物A「(うわー痛い人だぁ・・・関わるのよそう・・・春先だからかなぁ?)」
  私はこのおっさんを見なかったことにした・・・
天使「おいおい・・・助けに来たのじゃぞ・・・何故にそんなによそよそしくしておるのじゃ!?」
魔物A「・・・・・・・・・」
天使「おい!なんじゃ!!その態度!!」
天使「大天使の私が来ているのじゃぞ!! ひれ伏しなさい・・・」
魔物A「そんな格好をして恥ずかしくは無いのですか・・・?」
天使「な、なんと失礼な事を・・・!! 私の力を身をもって知るが良い・・・え~い!!」
魔物A「おお・・・なんと・・・」
  一輪の花が何処からともなく現れた・・・
天使「はぁはぁはぁ・・・」
  おっさんは持ってる力の全てを使い果たした様に苦しそうにしていた・・・しかしそれは手品にしか見えなかった・・・
  私はおっさんから逃げることにした・・・
天使「あっ・・・ま、まて~!!」

〇広い改札
  おっさんから逃げているといつの間にか駅に辿り着いていた・・・
魔物A「全く・・・しつこい人だなぁ・・・」
天使「何故に逃げる・・・私はおぬしを救いに来たのじゃぞ・・・」
魔物A「さっきから救う救うと言ってますが何を救うのですか?」
天使「おぬし幼い頃から人間に迫害を受けてきたであろう・・・それを救うと言っておるのじゃ・・・」
魔物A「うっ・・・」
  私の幼い頃からの記憶が走馬灯のように甦った・・・
  しかし・・・私は迫害などされてきた記憶はない・・・寧ろ頼りにされてきた・・・
  おっさんは私の生い立ちを何か誤解してるようだった・・・
魔物A「今から地元に帰ります・・・一緒に地元に来てみますか?」
魔物A「私が迫害を受けているか確めて下さい・・・」

〇田舎町の通り
村人1「よう、おかえり・・・今帰って来たのか?」
魔物A「ああ~・・・悪いが土産は買ってこなかったぞ!!」
村人1「そんなの気にしないでくれ・・・お前にはいつも世話になってるんだから・・・」
天使「あのぉ~・・・この村は普段からこんな感じなんかのぉ~?」
村人1「うわぁ!(何だこのおっさん・・・おめでたい格好しやがって・・・)はい・・・」
村人1「こ、この人は・・・?」
魔物A「ああ・・・なんでも天使だそうだ・・・」
村人1「ああぁ・・・大変だなぁ~お前も・・・」
村人2「今帰ったのかい・・・?」
魔物A「はい・・・たった今戻りました・・・」
村人2「今回は楽しかったかい?」
魔物A「はい・・・とても楽しかったです・・・腰の具合はどうですか?」
村人2「ああ・・・おかげさんで調子がいいよ・・・」
魔物A「何かあったら、また手伝いますから言って下さいね・・・」
天使「あのぉ~・・・この村はいつもこんな感じなんですかのぉ?」
村人2「おおっ!何だね?この人・・・」
魔物A「都会から村の様子を見に来たんです・・・何でも天使だそうで・・・」
村人2「まぁ・・・それはかわいそうにぃ・・・」
天使「???・・・」
  思った通りおっさんは地元の人たちからかわいそうな目で見られていた・・・
村人3「あっ・・・おかえりなさ~い・・・」
魔物A「ただいま~今日は1人で遊んでいたのかい?」
村人3「造って貰った公園の滑り台で遊んでいたんだよ・・・友達はまだ遊んでるよ・・・」
魔物A「みんな遊んでくれているんだね・・・」
天使「あのぉ~その滑り台はこのオーガが造ったのかのぉ~?」
村人3「ぐわっ!!」
村人3「う、うわーん、わーん・・・」
天使「な、なんで泣くのじゃ・・・!!」
魔物A「子供を怖がらせちゃ駄目ですよ!!」
天使「怖がるって・・・わしゃなんもしておらんぞ・・・」
村人3「わぁーん・・・頭のイカレタおっさんがでた~!!」
天使「ガーン!! 頭のイカレタおっさんって・・・」
魔物A「そんな痛い格好をしてたら仕方ないでしょ・・・?」
天使「人の振り見て我が振りを見ずとはわしの事だったのか・・・?」

〇村の眺望
天使「わしのしてきた事は何だったのだろう・・・」
天使「わしはただ可哀そうなオーガを助けてやりたいと思っただけなのに・・・」
  このおっさんはまた失礼なこと言っていた・・・そもそも貴方の様な人に可哀そうだと思われたくはない・・・
魔物A「わかりましたか? ここでは私では無く貴方が可哀そうだって事を・・・」
天使「う、うん・・・そうじゃのう・・・わしが哀れな人だったのう・・・」
魔物A「天使というならば本当に困っている人に手を差し伸べるべきだと思いますよ・・・」
天使「わしのしてきた事は善意の押し売りだった訳じゃのう・・・」
魔物A「気を落とす事は無い・・・間違っていたらやり直したら良いんです・・・」
魔物A「これから貴方の力を必要とする人達を救ってあげたら良いじゃないですか?」
天使「まったく、お主はオーガだというのに良くできた人間じゃ・・・」
天使「天使のわしを救ってくれるとはのう・・・」
魔物A「私にそんな力はありませんよ・・・ただ前を向いて生きて行こうとしてるだけです・・・」
  おっさんが天使なのか本当の所はわからない・・・ただ人を救おうという心構えは間違っていないと思う・・・
  誰もに冷たくあしらわれた都会の中で、このおっさんだけは私に向き合ってくれた・・・
  その現実だけで、この世界は捨てたもんじゃないと思う・・・
魔物A「前を向いて歩きましょう・・・」
天使「うむ・・・」

〇空
  END

コメント

  • 登場人物に悪い人が一人もいないのに、なぜか傷つく人が生まれてしまうこの世の不思議。諸悪の根源は人間そのものではなく人間が抱く偏見であることがよくわかるストーリーでした。小学校の教科書に載せてほしいなあ。

  • 天使から見れば、オーガは可哀そうに見えても地元に帰れば、誰からも愛されてる。見た目で判断してはいけないということを身をもって教えてくれた。

  • 可哀想なおっさん!いや天使!コスプレが痛々しいです。歳がいき過ぎてます。全てにおいてオーガくんに助けてもらってますね。オーガ君は良い人?ですね。

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