戦国美女を蘇らせちゃった

おば3は見ていた

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〇広い和室
茶々「母上、ご無沙汰をしておりました」
お市「茶々・・・大変な最期であったのお。秀頼ともども立派であった事よ」
  茶々の最後は、大阪夏の陣で徳川方に負け、息子の秀頼と一緒に大阪城の一角で自害したと伝わる
吉乃「ご立派なご最期を遂げられても、それで家が途絶えてしまったのでは、のお・・・ほほほ」
築山殿「おや、本能寺の信長殿だけでなく、近くにおられたご嫡子信忠殿までお討たれになった織田家の方のお言葉とも思えませぬなあ(笑)」
吉乃「だまらっしゃい!徳川家康殿の正妻でありながら、嫡子信康と供に成敗されたお主に言われとうないわ!」
陰陽師「皆様、本日は私の花見の宴に、お集まりいただきましてありがとうございます」
お市「我らを花と思召して、花見としゃれこむとは、面白い趣向である事よ」
陰陽師「恐れ入ります。皆様、ご酒は、足りておりますでしょうか?」
築山殿「ときに・・・のお、茶々殿。ちとモノを尋ねるが・・・」
茶々「はい、なんでしょう?」
築山殿「茶々殿がお産みになったお2人のお子というのは、秀吉の種ではないというのは、本当かえ?」
茶々「はい。秀吉には子種がありませんでしたので、観音堂にお籠を致しまして、観音様からお子を授かりました」
築山殿「ほほほ・・・子供はコウノトリが運んでくる訳ではないのじゃから、誰と致したのか、申せ」
茶々「暗くて分かりませんでした」
築山殿「不特定多数の男女が、暗闇の中、入り乱れて?」
茶々「子が欲しい者が、観音様におすがりしたのです」
お市「築山殿、少々ご酒が過ぎるようでございますよ」
吉乃「築山殿こそ、桶狭間の後、家康殿が岡崎に戻られてしまって、捨て置かれた10年余り、お寂しかったのでは?」
  今川義元VS織田信長の桶狭間の戦いが、信長勝利で終わると、家康は築山殿が待つ三河に戻らず、岡崎城に入ってしまいます。
  築山殿と嫡男信康が人質交換によって、岡崎に呼ばれたのは、10年余り経ってからだという事です。
築山殿「一人寝の夜は、寂しいわ。家の周りに見張りを付けられて、うっとおしいわ。謀反の疑いを掛けられ殺されて、空しいわ」
吉乃「ごめんなさい。戦国時代の女なんて、家のために政略結婚して、子供を産んで、命乞いのために側室に出されるのが当たり前だものね」

〇風流な庭園
  廊下の方からバタバタと足音がして、1人の女性が部屋に入ってきた。
珠「遅れてしまって、ごめんなさい」
  珠(たま)は、明智光秀の娘、細川ガラシャのキリシタン名の方が有名であろう。夫の細川忠興の嫉妬深さが有名である。

〇広い和室
茶々「珠ちゃん、さ、こちらに座って。ご酒もあるわよ」
珠「ありがとう。では、お隣失礼します」
お市「慌てているみたいだけど、どうしたの?」
珠「ええ、夫を巻いてきたのですが・・・なにせ、あの夫ですから・・・ちゃんと巻いてこれたか、不安で」
吉乃「相変わらず、大変ねえ」
珠「私は、大丈夫なのです。幽閉されるだけなので。ただ、一緒にいる男性の命が危ない」
築山殿「あら」
吉乃「あら、陰陽師さん、女装する?珠ちゃんの旦那さん、重度のストーカーよ」
お市「そうね、女装した方がいいかもね。花見してて、命取られちゃねえ・・・ほほほ」
珠「あの・・・もし、あなたが斬られたら、あなたの血で染まった服を、私、何日でも着続けますので!」
  珠の夫:忠興は、珠と言葉を交わしたという理由で下男を切り殺し、その時刀に付いた血を珠の着物でぬぐいます。
  珠は、血の付いた着物を何日も着用し続け、ついには夫が詫びを入れて着物を着替えてもらったというエピソードがあります。
陰陽師「女装させてください。しばらく失礼致します」
  陰陽師がそそくさと席を立ち、女装をしに中座した
築山殿「吉乃様って、優しいイメージで通っていらっしゃるわよね。ずるいわ」
お市「あの兄上を操れるお方が、お優しいだけでいらっしゃる訳ないじゃございませんか・・・ほほほ」
茶々「正室のお濃様と比べると、いくらか優しかった・・・という事では?」
吉乃「おお、茶々、言うようになったのお。子供の頃は、可愛らしかったのにのお・・・ほほほ」
茶々「あら、私としたことが・・・ほほほ・・・ご正室様の所に伺うより、吉乃様の所に伺う方が楽しゅうございましたよ」
珠「私も、ご正室様は苦手でございました。いつも、大した男でないと見切ったら、初夜の時に、懐剣で殺すのじゃと。そればかり」
お市「子供には、ちと早い教えであったのお」
築山殿「皆様・・・初夜の時は、もちろん懐剣を懐に、とこに入られましたよねえ」
「ええ」
築山殿「本当に、殺す気は、おありでしたか?」
お市「・・・と申しますと?」
築山殿「いえ、乳母から色々教わるではございませんか?すっかり、耳だけは、知識豊富だけど「あとは、殿方にお任せなされませ」みたいな」
珠「まあ、私もそのような教育方針でございました」
築山殿「でしょお?1回くらい、経験したくはございません?何も致さず殺してしまうのは惜しいではございませんか」
お市「まあ、そういう気持ちがないとは、言えませんでしたね。ふふふ・・・長政殿は見た目の好い方でしたし」
茶々「母上は、父上に一目ぼれなさったのですか?」
お市「そのようなものですかね」
茶々「母上と父上は、本当に仲の良い夫婦でございましたものねえ」
お市「やだ、恥ずかしいではありませぬか」
吉乃「それに比べて、茶々・・・お主、何故、猿なんぞと夫婦になった?」
築山殿「戦国時代の女に、何故あの殿方に添うたのかと聞くのは、野暮な事でございましょう」
吉乃「そうであったな。失礼した」

〇広い玄関(絵画無し)
珠「しかし、陰陽師殿のお着替えは、時間がかかっておりまするね」
  珠が、ふすまを少し開けて廊下の様子を窺う
珠「ゲッ!うちの夫が玄関に仁王立ちしてる。その前で床に頭をこすりつけているのは、もしかして・・・」
茶々「あれ、女装した陰陽師さんなのではないかしら?声を出せなくて、困っていらっしゃるのでは?」
珠「では、皆様、お先に失礼致します」
  珠は玄関に走り出ると、忠興に抱き着いた
珠「忠興様、迎えに来てくださったの?」
細川忠興「どなたと会っておったのじゃ?」
珠「お市様、茶々様、吉乃様、築山殿のお姉様達と話をしていましたのよ」
細川忠興「本当か?」
珠「本当でございますよ」
細川忠興「座敷をあらためる!」
珠「あなた!うまい事言って、戦国時代の美女達を一目見たいなんていうスケベ心をお出しではないでしょうね?」
細川忠興「バカを言うな!」
珠「でしたら、一緒に帰りましょ」
細川忠興「・・・うん」

コメント

  • 読みました‥
    やはり皆キャラが濃ゆくて、
    恐ろしかった‥
    人類って時代が下るにつれて
    ドメスティックですよねー💦
    つくづく戦国時代じゃなくて良かったと思う💧

    ショパン君
    「オンナ信用シテナイ‥」
    お、おう💧失恋3連チャンでそのまま病死したしな。
    まあ、この人ホ◯じゃないんだよな🩷😆
    「離サナイ🩷」
    どっちなんだよw🤣ノシ⭐︎⭐︎
    失礼しました🩷

  • 陰陽師が幹事役のお花見の会、メンバーに凄みがあって読み応えがありました。歴史のあれこれやこぼれ話も真偽はともかく知らないことが多くて勉強になります。盛り上がりすぎてお泊まり会になっても夜通し喋ってそうですね。

  • 彼女たちのやりとりを聞いていると、あらためてその時代に生まれなくてよかった!と思ってしまいます。男女関係もこれほど濃く複雑だとうんざり・・・です。

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