〇特別教室
　　どうもー！
華〇「今日はあなたに言いたいことがあるとばい」
△吉「何ですか？　改まって」
華〇「あの日の約束、まだ果たしてもらっとらんと」
△吉「約束？　何の約束ですか？」
華〇「小学校５年生、夏休みの宿題！」
△吉「ずいぶん昔の話ですね。ごめんなさい。覚えてないけど、何か約束しましたか？」
華〇「二人で読書感想文を書かんねて、約束したやなかか？」
△吉「そんな約束しましたかねえ・・・・・・？」
華〇「しらばっくれるのはもうたくさんやと！　前半分をわたしが書いて、後ろ半分をあなたが書くって約束やったでしょうが！」
△吉「そうでしたか」
華〇「あなたが書いて来んかったせいで、わたしは先生に立たされました」
△吉「ああ、半分しか感想文を書いてないってことでね」
華〇「あの約束、いい加減に果たしてくれんね？」
△吉「もういいでしょう？　そんな昔の話」
華〇「いいえ、今日という今日は書いてくれるまで返さんばい。コンビ解散の危機やと思ってください」
△吉「大袈裟すぎるでしょ？　じゃあ、本のタイトルを教えてください。いま書きますから」
華〇「読みもせんで感想文は書けんでしょうが？」
△吉「大丈夫。ああいうのはパターンがあるから」
華〇「なるほど！　女優さんのグルメレポートみたいなもんね？」
△吉「やめなさい！　そういうこと言うの。皆さんちゃんと食べてますから」
華〇「本のタイトルは『窓ぎわのトットちゃん』です」
△吉「いかにも昔の本ですね。ミリオン・セラーだったけど・・・・・・。はい、出来ました！」
華〇「もう、出来たと？」
△吉「まさかあんな悲劇が最後に待ち構えているとは。僕は涙をこらえることが出来ませんでした」
華〇「いきなりクライマックスやね。わたしも読んどらんので結末は知りませんが」
△吉「校舎の壁を突き破ってタンクローリーが飛び込んで来るなんて・・・・・・」
華〇「大惨事やなかね？　校庭で何があったと？」
△吉「クラスの半分を巻き込みながら、タンクローリーは激しく横転した」
華〇「きゃー！」
△吉「タンクの亀裂から液体窒素が流れ出し・・・・・・」
華〇「えっ？　その話・・・・・・」
△吉「運転席から降りた警官姿のＴ－1000は足元から凍り付いた」
華〇「ターミネーター２？」
△吉「『窓ぎわのシュワちゃん』でしょ？」
華〇「違うばい！　どこの世界にタマネギ頭のターミネーターがおるとね？　『トットちゃん』！」
△吉「えっ？　誰？」
華〇「トットちゃんと言うとっと！」
△吉「弟がおっとっと？」
華〇「どんな耳しとると？　もうよか。とっとと帰るばい」
△吉「続きは『徹子の部屋』で」
華〇「いい加減にしなさい」
「ありがとうございましたー！」