幻想冒険譚 Advent(アドベント)

いりゅーなぎさ

第17話 フォルクス討伐戦(脚本)

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〇木の上
  空を見上げ、影の主の姿を確認する。
  以龍はバスタードソードを抜き、イリアは十字の杖を身構える。
  そしてラビッシュはアームガンのフォースウェポンを生成した。
以龍 渚「狙いは翼の先端だ。 気付いたときにはもう、翼が動かせなくなっていたって状況を作るぞ」
ラビッシュ「了解、兄ちゃんっ」
  ラビッシュが銃口をフォルクスに向けると、フォルクスはそのさっきを感じ取ったのか、旋回しこちらに突撃してきた。
ラビッシュ「兄ちゃん、姉ちゃん。 ヤツの左翼に攻撃を集中させるよ」
  自身で炎の具現化魔法カードを生成し、アームガンのカードスロットにセットする。
  銃口から、炎の魔法が無数の弾丸となって放たれる。
  その銃撃に合わせて、イリアが雷の魔法を放つ。
  ラビッシュの銃撃とイリアの雷撃がフォルクスの左翼を襲い、フォルクスは雄たけびを上げる。
  わずかに体勢を崩した隙を以龍は逃さない。
  ホルダーから三枚の炎の魔法カードを引き、炎の矢のイメージを固める。
  強力な炎の矢がフォルクスに命中する。
  ・・・フォルクスは以龍たちの攻撃を受けながらも、誰を攻撃の対象にするかを選んでいた。
  フォルクスの選んだ攻撃対象は、被弾ダメージが一番軽かった以龍のようだ。
  その鋭い爪を以龍に向けて、急降下を開始する。
以龍 渚「爪での直接攻撃か」
以龍 渚「──そいつは願ったり、だ」
  以龍の剣とフォルクスの爪が金属音を響かせ激しくぶつかりあう。
  ──互角、とは言い難いか。
  その巨体の重さを乗せたフォルクスの爪が、徐々に以龍の剣を押さえ込んでいく。
以龍 渚「ちぃ。 なんて力だ」
ラビッシュ「兄ちゃん、右──」
  ラビッシュの言葉は間に合わなかった。
  フォルクスはその場で強引に身体をひねらせ、その右翼で以龍を弾き飛ばす。
  弾き飛ばされた以龍は、茂みの中へと突っ込んでいった。
ラビッシュ「兄ちゃんっ」
  以龍を弾き飛ばしたフォルクスは、そのまま上昇し空に逃れる。
  くちばしを開き、そのくちばしから無数の針を吐き出した。
  ──針の雨がラビッシュを襲う。
  その針の雨を薙ぎ払ったのはイリアだった。
  イリアの放った風の魔法が、降り注ぐ針の雨を彼方へと弾き飛ばす。
  次の瞬間、以龍が飛ばされた茂みの中から炎の矢と雷の矢が飛来していった。
  まるで銃弾のように放たれた無数の魔法の矢は、フォルクスの左翼部分の連続で命中していく。
以龍 渚「まだだぁっ」
  茂みから飛び出した以龍は攻撃の手を緩めない。
  具現化魔法カードを一枚手に取り、落雷のイメージを固めフォルクスに放った。
  赤い稲妻がフォルクスに命中する。
  ──以龍が雷の魔法カードと思って手にした魔法カードはどうやら炎の魔法カードだったようだ
  赤い稲妻がフォルクスに命中すると、炎がフォルクスの身体を巡っていった。
  ──それはまるで、雷を受け電気が体内を巡っていくかのように。
ラビッシュ「なんだ、いまの魔法は? おいら、あんな魔法は見たことないぞ?」
イリア「今のは、雷の魔法? ──ううん、あれは雷状の炎の魔法?」
  一番驚いていたのは、放った本人だった。
以龍 渚(今のは、カードを間違えたのか? ・・・だが、これは使えるぞ? イメージ次第でここまで大きく魔法の性質が変わるのなら──)
  以龍が雷の魔法カードを手に取り、イメージを固める。
  放たれた雷は、鎖のような形に変わり、フォルクスに向かって飛んでいく。
  それはフォルクスに命中するものの、鎖状のなにかがフォルクスにぶつかっただけに終わった。
以龍 渚(長さが足りないか。 それに、重心になるなにかも必要だ)
  以龍が再度魔法のイメージを固め始める。
  だが、フォルクスは以龍から攻撃を受けたことから、攻撃の対象を以龍に決め、大きくくちばしを開いた。
ラビッシュ「兄ちゃん、気をつけてっ。 そいつ、また針を吐く気だ!」
イリア「ラビくん、強力な魔法の準備を」
  そういうとイリアは杖先に魔法力を溜めだした。
ラビッシュ「どういうこと? このタイミングで強力な魔法を放ったって、避けられてそれで終わりだよ?」
イリア「言うとおりにして。 ──渚さんが、なにかしようとしています」
  フォルクスは突進しながら以龍に向かって無数の針を吐き出してきた。
  以龍は冷静にその攻撃をかわすと、三枚の雷魔法カードを手に取った。
以龍 渚(この間合い。──これなら、外さないっ)
  フォルクスの突撃により、以龍とフォルクスの間合いは、絶妙な間合いになっていた。
以龍 渚「──今だっ」
  以龍がイメージしたのは『鎖分銅』
  雷の鎖分銅が投げつけられ、フォルクスの左翼に命中。
  分銅の遠心力で鎖が巻き付いていく。
  フォルクスが悲鳴を上げる。
  フォルクスの左翼に巻き付いた鎖分銅は放電を開始し、激しいダメージをフォルクスに与えていく。
  フォルクスはたまらず上昇しようとするが──左翼の動きがおかしい。
以龍 渚「!! イリア、ラビ──」
  イリアとラビッシュは以龍の言葉を聞く前にすでに強力な魔法を放つ準備をしていた。
イリア「・・・言ったとおりでしょ。 渚さんならなんとかしてくれるって」
イリア「──ラビくん、一気に決めるよ」
ラビッシュ「本当に兄ちゃんと姉ちゃんって、昨日今日出会った仲間なの?」
  イリアとラビッシュの強力な魔法がフォルクスに直撃する。
  上昇を試みようとしていたフォルクスは、爆雷爆炎を受け墜落していく。
ラビッシュ「か、勝った・・・」
  フォルクスの墜落を目にし、ラビッシュがそう言葉を漏らした。
  この光景を見る限り、勝利を確信していたのだが──
  地面に激突する寸前、フォルクスは最後の力を振り絞り、満足に動かせないはずの左翼を強引に羽ばたかせ、上昇を開始した。
ラビッシュ「なっ!?」
イリア「ラビくん、追撃を──」
イリア「! 待って」
  追撃のため、杖を身構えたイリアだったが、その手を止めた。
  上昇を開始するフォルクスの身体に、以龍が飛び乗った。
  フォルクスに飛び乗った以龍は、その首筋にバスタードソードを突き刺した。
  周りに絶叫を轟かせながらも、フォルクスは暴れながら上昇行動を諦めない。
  ──その背に以龍を乗せたまま。
以龍 渚(──こいつ、まだ動けるのかっ もう一撃、強力な何かを食らわせないと、ダメか)

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