幽閉姫 第八幕 イケメン大会2 世界が激変した日(?)(脚本)
〇数字
西暦2XXX年。人類の科学は最盛期を迎えていた。
人々は更なる辺境(フロンティア)を求め、宇宙へ飛躍し、時空をも超える技術を手にしていた。
時に愚かな戦いを繰り広げ、戦い疲れては仮初の和睦と平和を―
そして、再び争うという愚行をくり返していた人類であったー
〇近未来の通路
ここは、巨大企業が秘密裏に設けた研究開発施設の一つ
進んだ科学技術は、時に魔法と見間違う程と言われるが、この時代の科学はまさに魔法の如くであったという
新技術が発見される度に、人類は熱狂し、更なる未知を探求し続けた
いつからだろう、そんな人類をいずことも知れぬ彼方から、見つめ続ける存在が現れたのは・・・
研究開発局長 松戸浦狂蔵 博士
Mad Dr 松戸浦狂蔵(時空共振に時空共鳴を重ね合わせれば、X軸からY軸にかけての時空共振が成功するじゃろうか・・・)
Mad Dr 松戸浦狂蔵(あ~しかしなぁ、Z軸線からのエントロピー放射耐性から、次元波動観測までに掛かるタイムラグが許容基準値以内でなければ・・・)
Mad Dr 松戸浦狂蔵(イカンイカン。ワシとしたことが、時間軸Wの存在を考慮に入れ忘れるとは・・・ このままでは、いつまで経っても研究が進まん)
助手A「松戸浦博士~ 松戸浦博士ってば~」
Mad Dr 松戸浦狂蔵(あーっと、そういえば、先日の実験結果で出たΓ線からβ線までの線量測定値の結果から考慮すると・・・)
助手A「はーかーせぇーっ! もー無視しないでくださいよぉーっ!!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「うーむ・・・ ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ・・・」
助手A(完全に自分の世界に入り込んじゃってるわぁ・・・ もー まいったわぁ)
助手A「博士ってば!!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「わーっ!? マテコラ!! 突然ワシに向かって発砲すなっ!!」
助手A「だってぇ~ ちっとも博士が返事してくれないから~」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「ちゃんとフツーに話しかければ返事ぐらいするわい!!」
〇研究所の中枢
Mad Dr 松戸浦狂蔵「それでなんじゃったかのう? 助手Aよ」
助手A「私の名前は、手助川沿子(てだすけがわそうこ)です。いい加減名前くらい覚えてくださいよぉ・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵(どうせそのうちに変わっとる助手の名前なんぞ、いちいち覚えてられんわい 面倒なヤツじゃのうぉ・・・)
Mad Dr 松戸浦狂蔵「それで、用件はなんじゃ?」
助手A「ハイ、それがですね、ちょーっちマズイ事態が起っちゃったみたいでして・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「マズイ事態とはなんじゃ?」
助手A「あのですね・・・ 怒んないでくださいね?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「そんなもん、事態とやらを聞いてからじゃ」
助手A「あーはい。 ですよね~」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「はよせんかい! ワシゃ忙しいんじゃ!!」
助手A「実はですね・・・ 松戸浦博士が研究なさってる、異次元観測実験なんですけど・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「それがどうしたんじゃ? まさか! 株主だの上のボンクラ共が予算打ち切りを決めおったか!?──」
助手A「あ~ ソッチも可能性は未だ残ってますけど・・・」
助手A「ソッチじゃないです。 もーっと直近でバイヤーなヤツです」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「結論をさっさと言わんかっ!!」
助手A「博士の異次元観測実験の影響と思われる、異世界からの浸食が始まりだしてるみたいなんですよ・・・──」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「な・・・ん・・・じゃとっ!?」
助手A「だからですね、異次元観測実験の影響と思われる異世界からの浸食がですねぇ!!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「そんなバカなっ!?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「アレは観測するだけの『窓』を設けた実験であって、双方の世界が侵食し合うなんぞ、起こり得んモノじゃぞ!!!?」
助手A「いや~それがですねぇ 起こりえないハズの実験だったハズなんですけど・・・」
助手A「実際に結果として、博士が向こう側を観測するために空けた時空穴『窓』から、こちらへ流れて来る複数の波動が観測されまして」
助手A「このまんまじゃマズイなって思ったんで、現在観測機器の類は一切停止して、観測部屋を封鎖しております」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「なんじゃとっ!?」
助手A「保安要員以外の、関係者を近づけず、警戒レベルAAAを発動中です」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「ダメじゃダメじゃ! 即座に警戒レベルAまで落とせ! AAAでは、ワシまで近づけん!!」
助手A「モニター越しでも中の様子は見えますが、浸食具合がマジ激ヤバですよ・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「仕方ない。モニター室へ行くぞ!!」
助手A「ハイ!」
〇諜報機関
【 Monitor Room 】
Mad Dr 松戸浦狂蔵「中の様子はどうなっとるかね?」
研究員B「これは博士! 現在のところ、室内に大きな変化はありません」
研究員B「しかし、我々の世界とは明らかに異なる物質が複数検出されております!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「封鎖した部屋からどうやって検出したんじゃ!?」
研究員B「それが・・・」
助手A「言い難いんですけど・・・ 未確認の生物が現れたんです」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「なんじゃとっ!?」
松戸浦博士の言葉に反応したかのように、モニターの一つに未確認生物が映し出される
未確認生物A「ベーッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘ~」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「なんじゃアレは・・・!?」
研究員B「分かりません!」
助手A「とりあえず、未確認生物Aと仮称で呼んでおります」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「他にも確認されとるのか!?」
研究員B「ええ・・・。 少なくとも、実験室内には、他にも未確認生物が複数確認されてます」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「なんてこった・・・」
助手A「博士、どうすれば良いのでしょうか!?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「こうなったら、後は神のみぞ知るというヤツじゃよ・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「ワシら人間に出来る事なんぞ、既に無いわい。なるべく早くに家族への別れは済ませとくと良いじゃろうな」
研究員B「そ、そんなぁ・・・・」
助手A「どうしてこんなことに・・・」
〇地下の避難所
未確認生物A「ベーッヘッヘッヘッヘッヘ~」
チュパラ「チューッチュッチュッチュッチュチュッパチャルラルリンリンランル~!?」
OGUMO(あの頃Ver)「・・・ ココはどこでごわすか・・・?」
絶対ネムレール君改R「不思議ナ場所ナノダ 我々ノ記憶媒体ニハ記録サレテイナイ 未確認ノ空間座標ナノダ──」
メチャイケパジャマ君「スゥ~ハァァァァァ~ スゥ~ハァァァァァ~ 不思議ナニオイダナ・・・」
OGUMO(あの頃Ver)(ヤッベ。 コイツ、変態にしか見えない・・・ でごわす)
絶対ネムレール君改R(通報サレル前ニ、コイツカラ距離ヲ取ラナケラバ・・・)
メチャイケパジャマ君「お? 香水変えた?」
OGUMO(あの頃Ver)「変えてない、でごわす!」
絶対ネムレール君改R「ソモソモ 我ハ ロボ。 故ニ 香水ハ 不要ナ 存在 デアル」
メチャイケパジャマ君(タモさんのノリで言っただけなのにぃ・・・ ガチで返されちゃったよぉ(辛い))
ワーウル「ところで、ここは一体どこなんだガウ?」
OGUMO(あの頃Ver)「分からないでごわすよ・・・」
メチャイケパジャマ君「フ、不思議な空間に来てしまったみたいだな?」
〇諜報機関
Mad Dr 松戸浦狂蔵「あの異形のモノどもはなんじゃ!?」
研究員B「それが、私達にも皆目見当がつかないのです」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「なんじゃとっ!?」
助手A「最初はモヤモヤっとした煙みたいに不安定だったんですけど・・・」
助手A「いつの間にかあんな感じで見たことも無い姿の化物ばかりになっていたんです」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「先ずはあの異形のモノどもの正体から突き止めたいところじゃが・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「今は一刻を争う事態じゃ!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「一分一秒でも早く、異世界との時空に開いてしまった窓を閉じなければならん!!」
助手A「どういうことですか・・・?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「馬鹿もん! 時空に窓が開いたままでは、こちら側も浸食されたままだという事じゃ!!」
研究員B「それはマズイ! 一刻も早く浸食を止めなければ!!」
助手A「その・・あまり聞きたくはないけど、浸食されるとどうなるのですか?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「二つの世界が融合するであろうな・・・」
研究員B「そ、そんな!?」
助手A「融合・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「今出てきとる異形どもで溢れかえった世界に変わるであろうな」
助手A「そ、そんな・・・!?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「地獄の蓋が開きっぱなしになっとるようなもんじゃ」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「この世界の物理法則の通じん相手で溢れるのじゃ」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「この世界が終る・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「いや。変わるんじゃろうな」
こうして、これまで築き上げてきた人類の文明社会は
異世界との融合という予測不能な出来事により
その在り方そのものが激変してしまったという・・・
〇研究所の中枢
Mad Dr 松戸浦狂蔵「そうじゃ!」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「せ、せめて、せめて姫だけでも!」
助手A「分かりました 博士、姫をお連れしてきます」
研究員B「ま、まさか・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「姫は我々人類にとって最後の希望なのじゃ・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「激変してしまうであろう世界に残すよりは」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「緊急時専用のコールドスリープして、終焉後の世界で目覚める方が良いじゃろう・・・」
研究員B「そうですね。 その方が助かる確率も上がることでしょう・・・」
Mad Dr 松戸浦狂蔵(姫・・・あなたに人類の未来を託しますぞ・・・──)
〇研究所の中枢
ミスティ「ここは・・・一体?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「姫にはこれより、永い眠りについて頂きますじゃ」
ミスティ「わ、私を殺すの?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「違うのじゃ。 これから急激に激変する世界が安全になるまでの間ですのじゃ」
ミスティ「世界が・・・激変!?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「詳しい説明は、目覚めた時にでもできるのじゃ」
助手A「博士。お時間です」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「今は一分一秒でも惜しいから、また姫が目覚めた時にでもお話ししよう」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「姫の目覚めが快適となるようにワシらも尽力するのですじゃ」
助手A「さ、姫。 こちらのポッドにお入りください」
ミスティ「またみんなに会えるのよね・・・?」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「無論。そのつもりですじゃ」
助手A「私もですわ」
ミスティ「分かりました・・ おやすみなさい」
Mad Dr 松戸浦狂蔵「良い眠りを。姫」
助手A「おやすみなさいませ。姫」
こうして姫と呼ばれた少女は、いつ目覚めることが出来るかも知れぬ眠りについた・・・