ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

存在の意味(脚本)

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〇寂れたドライブイン
  翌朝、私がドライブインに備え付けられていた毛布数枚をリアカーに積み込んでる間に、
  リリア・ツヴァイは朝食を食べて歯を磨いて服を着てってしてた。
  今日もいい天気だ。足元を例のダンゴ虫に似た生き物がもそもそと歩いていく。
  正直、こういう生き物にとってこの惑星はとても生きやすいんだろうなとも思ってしまった。
  何しろ、彼らには、動物を<動く死体>に変えてしまう病気もまったく関係ないから。
  餌にされることはあっても、彼らはそれをものともしないくらいに繁殖力が旺盛だ。
  だから他の生き物に捕食される程度のことは彼らにとっては想定の範囲内でしかないんだろう。
  そういうことも含めてその生態が出来上がってるんだと思う。
  この惑星は本来、彼らのものだったのかもしれない。そこに無理に割り込んだことが人間の最大の失敗だったんだろうな。
  とも思ってしまう。
リリアテレサ「・・・行くか」

〇草原の道
  用意を済ませて私の横に立ったリリア・ツヴァイにそう声を掛けて、私達はまた歩き出した。
  東へ、東へと。道に沿って歩いていけば、だいたいなんとかなる。
  地図情報を見る限りは、この先にも、コンビニやモーテルは存在する。小さな集落もある。食料や水はまだ十分に残ってる。
  だから私達は歩く。
  地平線しか見えないような場所を、その光景を目に焼き付けながら。
  私達の目的は、この惑星をただ見て歩くこと。博士の最後の地となったこの惑星を。
  他には何もない。

〇美しい草原
  始まりはあるけど終わりはない。逆を言えば、どこで終わっても構わない。
  リリア・ツヴァイが死んで、私が壊れて動かなくなればそこで終わりでいい。そういう旅。
  私に<命>はない。そして彼女のそれも所詮は<偽物の命>だ。それでも、形あるものはいつかそれを失う。
  その<いつか>を目指して、私達は歩いているのかもしれない。

〇大樹の下

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