夏子の過去

本田すみれ

読切(脚本)

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〇ファンシーな部屋
夏子「そういえばなおくんとはかれこれ14年の付き合いになるのか.......」
  あれは蒸し暑い8月のことだった。

〇街中の公園
「おーい 君1人で花を見つめながらボーッとして どうしたんだ」
夏子(幼少期)「あなたは?」
なおくん(幼少期)「ボクか? ボクは直輝。なおくんって呼んでくれ」
夏子(幼少期)「な、なおくん。 えっとね赤い花きれいだなって 思ってみてたの」
なおくん(幼少期)「花なんかより君のほうが きれいだよ」
夏子(幼少期)「は、はずかしい」
なおくん(幼少期)「ところで君は名前なんていうの?」
夏子(幼少期)「夏子っていうよ。よろしくね」
なおくん(幼少期)「夏子か、いい名前だね なから名前が始まるところ いっしょだね」
夏子(幼少期)「言われてみるとそうだね。 なおくんは何人兄弟?」
なおくん(幼少期)「ボクは三兄弟の末っ子だよ〜」
夏子(幼少期)「そうなんだ いいなぁ 私一人っ子だから」
なおくん(幼少期)「オレが夏子ちゃんのお兄ちゃんに なってあげるよ」
  学校は違うけれど時々会うようになっていた。

〇ファンシーな部屋
夏子「んっ? 何?誰からだろ ザンザロスはスマホ扱えないし.......」
なおくん「こんな夜遅くにLINEすまない。 どうしても夏子ちゃんと 連絡取りたくて」
夏子「なおくんか。 あれからいい娘見つけれたの?」
なおくん「僕はどうしても夏子ちゃんを 忘れられない」
夏子「幼なじみのままでいよ?」
なおくん「夏子ちゃん、まだあの 怪人と付き合ってるのか?」
夏子「ザンザロスだよ。 怪人呼ばわりはなおくんでも 許さないぞ」
なおくん「悪かった。 あの日公園で見かけた時から 夏子ちゃんのこと好きだった」
夏子「言うのが10年遅いっての。 もしザンザロスに出会わなければ なおくんと付き合ってたかもね」
なおくん「遅かったか.......」
夏子「子どもの頃、何して遊んでたっけ?」
なおくん「教えようか。 2人で子どもの頃を振り返るのも 悪くない」
  なおくんは私との幼少期の話をし始めた。

〇公園の砂場
なおくん(幼少期)「砂場遊び楽しいな〜」
夏子(幼少期)「服汚れたらどうしよう」
なおくん(幼少期)「じゃあベンチに座ってそこから指示出してくれよ。 何でも作るから」
なおくん(幼少期)「おわっ。 こんな物が砂の中から 出てきた。 開けてみよーぜ」
夏子(幼少期)「やめときなよ.......」
なおくん(幼少期)「ラブレターかな?」
夏子(幼少期)「あんまりラブレターっぽくない手紙だけど」
なおくん(幼少期)「わたしはいえがいやになったので いえでします さがさないでください ユミより」
なおくん(幼少期)「えっ、これヤバくね?」
夏子(幼少期)「ユミって子を探さなきゃ」
  それから2人してユミちゃんを
  街中で探すことにしたのでした。

〇川に架かる橋
なおくん(幼少期)「全然見つからないな どうする、夏子」
夏子(幼少期)「そうだね....... どうしちゃったんだろう ユミちゃん」
なおくん(幼少期)「道行くオレらと同じくらいの歳の子に ユミちゃんですか?って聞いても 違いますって言われちゃうしな」
夏子(幼少期)「次の子でダメだったら 明日にしよう?」
ユミ「お腹すいたよ〜 え〜ん」
なおくん(幼少期)「君はユミちゃんか?」
ユミ「何で私の名前を?」
なおくん(幼少期)「よかった。 勝手に家を出ちゃ 親が心配するだろ」
ユミ「共働きで全然かまってくれない 親なんて親じゃないもん」
夏子(幼少期)「そんな言い方はないと 思うよ」
なおくん(幼少期)「夜になったら 危ない人も出てくるかもしれない 家はどこだい?」
ユミ「帰りたくない 私の親いつもケンカしてばっかりだし」
  ユミちゃんを説得するのに15分、納得した彼女は家に帰っていった。
  彼女の親からはとても感謝された。
  しかしユミちゃんは
  家の玄関ドアを開ける時の顔が
  曇りがちだったのが
  心名残だった。

〇学校の屋上
ユミ「そういえばそんな事あったね」
夏子「なおくんには感謝しなよ 砂場で手紙見つけなかったら どうなってたことやら」
ユミ「わ〜ってる。 私と顔を会わせる度に 言わなくても」
夏子「なおくんからLINEだ」
  今、どこにいる?ってLINE。
  屋上でユミといると言うと
  そちらに向かってもいいか?と
  聞いてくるので承諾した。
なおくん「昨日、ユミちゃんを助けた話を 夏子としてたんだ」
ユミ「別に助けてなんて 思ってなかったし」
なおくん「お腹すいたよって 半べそかいてたのは どこの誰でしたっけ」
ユミ「よくそんな昔のこと覚えてるよね」
夏子「昨日なおくんにLINEで 叩き起されたから寝不足だわ」
なおくん「今日はザンザロスは来ないのか?」
夏子「パトロール中だよ この時間帯は」
なおくん「はあ、ザンザロスになりたい」
ユミ「切実な悩み来ましたー」
夏子「なおくん、どんだけ私のこと好きなんだよ」
なおくん「そりゃ地球が滅びるか夏子ちゃんを死なせるかの2択を選ぶ状況になったら、地球を滅ぼす方を選ぶくらいだよ」
夏子「病んでる〜w」
ユミ「直輝ってスゴく夏子のこと 好きだよね」
なおくん「ザンザロスと別れるまであきらめないから」
夏子「ごめん それはないかな」
なおくん「よほど本気なんだね」
ユミ「直輝に話あるから 夏子、ちょっと他の所に 行っててくれるかな」
夏子「わかった もしかして愛の告白?」
ユミ「そんなんじゃねーし」
ユミ「私、ずっと前から好きだったの ユミじゃダメ?」
なおくん「ユミがオレのことを.......!? どうしたらいいんだ」
ユミ「これでもダメかな?」
  なおくんの唇をユミの唇がふさぐ。
  かなり戸惑う彼。
なおくん「最初のキスは夏子ちゃんに あげようと思ってたのに」
ユミ「夏子、夏子って全然私を 見てくれない 今度こそ家出してやろうか」
なおくん「ユミちゃんがひどい目に合ったら眠れなくなるし家出だけはやめてくれ」
夏子「ごめん、2人がキスするところ 見ちゃってた」
なおくん「信じてくれ オレは夏子ちゃんのことしか 考えてない」
ユミ「直輝のクズ」
夏子「追いかけないと、ほら」
なおくん「でもオレは夏子ちゃんが.......」
夏子「ユミをほっとくなら 縁切るよ?」
  こうしてユミを追いかけることになった
  なおくん。

〇まっすぐの廊下
ユミ「あ〜あ、やっぱり追っかけてきては くれないんだな」
なおくん「泣かせてごめん」
ユミ「どうせ私の事なんか眼中にないんでしょ?」
なおくん「親友から始めよう でもユミにいい男が見つかったら それ応援するから」
ユミ「どこまでも女心を読めないんだね」
なおくん「手繋ぐか そうすれば泣き止んでくれるよな?」
ユミ「なおくんの手あったかい」
ザンザロス「女の子を泣かしてはいかんぞ」
なおくん「お前は夏子の彼氏のザンザロス!」
ザンザロス「夏子は屋上にでもいるのかな? 教室にいないことを考えると」
ユミ「今は私を見てて、直輝」
ザンザロス「それじゃ我は夏子の元に行ってくる」
なおくん「ユミ、君は怪人と 付き合ったりしないよな」
ユミ「私は人間しか愛さないよ」
  ユミとなおくんはどうなってしまうのか?
  ザンザロスと夏子が屋上キスしたことだけは
  記しておこうと思う。

コメント

  • 前作も拝読しましたが、夏子となおくんにはこんな過去があったんだ。幼少期からの付き合いだと、なおくんの人生にはずーっと夏子がいるわけだからなかなか諦め切れないでしょうね。ザンザロスも罪なやつだなあ。

  • なおくんの純粋な想いと、結ばれそうにない片想いが伝わってきて読んでて切な〜い気持ちになります。いっそザンザロスが嫌なやつだったら、夏子となおくんを全力で応援できるのに、ザンザロスも好きすぎて辛い。

  • 怪人にというよりサンザロスそのものに恋をしている夏子には、残念ながらなお君の入るすきはなさそうで切ないけど、そうしていつまでも彼女を想い続けている自分が好きなのかもしれないですね。

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