明けぬ夜(脚本)
〇美しい草原
ここはどこだろう
気づいたら知らない場所に居た
それはおろか、自分の名前すらわからない
真っ暗な中、ただ星が輝いていた
「...どうしたの?」
どこからか声が聞こえてきた
「・・・わからない」
ただ、そう答えた
「・・・じゃあ、隣いいかな?」
「僕、一人なんだ」
「・・・うん」
寂しそうな顔で笑うため、僕は何か抵抗するわけでもなく頷いた
そのあとは、何か話すわけでもなく、ただしばらくぼうっと過ごしていた
〇美しい草原
「・・・ホタル」
ぽつりと僕が呟く
「・・・綺麗だろう?」
「・・・ここは朝が来ない」
「だから、ずっとこの光が見える」
朝が来ない
普通の人間はこの事実に驚くかもしれないが、僕はそうでもなかった
「・・・いい世界」
そう、誰にも聞こえぬ声で呟いた