ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

音(脚本)

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ

京衛武百十

今すぐ読む

ロボ娘のち少女、ときどきゾンビ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇田舎のバス停
リリア・ツヴァイ「寒い・・・」
  明け方はさらに冷え込んで、私がヒーター代わりをしてるだけでは間に合わず、リリア・ツヴァイは寝ていられなかったようだった。
  住宅街があったところでは空き家に上がり込んでそこで暖をとれたけど、この辺りだとさすがにそうはいかないか。
  まったく煩わしい。
  博士がどうしてこんなことをしたのか、やはり私には理解できない。まあ、あの人のすることはいつでもそうだったけれど。
  しかし今更どうすることもできないし、リリア・ツヴァイの寿命が尽きるまではこれで行くしかないのか。
  どこかで毛布か何かを手に入れる必要があるだろうか。
  私と一緒に毛布にくるまればそれで間に合うだろう。この辺りの気候であれば。
  私達は取り敢えず大陸を東に向かって横断するつもりだった。
  そこから先は北に向かうか南に向かうか、それはついてからの話だけど。

〇草原の道
  寒いので体を温める為にもリリア・ツヴァイは自分の足で歩きだした。エネルギーバーを摂取しながら。
  しばらく歩いて体が温まってくると、周囲の光景を見渡す余裕もでてくる。
  と言っても、見るべきものは何もないただただ背の低い草が生い茂っているだけの平地だ。
  次の都市開発の計画に入っていたようだけど、今ではそれも遠い過去か。
  私もリリア・ツヴァイも言葉もなくひたすら歩く。乾いた風が草と土埃の匂いを運んでくる。
  だが、この光景も千キロも歩けばまた変わってくる筈だ。この先には大きな湖があり、森林地帯になるから。
  と言っても、今の調子では一ヶ月近くかかるかもしれない。
  さりとて、決められたスケジュールもない旅だから、急ぐ必要もない。

〇草原の道
リリア・ツヴァイ「疲れた・・・」
  すっかり日が昇った頃、彼女がそう言うから、私はリリア・ツヴァイをリアカーに乗せて歩いた。
  静かだ。
  今、この惑星には、ネズミよりも大きい動物は殆どいない。

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:とりとめのない思考

成分キーワード

ページTOPへ