狂愛リフレイン

gaia

7話 ループ❹(脚本)

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〇勉強机のある部屋
  ?「...きて......」
  ?「起きて雄太!」
雄太「......ん?」
  午前7時半、かけておいたはずの目覚ましは鳴らなかったらしい。
まつり「あー!やっと起きた!」
  目を覚ますと、頬をぷくっと膨らませた幼馴染の顔がそこにあった。
まつり「もー!いつまでたっても降りてこないから起こしにきたんだよ!」
  寝ぼけ眼で冷静に考えると、俺は今遅刻一歩手前の危機に直面しているらしい。
まつり「もー!急いで支度してよね!」
雄太「わかったよ!」
  急いで服を脱ぎ出すと、まつりは驚いて顔を背けた。
まつり「ちょっと!私が出て行ってからにしてよ!」
  ぷんぷんと部屋を出て行ってしまうまつりを尻目に俺は急いで着替えて部屋を飛び出した。
  ドクン......。
  なんだ?
  俺は、この扉を開けるのが妙に緊張していることに気づいた。
  微かな違和感と、手に残る汗に首を傾げながら、俺はそうっと扉を開けた。

〇家の廊下
みこ「お兄ちゃん」
雄太「どうした?」
みこ「朝ごはん......食べていかないの?」
雄太「あ、あぁ、でも......」
みこ「早起きして手伝ったんだよ」
  朝ごはんを食べていかない
  朝ごはんを食べていく←
雄太「もちろん食べていくよ」
雄太「みこが一生懸命作ってくれたんだもんな?」
みこ「うん!」

〇ダイニング
弟「お兄ちゃん学校大丈夫なの?」
雄太「遅刻常習犯だから大丈夫だろ!」
雄太「まつりにも自転車で行くって言ったし」
みこ「お兄ちゃん、自転車飛ばしすぎはダメだよ」
雄太「わかってるってみこ」
弟「みこねえはいつも雄太兄ちゃんのことになると怖いよ」
みこ「当たり前よ!私たちは......」
  「ただいまー!」
弟「あ、お母ちゃん帰ってきた」
お母さん「ごめんごめん!」
お母さん「保育園にチビどもを送っていったら遅くなっちゃった」
お母さん「みこちゃん、雄太くんとたくまの朝ごはん用意してくれたの?ありがとねえ」
みこ「えへへ」
お母さん「なに、雄太君まつりちゃんに置いてかれたの?」
雄太「違うよお母さん、みこの朝ごはんが食べたくて」
みこ「今日もお寝坊です」
お母さん「あらーも〜雄太君は相変わらず朝が弱いよねえ〜」
お母さん「みこちゃんなんて、中学へ8:00から行くのに朝早起きしてご飯手伝ってくれるんよ〜」
お母さん「その他の家事はまつりちゃんも手伝ってくれるし」
お母さん「うちの美人姉妹は最高だよ〜!あっはっは!長男しっかりせい!!」
  食べ終わってお茶を飲んでいた俺の背中をばしっと叩くとお母さんは笑いながらキッチンへ向かった。
雄太「ごほっごほっ!」
みこ「大丈夫?お兄ちゃん」
  あ、雄太君!今日夕方から雨だからちゃんと傘持っていくんだよ!
雄太「はーい!」
  まつりも含め、この家にいる皆は俺の大事な家族だ。
  しかし、みこだけは俺の本当の血のつながりのある家族。
みこ「ちゃんと傘持ってくんだよ〜」
雄太「あぁ、ありがとう」

〇おしゃれな玄関
雄太「いってきます!」
みこ「行ってらっしゃい!」
弟「行ってらっしゃい!」
弟「きをつけてねー!」
雄太「おう!」
  朝ごはんも食べて傘もちゃんと持った俺は、急いで自転車に乗って学校へと向かった。

〇教室
雄太「間に合ったー!」
まつり「雄太!」
まつり「自転車飛ばしてきたの?」
雄太「ハァ、ハァ、そうだよ」
まつり「もー、心配だよ」
  俺はギリギリ朝のホームルームに間に合い、授業を受けた。
  いつもなら、クラスメイトからまつりと一緒に登校したことで妬みの視線に晒されるところだが、
  今日はそういうこともなく、俺は普通に授業を受け、普通に学校生活を過ごした。

〇学校の下駄箱
雄太「帰るか」
  まつりは、金曜日生徒会だし帰りも遅い。
  まつりを待つこともなく、俺は普通に家に帰宅した。

〇二階建てアパート
雄太「雨が降るまでに帰れたようだな」

〇おしゃれな玄関
雄太「ただいま」
お母さん「おかえりー!」
みこ「おかえりー!」
みこ「まつりさんは?」
雄太「生徒会だよ」
お母さん「おやつあるよー!テーブルにドーナツ!」
雄太「やった!」
みこ「一緒に食べよう!お兄ちゃん」

〇ダイニング
みこ「お兄ちゃんと、こんな風に二人でおやつをゆっくり食べれるなんて久しぶりかな」
雄太「そうか?金曜日は割と......あれ」
雄太「そういえば、最近はなかったな」
みこ「最近は、図書館で勉強してたとか言って帰りが遅かったもんね」
  そうだ、朝まつりと登校した時にクラスメイトから妬みの視線を受けて
  もっと頑張らなきゃって図書館で勉強してたんだっけ
みこ「頑張らなくていいのに、お兄ちゃん」
雄太「え?」
みこ「お兄ちゃんは、そのままで十分カッコいいよ」
雄太「ありがとう、みこ」
  みこは、俺の手を握った。
みこ「ずっと、私を守ってね」
雄太「守るに決まってるだろ」
雄太「まつりも、みこも、ここにいる家族は皆、俺が守るよ」
みこ「......」
みこ「......」
みこ「大好きだよ、お兄ちゃん」
雄太「あぁ、俺もだ。みこ」

〇ダイニング
雄太「あ、雨が降ってきた」
お母さん「雄太ー!洗濯物入れるの手伝って!」
雄太「はーい!」

〇黒

〇ダイニング
お母さん「助かったよ!ありがとう!」
雄太「いいよ、お母さん!」
雄太「あれ?みこは?」
お母さん「あれ?外に行ったのかしら?」
雄太「......雨降ってるのに、買い物かな?」
お母さん「心配だ、ちょっと探しに行ってあげなよ」
雄太「どこを探しに行こう」
お母さん「まさか、この天気なのにあの子......」
雄太「なに?お母さん」
お母さん「お祈りに、行ったかもしれない......」
雄太「お祈り?」
お母さん「みこちゃんは、毎日番幅神社にお祈りに行ってるんだよ」
お母さん「可愛いんだよ、あの子は......いつまでも子供みたいに、ずっと好きな人を思い続けてる」
雄太「......」
お母さん「探しに行ってあげてよ」
雄太「もちろん」

〇古びた神社
雄太「みこ......」
  階段を見上げると、誰かいる気配がする。
雄太「みこか!」
  階段を上がっていく。
  俺は、過去にもこの階段を上がったことが何度もある。
  でも、何故だ。
  雨の今日、この日。
  この階段を決して登っていけない気がするのは
まつり「あんなことを言った私が悪かったわ」
まつり「だから、こんなことはもうやめて!」
  まつりの声?
  俺は、階段を上がる足を早めた。
  なんでこんなところにこんな時間にまつりがいるんだ?
  生徒会でいつも暗い時間にしか帰らないはずなのに
まつり「私は、あなたとも仲良くしたいのよ」
  「その上から目線がずっとムカつくんだ」
まつり「私は、あなたが私にしたストーカー行為も全部許すつもりだよ」
まつり「全部許すよ だから二度としないで」
  「何が許すだ、お前が私にしたことを忘れるな、常に被害者みたいな面をしやがって」
まつり「どうしたら、私とあなたは仲良くできるの?」
  「二度と雄太に近づくな。お前みたいな害虫が雄太の隣にいると毎日、毎日、不快感で鳥肌が立つ」
まつり「それはできないよ」
まつり「私は、施設で雄太と一緒に住んでるもの」
まつり「それに、私は雄太のことが大好き」
まつり「雄太は、あなたの所有物じゃない!」
  「黙れ!!お前がいなければ、お前がいなければ!!お前がいなければ!!お前がいなければ!!お前がいなければ!!!」
まつり「きゃーーー!!」
雄太「まつりーーー!!!」
  おかしい
  まつりと話していたのは、俺のよく知っている人物だ。
  俺のよく知る人物で、あの施設で、暮らしていた中で唯一血の繋がりのある兄妹。
雄太「みこ......?」
みこ「......」
  腹から血を流しているまつりと、血のついた包丁を握っているみこ。
  俺は、何が起きているのかわからなくて立ち尽くした。
雄太「み......みこ?嘘だよな?」
雄太「何だ、その包丁、血がついてる......」
雄太「なぁ、なんとか言ってくれ、みこ!!!」
みこ「......」
みこ「あはは、あはははははははははは!!」
みこ「あははははははははははははは!!!!」
  ぐさり。
雄太「は?」
みこ「ここまで辿り着くなんて、流石私の大好きなお兄ちゃん」
  みこが、まつりを刺した包丁で俺の腹を突き刺している。
  生暖かい血が俺の腹からじわりと溢れ、鈍い痛みが俺に激痛として襲い掛かる。
雄太「ぐぁあああ!!」
雄太「どうしてまつりを......!それに俺も......!」
みこ「......」
みこ「好きだからだよ」
雄太「......は?」
みこ「お兄ちゃんのことが、好きだからだよ」
みこ「まだ息があるね」
まつり「雄太......!」
みこ「......」
みこ「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!!!」
  みこは、俺の頭上で倒れているまつりに包丁を何度も何度も振り下ろした。
雄太「あっ......」
  ナイフで滅多刺しにされてまつりが殺されたというニュース映像が俺の脳裏に甦る。

〇黒
  遺体には無数の刺し傷があり、通り魔の犯行として...
  あれ?これ、この事件。
  まつりは、今殺されているのに何故こんな記憶があるんだ?

〇古びた神社
みこ「やっと死んだ」
  ......まつりは、包丁で滅多やたらに刺されていた。
雄太「なんてひどいことをするんだ......!みこ!!!」
みこ「お兄ちゃんが好きだからだよ」
  まつりは、血のついた包丁を持って俺に近づいてきた。
みこ「この世界はね、ループするの」
雄太「やめろ......!」
みこ「ゲームみたいにね」
みこ「まつりを殺して、お兄ちゃんも殺す。場所は番幅神社、それがトリガー」
雄太「何を言ってるんだ......?」
みこ「なんとなく身に覚えがあるでしょ?」
みこ「また次の世界で会おうね」
みこ「雄太......大好きだよ」

次のエピソード:8話 大好きなお兄ちゃん❶

コメント

  • ついに犯人が明らかになりましたね!彼女だと知るとこれまでのシーンの恐怖感も増しますね。そんな彼女側のストーリーも楽しみです!

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